許すな!「ジェニン大虐殺」のイラクへの輸出
米はイラクでの市街戦遂行のカギとしてイスラエルのパレスチナ虐殺作戦を研究
○ネゲブ砂漠のイスラエル軍基地にある模擬アラブタウンで合同演習
○西岸諸都市への軍事行動に米軍兵士が直接参加
○イスラエル軍のパレスチナ諸都市への軍事侵攻に米軍高官が同行視察
○イスラエル軍事専門家の米海兵隊へのレクチャとアドバイス
○軍用ブルドーザーは最も役立つ武器
■ 昨年4月、イスラエル軍はジェニン難民キャンプで、「人為的に大地震を引き起こした」と言われるほどの大量家屋破壊と大虐殺を行ないました。ミサイル攻撃による破壊に加えて、D9軍用ブルドーザーで次々と家屋を破壊していきました。世界に衝撃を与えたこのジェニンの大虐殺、そのやり方を米軍はイスラエルから「学び」、イラクに応用しようとしています。
※「反占領・平和レポートNo.19 ジェニン大虐殺を直接遂行した兵士の証言」
■ アメリカは、「イラクの解放」「イラク人の自由」のためと称して、犠牲者の半数以上が民間人であったと言われているこのジェニン大虐殺の手法を、バグダッドの市街戦に適用しようとしているのです。断じて許すことができない暴挙と言わなければなりません。
対イラク攻撃開始から18日を経て、“ジェニンのイラクへの輸出”が現実のものとなっています。私たちは今こそ「ジェニンの再現を許すな!」の声を挙げましょう。
以下は最近の関連記事の概要を紹介したものです。
※「ブルドーザーを送り込め:市街戦についてイスラエルが米海兵隊に述べたこと」
「Send in the Bulldozers:What Israel Told US Marines About Urban Battles As troops close on Baghdad, Pentagon takes notes on house-to-house fighting in Jenin」by Chris McGreal iApril 2, 2003 by the Guardian/UK
http://www.commondreams.org/headlines03/0402-04.htm
※「イスラエルは米軍にジェニン型市街戦の訓練をした」
「Israelis trained US troops in Jenin-style urban warfare」By Justin Huggler 29 March 2003
http://news.independent.co.uk/world/middle_east/story.jsp?story=391823
※「ジェニンをイラクへ輸出する」)
「Exporting Jenin to Iraq 」Nigel Parry, Electronic Iraq 31 March 2003
http://electroniciraq.net/news/493.shtml
2003年4月6日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
■ 米軍は、対イラク戦争準備の一環として、イスラエル軍から市街戦の新しいやり方を学ぶために、イスラエル軍との様々な軍事交流を行なってきました。米軍がイスラエル軍から市街戦の訓練を受けてきたことは、一部報じられたことがありましたが、当局によって否定されてきました。しかし、このたび米、イスラエル、双方の消息筋が確認したことが報じられました。
今年の初め、1000人近い米軍兵士が、合同訓練のためにイスラエルヘ送られました。ネゲブ砂漠にある模擬アラブタウンで、イスラエル軍の経験を受け継ぐための訓練が行なわれました。そこでは、イスラエル兵士たちが、攻撃されやすい通りに身をさらさずに移動するために、家から家へ壁に穴を開けて移動するやり方を示したといいます。
さらに2月に、イスラエル軍がナブルスに侵攻した際に、住民が、英語をしゃべる見慣れない制服の兵士たちがイスラエル軍兵士に同伴していたことを目撃証言したことが、報告されています。その時に、まさに家から家へ壁に穴を開けて移動するやり方が、実地に行なわれたのです。アメリカ軍士官たちは、ジェニンとベツレヘムで、イスラエル軍兵士たちの軍事行動を直接視察したといいます。
イスラエルの軍高官や軍事専門家が米海兵隊の基地などを訪れ、レクチュアを行ない、ノウハウを伝授するということも行なわれてきました。イスラエル軍は、米軍に、パレスチナの諸都市へのイスラエル軍部隊の侵入・襲撃のビデオまで提供しました。特に焦点になった戦術は、兵士が通りに身をさらすことを避けて家から家へ壁に穴を開けて進むやり方だったといいます。
■ 昨年9月には、ヘブライ大学の軍事史軍事戦略専門のマーチン・ヴァン・クレヴェルド教授がノースカロライナ州レジューン基地で講義して、米海兵隊にイスラエルのジェニンでの戦術を説明し、軍用ブルドーザーが最も役立つ武器の一つであることを強調しました。ジェニン難民キャンプの破壊に使われたD9軍用ブルドーザーは、米国が民間用に開発したものをイスラエルが軍用に改造したものですが、米軍は、クレヴェルド教授の忠告にしたがって、このD9軍用ブルドーザーを9台購入したといいます。
クレヴェルド教授は、このときのレクチュアで次のように述べたとレポーターに語りました。「3つの要点があった。(1つ目は、)いかにして通りを見通しのきくようにするか、家をひとつまたひとつとつぶしながら。特にブルドーザーを使って。ブルドーザーは、この種の戦争では、家を壊すのにとても役立つ。」「(2つ目は、)狙撃兵を一掃するために、いかに、そしていつ、攻撃用ヘリコプターを使うべきか。また、どんな状況では使うべきでないか。バグダッドは、そういう(使うべきでない)状況の一つだと言えるだろう。そして(3つ目は、)民間人犠牲者をいかに避けるかということだ。」と。
3つ目については、よく言うよ!とあきれてしまいますが、2つ目については、パレスチナ人にはヘリコプターを撃ち落とす火器がないのに対して、イラクにはあるからということでしょう。イラクでは誘導ミサイルなどによる猛爆が、その代わりをしています。
■ さらに何と!このジェニンでの戦術のルーツが、驚くべきことに、ナチスドイツのワルシャワゲットー蜂起鎮圧作戦にあったということが、明らかにされました。「ハ・アレッツ」紙の記事をもとに、ニジェル・パリー氏が「エレクトロニック・イラク」でこれを暴露しています。(「ジェニンをイラクへ輸出する」)
昨年4月時点でイスラエル軍参謀総長として陣頭指揮をとった現国防相のシャウル・モファズは、ジェニン作戦の準備をしていたとき、「これまでの戦闘の教訓を分析し我がものとすること、たとえいかにショッキングに聞こえようとも、ドイツ軍がワルシャワゲットーでいかに闘ったかということさえも分析し我がものとする」ということを、報道機関に対して認めていたのです。
パリー氏はこう解説しています。ワルシャワゲットー蜂起に際して、ナチス軍は家屋に火を放った。レジスタンスの戦闘員が降伏すると確信して。ジェニン難民キャンプでは、戦闘用ヘリコプターからの持続的なミサイル攻撃と系統的なブルドーザーによる破壊とで住居家屋を攻撃目標とすることで、ワルシャワの教訓が適用された、と。