イラク戦争劣化ウラン情報 No.8      2003年11月1日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 吉田正弘

UMRCドラコビッチ博士が初来日

転載歓迎

 カナダをベースに活動するUMRC(ウラニウム医療研究センター)の責任者、アサフ・ドラコビッチ博士が来日し、国会議員へのブリーフィングを行い、東京、大阪の報告集会などで話されます。
 UMRCは米軍の攻撃にさらされたアフガニスタンでウラニウム汚染の調査に取り組んだ唯一の組織です。昨年2度にわたって現地調査を行い、尿や土壌、水のサンプルを採取し人体と環境の汚染調査を実施しました。分析結果は驚くべきものでした。
米軍の「不朽の自由作戦」による爆撃地点付近の住民の多くがウラニウムによると思われる急性症状を示しただけでなく、症状の出た患者の尿から一般の人の45倍(ジャララバード)、200倍(カブール)という高濃度のウラニウムが検出されました。また爆撃クレーターや付近の水田の水からの通常の数倍から20数倍のウラニウムが検出されました。
 米軍がA−10攻撃機や戦車の砲弾に劣化ウランを使っていることはよく知られています。しかし、UMRCの調査結果は米軍がアフガニスタンで大量に用いたバンカーバスターなどの貫通型爆弾がウラニウムを含んでいるかウラニウム製であることを示しています。また、検出されたのは劣化ウランではなく非劣化ウラン(天然ウラン)でした。アフガニスタンで使われたウラニウムは600トンから1000トンに上るという評価も行われていますが、アフガニスタンの人々が爆撃によって深刻な汚染に直面していることは間違い有りません。
 イラク戦争では米英軍が劣化ウランを人口密集地帯で大量に使いました。その上多数の貫通型爆弾を都市部の目標に向けて投下しました。使われた劣化ウラン/ウランの量は湾岸戦争をはるかに上回ると考えられています。アフガニスタン以上の汚染が心配され、至急の大規模な汚染調査が必要です。しかし国際機関などが米英軍の占領下で調査を拒否されています。このような状況の下で、UMRCは9月末にイラクに対する現地調査を行い、ウラニウム汚染の被害調査を開始しています。(同様の調査はNODUヒロシマプロジェクトが行っているのが知られているだけです)。
 ドラコビッチ博士は核医学の専門家です。元々はペンタゴンの医学専門家として湾岸戦争帰還兵の健康調査と治療に携わっていましたが、帰還兵の症状から本格的な調査を行うべきだと主張したことで解雇され、クリニックを閉鎖されました。その後、科学者としての良心に従い帰還兵の健康調査を独自に行うために仲間の科学者達とUMRCを設立しました。その意味で、博士は湾岸戦争症候群とウラニウム汚染に関する第1級の専門家です。
 UMRCは独立の科学・研究・調査機関で、その活動は市民からの寄付によって支えられています。尿のウラニウム調査は1サンプルの分析に約10万円もかかる精密な検査が必要です。今回博士を招聘する「UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン」は、この分析費用へのカンパを日本で呼びかけ、博士達の調査活動をサポートし、イラク調査のカンパキャンペーンにも取り組んでいます。

(1)ドラコビッチ博士招聘日程の概要
11月
20日(木)東 京 午後3時から5時 参議院議員会館第5会議室で議員むけブリーフィングと記者会見 (東京泊)
21日(金)広 島 市民グループや研究者との交流
22日(土)    大阪で記者会見/交流会(予定)
23目(日)大 阪
 「アフガニスタン戦争の劣化ウラン/ウランによる汚染・被害の実態、
  UMRCドラコビッチ博士による調査報告大阪集会」
主 催;UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局
    アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
時 間 午後1時半より
場 所 府立杜会福祉会館5階ホール(地下鉄谷町線、谷町6丁目下車)
会場費・資料代 1000円
24日(月)東 京
 「アフガニスタン戦争の劣化ウラン/ウランによる汚染・被害の実態、
  UMRCドラコビッチ博土による調査報告東京集会」
主 催;UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンぺーン事務局
    UMRCドラコビッチ博士による調査報告東京集会実行委員会
時 間 午後6時半より
場 所 文京区民センター(地下鉄丸ノ内線後楽園より徒歩3分、都営三田線春日駅すぐ)
会場費・資料代 1000円
25日(火)帰国

(2)連絡先
・UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局 
・アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
 吉田正弘 090-5016-3844 e-mail masayo@silver.ocn.ne.jp
 大阪府松原市南新町3-3-23阪南中央病院労働組合気付け

東京集会実行委員会
 ASIANSPARK 松田卓也 090-4289-6360 e-mail tensaitakuyasan@mail.goo.ne.jp
 参加団体・個人
 ASAIANSPARK、アフガニスタン国際戦犯民衆法廷実行委員会、アラブイスラームの子供たちを助ける会(ジャミーラ高橋)、イラク国戦犯民衆法廷、基地はいらない!女たちの全国ネット、テロ特措法海外派兵は違憲市民訴訟の会、タンポポ舎、ピースニュース、ふくろうの会、劣化ウラン研究会、芦澤礼子、加藤賀津子、倉林正明、斎藤紀代美、坂上武、清水竹人、高瀬晴久、細井明美、山崎久隆

(3)UMRCの新しい論文が発表されました。
 UMRCのアサフ・ドラコビッチ博士がクロアチア・メディカル・ジャーナルCMJに「診断未確定の病気と放射能戦争Undiagnosed Illnesses and Radioactive Warfare 」(CMJ October 2003; Vol 44, No 5, pages: 520-532 )という新しい論文を書いています。この中でUMRCのアフガニスタン調査の結果が報告されています。そして、ジャララバードなど1次調査の対象地区の住民の尿中ウラニウム濃度(各サンプル別)のデータやグラフが公表(公表は初めてです)されています。被曝した8人のデータは非被曝の住民(コントロール群)と比べて平均で9倍という高い値となっています。(米国の平均的な値と比べると27倍です)。またテッド・ウェイマン氏が土壌などのサンプルを採取している様子が写真で紹介されています。
 論文はCMJのエディトリアルで、英文ですがpdfファイルで全文を見ることができます。ドラコビッチ博士とCMJ誌の了承を得て、現在日本語に翻訳する作業を進めています。
 CMJのアドレス http://www.bsb.mefst.hr/cmj/2003/4405/4405.htm


(4)UMRCのイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーンの共同呼びかけ人の皆さんを紹介します。呼びかけ開始後にも何人もの方が参加してくださり、現在43名になっています。
 カンパの呼びかけを発してから1月半近くになりますが、多くの方からカンパが送られてきています。また、10月2日に朝日新聞夕刊にUMRCイラク・カンパキャンぺーンの事が紹介されました。すぐに問い合わせの電話が入るなど一般の方の反応の強さに驚いています。
 カンパを送ってくださった皆さんからの誠実なメッセージには本当に頭が下がります。振り込み票には「何もできませんが」「被爆者として核被害が一番気がかりです」「少額ですが」「がんばってください」等と書かれています。本当に多くの方がアメリカの横暴な振る舞いに憤り、イラクの人々の被害に心を痛めているのが伝わってきます。これらの人たちと心を一つにして声を広げ、UMRCのイラク被害調査を支えたいと思います。宣伝用のチラシも作りましたので、集会などで配布する機会がありましたら事務局吉田までお知らせください。早速お送りします。
 
共同呼びかけ人(順不同)
○青木 茂(阪南中央病院東海臨界被曝事故被害者を支援する会)
○青山有香(フリージャーナリスト)
○安倍陽子
○新井理恵(高校生)
○石川逸子(詩人)
○浮田久子(平和の白いリボン行動・藤沢・代表)
○大河内秀人(特定非営利活動法人「パレスチナ子どものキャンペーン」常務理事・僧侶)
○小川みさ子(鹿児島市議会議員・有事法制を許さない女たちの会かごしま)
○嘉指信雄(「劣化ウラン弾禁止を求めるグローバル・アソシエーション」共同代表)
○川嶋京子(「湾岸戦争の子どもたち」写真展〜米国実行委員会)
○きくちゆみ(グローバルピースキャンペーン)
○小林一朗(環境・サイエンスライター)
○小山英之(美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会代表)
○斎藤紀代美(テロ特措法・海外派兵は違憲市民訴訟の会)
○さとうしゅういち(広島瀬戸内新聞主筆)
○志葉 玲(フリーランスジャーナリスト)
○鈴木かずえ(さいたま市)
○アイリーン・美緒子・スミス(グリーン・アクション代表)
○ジャミーラ・高橋(アラブイスラームの子供たちを助ける会・代表)
○田中 優(日本国際ボランティアセンター理事)
○土田謙次(埼玉県立養護学校教諭)
○遠野ミドリ(国際井戸端会議)
○戸田 清(長崎大学環境科学部助教授)
○豊田直己(写真家)
○野田隆三郎(岡山大学名誉教授)
○広河隆一(フォトジャーナリスト)
○深川博子(平和の白いリボン行動・藤沢・事務局)
○藤岡眞里子(看護師)
○藤木五郎(ピース・ニュース)
○星川 淳(作家・翻訳家)
○細井明美(テロ特措法・海外派兵は違憲市民訴訟の会世話人)
○前田 朗(東京造形大学教授・アフガニスタン国際戦犯民衆法廷共同代表)
○松田浩二(ひらかた「君が代」訴訟=スミぬり裁判をすすめる会・平和都市ひらかたを考える市民の会)
○松田卓也(ASIAN SPARK)
○村田桂子(寒川ピースネット会員)
○森口 貢(長崎の証言の会、核兵器廃絶ナガサキ市民会議事務局)
○森 茂康(九州大学名誉教授)
○森瀧春子(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会・共同代表)
○山崎久隆(劣化ウラン研究会代表)
○山田和尚(グローバル・ピース・キャンペーン日本事務局)
○横原由紀夫(有事立法はイケン(違憲)!広島県市民連絡会共同代表)
○吉岡祈子
○吉田正弘(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局)
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 ●振り込み口座番号 00950−5−264696
  口座名 UMRCイラクウラン被害調査カンパ事務局

アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
UMRCイラク・ウラン被害調査カンパキャンペーン事務局
吉田正弘
事務局ホームページ http://www.jca.apc.org/stopUSwar/
吉田eメールアドレス masayo@silver.ocn.ne.jp



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