住基ネット凍結法案を支持しよう!
●住基ネットは、「恐怖の監視社会」に道を開く
・国民に家畜のように番号をつけ管理、統制する!
・国家によるプライバシー情報の無制限の掌握に導く
・国民の身元・思想調査、ブラックリストづくりの基本台帳になる!
・「有事」における住民情報の掌握を平時から準備するもの
●今からでも遅くない。全国から、自治体、地方議会、与野党に凍結を要請しよう!


[1]はじめに
 8月5日、住基ネットが稼働しようとしています。すでに11桁のコードは一人一人に振られており、8月になると通知されることになっています。これに対して野党4党は12日、無期限凍結を要求する凍結法案を国会に提出しました。私たちはこの法案を支持し、住基法の稼働を凍結するよう要求します。
 政府は、住基ネットの問題点がまるで民間へのデータ流出にあるかのように振る舞っています。しかし、問題は別のところにあります。すなわち国民一人一人に番号が振られ、国・省庁によって私たちのプライバシー情報が自由に把握されるようになること、これが住基ネットの最大の問題です。危険なのは、民間ではなく、ネットを開始しようとしている国そのものです。コード番号で管理されたプライバシー情報が蓄積されリスト化されていく−−住基ネットの危険性をまざまざと示したのが、防衛庁リスト化事件、原発交付金拒否者リスト化事件に他なりません。
 政府は「住民負担の軽減とサービスの向上」「国・地方自治体を通じた行政改革」をうたい文句にして来ました。しかし、政府のまやかしは全く破綻し、何が何でも強行しようとする暴走だけが突出しています。市民にとってサービス向上、利便性はほとんどない、というより「利便性」を本当の目的のための口実に使っているだけなのです。住民票の利用頻度は市民一人について二年に一度程度にすぎません。そのために当初400億、毎年200億円もの巨費を使うのは、どう考えても理屈に合いません。政府が「いまさら延期できない」と言っているのは、すでに巨費を投じていること、コンピューターなどのリース会社との契約が済んでいることなど、責任追及の声が挙がることを恐れてのことにすぎません。こんないい加減な理由で取り返しのつかなくなる「恐怖の監視社会」を押し切るなんてもってのほかです。
 政府自身が住基ネット稼働の前提としてきた「個人情報保護法案」が、政府・官庁による個人情報の不正利用を野放しにする危険性から今国会での採択断念に追い込まれたこと自身が、住基ネットの危険性をまざまざと示しています。政府が最後の言い訳にする「公務員の守秘義務」や「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」が官僚による個人情報の自由利用に何の歯止めにもならないのは自衛隊リスト事件などで明らかです。


[2]反戦「非国民」リストの次は反原発「非国民」リスト−−ますます明らかになる住基ネットの危険性

 防衛庁による情報公開請求者身元・思想・信条リスト作成事件に続いて、資源エネルギー庁外郭団体による反原発思想信条リスト作成事件が明らかになりました。資源エネルギー庁の外郭団体「電源地域振興センター」が、原子力立地給付金の受け取りを拒否した人のリストを電力会社から受け取り、地元自治体に提出していたのです。今回は「朝日新聞」が島根県での実態をスクープしたことが発端ですが、関西電力、四国電力をはじめ各地の電力会社がリストを作り、毎年提出していました。県民の原発を巡る思想動向のリストを作成し、国の外郭団体、電力会社、県が共有していました。防衛庁のリストに「反戦自衛官」などとかかれていたように、今回も「原子力反対」などとかかれていました。さらに埼玉県鳩ヶ谷市では、市への苦情を出した住民の氏名と住所、苦情内容がリスト化され、実名入りで回覧されていたことが明らかになっています。
 これら一連の事件があきらかにしたものは、他でもない今年8月から稼働しようとしている「改正住民基本台帳法」(住基ネット)の危険性です。防衛庁が名前と住所という情報だけで所属団体や思想傾向を調べ上げリストを作ることのできる組織を備えていること、そしてその行為を違法行為とはしなかったこと、原発交付金を拒否した人のリストを作っていたこと、国、電力会社、地方自治体が共有していること、これらは氷山の一角です。「交付金」「情報公開」「アンケート」「苦情受付」等々様々な形で市民をリスト化しようとする強い衝動があることを示しています。
 住基ネットを政府が手にした場合、国民一人一人の動向を瞬時に調べ上げる条件を獲得することになります。その一歩を踏み出すことになります。その危険性は計り知れません。これまでの国民の思想チェック、思想弾圧の歴史の中でも一線を超える大事件です。もちろん戦前においても導入されたことはありません。危険な住基ネットは稼働を全面凍結すべきです。


[3]「盗聴法」と同時に成立した「住基ネット」法は「ブラックリスト」法

 住基ネット(改正住民基本台帳法、99年8月に成立)は以下のような内容をもっています。@日本国籍をもつすべての住民に11桁の住民コードを割り当て、管理すること。Aそのコードを使って氏名、住所、生年月日、性別の4情報および転居歴などを記した住民票の内容を「(財)地方自治情報センター」で集中的に管理・運用すること。B2003年からは「住基カード」(ICカード)の任意発行をすること。
 「改正住基法」は「通信傍受法」、「日の丸君が代法」が成立した1999年の第145国会で同じく成立しました。通信傍受法は、その名の通り、市民が行う通信内容を盗聴する「盗聴法」です。これに対して、住基ネットは、住民の基本情報を掌握しリスト化することを可能にする「ブラックリスト法」です。国民1億2000万人一人一人に番号を振り、国がその基本情報を掌握できる住基ネット、そして、日々の市民の通信内容を逐一把握できる盗聴法、この二つが同時に成立したことは偶然ではありません。これらの法律が組み合わされることによって、そして様々な非合法手段が付け加わることによって、市民の出生からの履歴とその行動記録がすべて国家に筒抜けになる、そのような準備が進められることを意味します。


[4]ダムや道路に代わる新たな公共事業=財界へのくれてやり
 全国民のプライバシー情報を一元管理するというとてつもない広大なシナリオが生まれた背景には、財界の金もうけ主義があります。コンピュータ業界、ソフトウェア業界、通信業界、電子機器業界・・・。「電子政府」構想というダムや道路に代わる新たな、そして巨大な公共事業とくれてやりが衝動力になっているのです。もうすでに族議員が暗躍しているはずです。IT不況に陥っている電機業界にとって、5年、10年、いや何十年にもわたり莫大な予算が付けられることは安定的な収益につながるのでしょう。私たちのプライバシーがそんな金もうけのために喪失させられるなど許せないことです。


[5]国民の管理と監視のための住基ネット。原点からして間違っている。
−−人間を番号化し、モノとして扱うことは重大な人権侵害−−

 住基ネットの本質は、国民に11桁の番号を振ることによって、国民を一元的、統一的に管理することにあります。人間を番号化し、管理することはそれ自身として重大な人権侵害です。人間の尊厳を傷つけるものです。これによって国民は、個々の人格と権利を持った市民ではなく、通し番号としてモノとして扱われることを意味します。
 たしかに現在、健康保険証、年金手帳、自動車免許証等々それぞれの番号が振られています。しかし、これは人々がそれぞれのサービスを受けようとするために与えられる整理番号です。国民である、市民である、住民であるということについて管理するものではありません。出生しただけで管理番号を振る−−国民を国家の所有物や家畜のように扱う、収容所の囚人番号、人格権の国家管理−−これそのものが重大な人権侵害ではないでしょうか。姓が変わろうが、住居が変わろうが、職がかわろうが、健保が変わろうが、学校が変わろうが、コード番号だけはその個人を把握し続ける国家による国民の管理のための番号制度です。国が決めたコード番号を否が応でも受け入れさせ勝手に運用する−−まさに、住民サービスではなく、国家による管理と監視のためだけの法律です。

 以下はBSE牛を検査する「家畜個体識別センター」の説明です。「家畜個体識別システム」を「住基ネット」に「家畜」「牛」を「国民」に読み替えてみれば、「住基ネット」の非人間性が浮かび上がります。いや、あまりにぴったりしていて身の毛がよだつほどです。
個体識別システムがBSE牛を識別し排除するために作られたとすれば、住基ネットは非国民をあぶり出し弾圧するために作り出されたのです。

 「家畜(牛の)個体識別システムは、一頭の家畜(牛)を生涯唯一の番号で識別・管理する家畜個体識別全国データベースを使用し、家畜(牛)の異動履歴を把握しようとするものです。
 平成13年9月、BSE(いわゆる狂牛病)が我が国で初めて確認されたことから、BSE緊急対策として、全国のすべての牛に対して固有番号を付した識別耳標の装着を行い、各個体の生産・異動情報を管理することになりました。」
(http://www.nlbc.go.jp/hinshu/kotai/kotai.htm)

 ※牛の個体識別システムと住基ネットを対比させたウィットに富んだパロディが次のサイトにあります。
    http://www1.jca.apc.org/juki85/Items/KotaishikibetsuUshiToHito.jpg
     (住基ネット8月5日実施を許さない実行委員会)


[6]住基ネットは、国民総背番号制に他ならない。
−−統一コードとネットワーク化により、全国民のプライバシー情報が国家に吸い上げられ一元的に管理される。国民は一切のプライバシーを失う。−−

 政府は、住基ネット法案を通過させるにあたって、これは総背番号制ではないと説明してきました。住基事務はこれまでどおり市町村がやるのだからと。これは、まったくのウソです。
 「住基ネット」は、住民票を単なる居所の確認から、本人確認のための個人認証システムに変えるものです。この本人確認機能を利用し、あらゆる様々な領域ごとの情報が住基コードをキーコードとして検索可能になるシステムなのです。これは「総背番号制」に他なりません。
 これまで各市町村で完結していた住基事務が、市町村−都道府県−全国センターというタテの情報提供と市町村−市町村というヨコの情報提供が形成されることからネットワーク化し、住基コードという統一コードの下に統合されます。国家による国民の管理、この目的がまずあり、通し番号を振るのに最も好都合の「住民票データ」が狙われたのです。
 たとえ最初は限られた住民票データからであったとしても、官や民間による他のデータなどが蓄積され、データ利用が行われ、ゆくゆくは住基コードによるネットワーク上のあらゆるプライバシー情報の国家管理へと突き進む危険性をもっています。


[7]住民票の「自由閲覧」だけでも危険

 8月に住基ネットが稼動すると直ちに、国は市町村に蓄積された住民票情報をいつでも容易に検索し閲覧することが可能になります。このことだけでも、非常に危険なことです。これまで、国や都道府県は住民データの把握を著しく制限されてきました。たとえば現在、住民登録情報は市町村しか持っていません。住民票に関しては第3者公開されているとはいえ、都道府県や国がこれらを見るためには正当な理由を書面で提出しなければならず、また該当者のみの情報しか得ることができませんでした。住基ネットは、住民情報に関する国にとってのこの制約を取っ払い、国による住民データの利用を無制限にしてしまいます。住基ネットは、住民情報に関する国と市町村との力関係を根本的に変えるという側面をもっています。
 確かに現時点でも厚生労働省が所管する社会保険事務所は、年金事務によって家族構成、収入、職歴、病歴、等々を把握することができます。しかし、対象は民間企業の厚生年金加入者に限られます。しかも、自動的に個人の住民票をのぞき見る権利を持っていません。税務署も同じです。税務署は、住民票ではなくその個人がどこに居住しているかによって課税をします。機関ごと部署ごとに権限は著しく制約され、そのことによって強大な国家権力に国民の情報が集中する事が制限されてきました。
 住民票を添付しなければならない93事務について、添付の省略が可能になる−−これが国の売り文句の一つです。しかしこれは、住民票の基本情報が自動的に国の行政によって把握されることを意味します。特に、「自動取得」になった場合歯止めが効かなくなります。現在「正当な理由」がなければ取得ることができない住民票が事実上自由に取られることになります。
 しかも、たとえば母子家庭に対する児童扶養手当などでは、母子家庭であることを証明するためには、住民票だけでは足りず、家族全員、続柄、本籍地も記載した住民票が必要となるなど様々な書類と証明が必要です。このような情報も含めすべてが「住基ネット」蓄積されていく危険性があるのではないでしょうか。
 しかも改正法の罰則規定は、情報提供者(市町村)側のみに適用され、情報を受け取る国の行政機関側は一般的な守秘義務があるだけで、目的外への流用に対する罰則は、規定されていません
 一人あたり平均2年に一回にすぎないといわれる住民票取得の煩わしさから市民を解放する?−−これこそ詭弁です。


[8]有事法制と結合されて危険性を増す住基ネット

 以上のように住基ネットは、市町村の権限を縮小し国家の権限を大幅に強める、あるいは市町村の業務を国家に従属させるという側面を持っています。これは「武力攻撃事態法」のあの文言を思い出させます。すなわち第一章第5条、

<地方公共団体の責務>
 第五条 地方公共団体は、当該地方公共団体の地域並びに当該地方公共団体の住民の生命、身体及び財産を保護する使命を有することにかんがみ、国及び他の地方公共団体その他の機関と相互に協力し、武力攻撃事態への対処に関し、必要な措置を実施する責務を有する。


 「住基ネット」は一方では、有事法制によって強制される地方自治体からの国への協力−−物品提供、労務提供を徹底させるための道具となるものであり、他方では、有事法制によって、住民のあらゆる情報提供を自治体に強要し、「住基ネット」を一層危険な住民管理の道具にしていくのです。それは、平時から準備されます。
 不穏な動きを封じ込めるための思想動向の情報、有事訓練に人員を動員するための年齢や健康状態、家族構成の情報、物品提供のための個人の職業や所得、資産などに関する情報等々は戦争遂行、戦争動員のために不可欠の情報です。行く行くは管理コードは、徴兵検査をし若者を軍隊に徴発するための管理番号になります。実際、「有事」においてある地方で勤労動員をかける場合、[○○町、男、18歳から20歳、健康、身長180センチ以上]のようなデータを入れるだけで対象の人員をすぐにはじき出すという考えはすぐに浮かびます。すでに大阪堺市などでは、自衛隊員募集のために、自衛隊が高校生の住民票を一括無料閲覧するというような事態が市長決裁によって行われています。また各地で役所の管理職による自衛隊での「幹部研修」などが行われています。このような市町村幹部や首長が住基ネットを介して国と結びつきます。
 住民コードを手にした国は直接住民を把握することかできるようになります。杉並区は、問題が生じた場合、センターと区とのネットを切断することのできる条例を制定しました。しかし、有事法制に照らした場合、これは違法にされてしまう可能性があります。それよりも政府は今から市町村を住基ネットに巻き込み、飼い慣らそうというのです。片山総務相は29日、「有事の際の民間防衛組織は自治会、町内会が核になる」と語っています。国は自治会などを有事訓練に巻き込むために協力を仰ぐだけでなく、住基ネットの住民データを駆使して直接計画を練り、動員を企てることができるようになるでしょう。
 有事法制と「住基ネット」は直結しています。「住基ネット」は、有事法制と結びついて極めて危険な国民統制、国民総動員の道具になります。


[9]一度許してしまえば、暴走する危険性

 これまで政府は、住基ネットによる本人確認情報を利用できる国の機関や事務は、法令上明確に規定された10省庁・93事務に限定されるとしてきました。しかし、政府は施行(8月5日)前に、早くもこの93事務に171事務を新たに加え、264に拡大する「電子政府の推進」関係の三法案を6月7日国会に提出しました。
 このさらなる改正では、厚生省(介護保険など)、総務省(公務員共済など)国土交通省、気象庁の各種免許などから、パスポートの発給や不動産の登記、自動車の登録、健保被保険者証、年金手帳等々へ拡大される危険性がでてきています。これらの拡大は、各省庁の省令で決まります。省令であるため、住基ネットが始まれば、容易に拡大が可能となります。93事務は、上記のように主に総務省、厚生労働省など年金・共済関係と、航海士や通信士などの資格認定関係になっています。しかし、さらに警察、公安庁等への拡大がもくろまれるのは確実です。まずは、批判が少ないところからというわけです。
住基ネットとICカードは、住基コードだけでなく、年金番号、健康保険番号、雇用保険番号、印鑑登録証明書、納税者番号、自動車免許証、自動車登録等の行政サービスから鉄道の定期券、キャッシュカード、クレジットカード、病院診察券等々一切の民間サービスを統合できる体制へと拡大する危険性をはらんでいます。さらにはそれらを通じて、所属団体、学歴、病歴、血液型、思想傾向、本籍地、投票、買ったり借りた本、電話相手、メール相手、ETCシステムでの交通移動歴や行動範囲等々の情報の把握の危険性が高まります。
これが、現実とかけ離れた杞憂でないことは、自治省の肝いりで行われた「出雲市民カード」が証明しています。出雲市民カードには、住所・氏名などの基本情報に加え、本籍地などの行政情報、図書館利用情報、血液型や病歴などの救急医療情報、身長・体重・血圧などの健康情報などが盛り込まれています。そのいかがわしさ故に、この出雲市民カードの普及率は対象市民の一割にも満ちていません。


[10]住民・国民の電子データの統合。納税者番号制への布石。

 「改正住基法」はこれまで各省庁で進めてきた住民に関するデータを集約しようとするものです。この数年間で、郵政省、公安庁、国土交通省、厚生労働省など各省庁が様々な形で蓄積してきました。国税庁の内部管理用の電算システム「KSK」システム、基礎年金番号の番号管理、運転免許証の交付制度等々。ここ数年で各省庁で進んだ電算システム化の全面的な統合を視野に入れ始めているのは間違いありません。鳴り物入りで登場した「電子投票」は、各種の証明だけでなく選挙権さえ住基コードによって管理されていく危険を示しています。
 さらに、塩川財務相は、6/14「納税者番号が必要となるだろう」と納税者番号制度の導入の意図を明確にしました。年金と雇用保険の重複受給の摘発、住所変更による納税回避者の追跡、健康保険料や年金保険料の徴収強化、個人の複数の金融口座の把握等々に利用され、さらには、より効率的で非情な税・保険体系をつくりだしていくテコになっていくでしょう。


[11]諸外国では次々と挫折と混乱。「住基ネット」導入の危険のシナリオ

 統一番号制を採っているような国は、スウェーデン、フィンランドなど全世界で数カ国にすぎません。スウェーデンでは個人認識番号(PIN)が行政情報だけではなく、銀行口座番号や通信販売会社の顧客番号、民間保険番号などすべてのプライバシー情報を得るマスターキーのような役割を果たすようになり、大混乱が生じ、2000年以降保険会社はPINを使用することを禁止するまでになっています。韓国では1968年以降住民登録番号が導入されましたが、99年住民登録証を拡大し、医療保険、運転免許、印鑑登録などの事項を一括して住民情報を記載したICカードを作り携帯提示義務などの規制強化をすることを狙いました。しかし、これに対して住民の反対運動が盛り上がり、このもくろみは挫折しました。一方アメリカでは、社会保障番号SSNが納税、社会保険、福祉サービス、預金口座開設、運転免許取得、兵役、学校教育などに必要とされ、本人申請による身分証明制度として拡大利用されてきました。これが様々なプライバシー情報のための事実上の管理番号として機能するとともに、この管理番号を使った身分盗用犯罪などが、大問題になっています。
 いずれの国でも、一度導入されたのちは、機能拡大によって国家による個人管理を一層強化する衝動が生まれるとともに、管理番号が一人歩きし社会的大問題を引き起こすようになっています。
 政府・総務省の思惑、反対運動の強弱など様々な条件や状況に応じて、日本で稼働した場合の危険性は幾重にも考えられます。しかし、以下のいかなる形態をとったとしてもその危険、本質は変わらないのです。
@11桁の住基コードは、8月に各個人に通知されるが、普段は使うことはなく、タンスの引き出しにしまわれて忘れ去られる。しかし、住民票原本には確実に記載され、ネットで運用され、いかなる時にも住民を密かに監視、補足し続ける。
A11桁コードが公然化し、これなしにはまともな行政サービスどころか生活さえできなくなる。来年からはICカードが発行されることになっている。行く行くは、健保、年金、運転免許証等々がこの11桁が無ければ受けられなくなる。いわば国内版パスポート、国民向け外登法である。
B住基コードをもとに、すでに一端が現れたように、さまざまな非国民リストが作成される。私たちが進めているような署名に名前を記すことや、市への苦情、情報公開要求などがリスト化されることはもちろん、それらのリストが互いにリンクされる危険性がある。
C金融業者から、融資の条件として住基コードを明かすことが求められる危険性などが国会でも問題になっている。政府は、違法としているが、違法であるはずの年金手帳や被爆手帳さえも融資の担保になっている現状がある。官だけでなく、民間によっても住基コードの悪質な利用の危険性がある。
D住基コードを国民が自覚するしないにかかわらず、コードで把握される内容はどんどんふくらんでいき、築いたときには丸裸であったというような事態、コードが支配する世界である。等々。
 以上、いくつかの想定は諸外国ではすでに起こっていることです。この発端を阻止することが非常に重要です。


[12]世論の大半は何も知らされていない。今からでも遅くはない。国、自治体に稼働凍結の声を集中しよう!

 共同通信社が6月30日、7月1日の両日に実施した全国電話世論調査で、住基ネットについて、83・2%が8月5日から実施されることを知らないことが分かりました。また、住基ネットの内容を「あまり知らない」「全く知らない」の合計が50・7%で、「実施を延期し、再検討すべきだ」が51・1%とそれぞれ半数を超えています。「このまま実施すべきだ」は13・0%にすぎません。また、日弁連が5日に公開したアンケート結果でも「約4分の3の自治体が8月施行に否定的か懐疑的」です。
 全国から、住基ネットの稼働の延期を求める声が相次いでいます。すでに60を超える自治体が、延期・実施慎重を決議しています。また、4市長が要望書を提出しました(7/5現在)。このような全国的な声を背景に、政府与党内部でも延長論が台頭してきています。
 無期限凍結を要求する野党の法案を支持し、住基法稼働凍結を要求しましょう。まだまだ、闘いの余地はあります。まだ延期を決議していない自治体に対して働きかけを強めましょう。

要請先

自民党

小泉純一郎首相 (首相官邸) http://www.kantei.go.jp/ 住基ネット凍結に応じてください

住基ネット凍結の野党案を支持してください
亀井静香前政調会長 kamei_shizuka@hotmail.com
野中広務元幹事長 nonaka.h@juno.ocn.ne.jp
古賀誠前幹事長 kogamakoto@hotmail.com
小林興起衆院議員 g01809@shugiin.go.jp  (自民党の中の凍結法案作成の代表)
阪上善秀衆院議員 sakaue@sakaue-yoshihide.com
 (自己紹介)個人情報保護法案には問題が多いため、内閣委員及びその理事を辞任しました。

住基ネット凍結に応じてください
公明党 info@komei.or.jp
保守党 info@hoshutoh.com

がんばれ!
民主党 info@dpj.or.jp
社民党 soumu@sdp.or.jp
共産党 info@jcp.or.jp
自由党 jiyuto@mx6.mesh.ne.jp


参考サイト
地方自治体、議会への働きかけは以下のサイトなどを参照
全国自治体マップ検索
http://www.nippon-net.ne.jp/cgi-bin/search/mapsearch/nn_MapSearch.cgi
地方議会エクスプローラー
http://www2s.biglobe.ne.jp/~L-Fairly/chihouex.html



2002年7月15日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局