イラク戦争劣化ウラン情報 No.4      2003年7月1日

アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局 吉田正弘


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(1)「保有していたが使用したかどうかは分からない」
    −−劣化ウランについてウソを付いて開き直る政府答弁。
(2)劣化ウラン問題を追及するルーレン・モレさんを大阪に迎える。
(3)今回のイラク戦争でも湾岸シンドロームが出始めた。
(4)ツワイサ放射線研究施設周辺での被曝の危険が問題に。
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(1)「保有していたが使用したかどうかは分からない」−−劣化ウランについてウソを付いて開き直る政府答弁。
 新聞やTVでは全くと言っていいほど取り上げられませんでしたが、国会でイラク戦争における米の劣化ウラン使用をめぐって、ウソとデタラメ、無責任極まりない政府答弁が続いています。皆さんにお知らせすることで、劣化ウラン弾の危険性を無視する小泉政権に非難の目を向けて頂きたいと思います。
 一言すれば、政府答弁は劣化ウランの「保有」と「使用」を区別し、米軍は保有はしていたが、使っていたかどうかは分からない、とごまかし、開き直ろうとしているのです。

●6月25日の特別委員会では、社民党の今川正美議員が「(NGOなども援助に入っているのだから)放射能をもった劣化ウラン弾がどこで使われたのか明らかにすべきだ」と迫ったのに対して、驚くべきことに川口外相が「劣化ウラン弾の使用につきましては、米軍は、今回イラクでそれを使ったかどうかということについては何も言及をいたしておりません。」とのばかげた答弁を行ったのです。
※議事録:http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

●6月27日阿部知子社民党議員は、川口外相に、ブルックス准将のブリーフィングをもとに追及していますが、それは既に4月15日に行われた答弁のオウム返しなのです。次のように述べています。「それから、今の御質問の劣化ウラン弾ですけれども、これについてブルックス准将、中央軍のブルックス准将は、三月の二十六日の時点で、米軍は劣化ウラン弾をほんのわずか保有をしているということを言い、その安全性を確信していると述べたというふうに承知をしておりますけれども、我が国として、実際に米軍が今回の作戦で劣化ウラン弾を使用したかどうかということについての確たる情報は持っておりません。」
※第156回国会・外交防衛委 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/156/0059/15604150059005c.html

●6月24日の本会議でも金子哲夫議員(社民党)の「さきの湾岸戦争時に米軍が使用した劣化ウラン弾によって深刻な被害が、特に子供たちに出ています。この劣化ウランの被害についてどう考えるのか」という質問に対して、小泉首相は「劣化ウラン弾の影響については、国際機関等による調査が行われております。例えば世界保健機関がコソボで行った調査報告は、人体及び環境に対する影響はほとんどないとの内容でしたが、確定的な結論が出されているとは承知しておりません。我が国としては、今後の調査の動向を引き続き注視していく考えであります。」と答えている。全く人を喰った答弁です。

 コソボとイラクでは劣化ウランの使用量は比較にならないくらいイラクの方が圧倒的に多いのが常識。それだけでも真剣に調べる必要があるのです。ところがその使用量や使用場所さえ日本政府はアメリカに公表させようと思っていないのです。危険性があるかも知れない、引き続き注視するなどと言いながら、実際には何の手を打つつもりもないのです。アメリカに問い合わせることも、もちろん自分で調べることも、何もするつもりはないのです。そして放射性物質がばらまかれたイラクに国際法にも憲法にも違反する形で、治安弾圧に加勢するために自衛隊まで派遣しようというのです。無責任の極みという他ありません。
※議事録:http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

 ここでは2点反論しておきます。
@何よりもまず、現実にイラク各地に劣化ウラン弾が転がっていること、そしてその残骸や破片から強い放射能が測定されていること。藤田祐幸氏、豊田直巳氏、広河隆一氏、森住卓氏など専門家やフォト・ジャーナリストの方々の現地調査が、広島の森瀧春子さんなど市民運動の調査活動、現地入りしたマスコミの報告などが否定しがたい事実を突き付けています。それを一国の首相と外相が見ざる聞かざるを決め込んでいるのです。
 目をつむったからと言って劣化ウランも放射能も、そしてその人体と環境への被害はなくならない。どれだけ使ったのか、何処で使ったのか、除去する方策を早急に立てること。これら最低限の確認と調査はイラクに人間を送り込む政府として前提ではないのか。もし米政府が回答を拒否するというのなら行かせないというのが当然ではないのか。そう思います。
 しかしそれよりも何よりも、イラクの民衆や子どもたを被爆させ、国土を放射能で汚染した事実を認め謝罪し、被爆した人々への医療保障、全面的な除去と補償をすべきです。

A川口外相は4月15日にすでに、3月26日のブルックス准将の記者会見の英文ブリーフィングを見ながら「保有と使用」のごまかしを答弁しましたが、実際に原文のブリーフィングを読めば、准将は劣化ウラン使用を認めていることは明らか。政府はウソを付いているのです。6月30日の今川社民党議員の質問にも同じ答弁を繰り返しています。さらに「米政府に問い合わせたが、今回の軍事行動で劣化ウラン弾を使用したか否かは今後とも明らかにすることは予定していない」とも述べているのです。本当に米政府の問い質したかどうかも疑わしいですが、もしこの通りだとすれば、米政府自身が、大量破壊兵器問題と同様に、ウソを付いているということになります。
※ブリーフィングhttp://www.centcom.mil/CENTCOMNews/Transcripts/20030326.htm
この記者会見で准将は、「There's a very small portion of our munitions that use depleted uranium.」(劣化ウランを使う弾薬は非常に少量だ)と述べているが、これは、米軍一般の保有について質疑応答しているのではない。現にイラクで侵攻作戦を展開中に、その現地司令部CENTCOMの記者会見の場で、会場から今劣化ウラン弾を使っているかどうか、なぜそんな危険なものを今回も使うのかという質問に答えたものであって、イラクで劣化ウラン弾を使用したことを前提として、ただ使用量は少ない、危険という話は誇張だと答えているのである(もちろん少量というのも、安全だというのもウソだが)。このブリーフィングを「保有」論一般にねじ曲げる政府答弁は全くデタラメである。
※それだけではない。米軍は3月14には劣化ウラン弾を使用すると“宣言”していた。
劣化ウラン戦争を許すな!」 参照。
※さらに、米政府はこれ以後アメリカが劣化ウランを使っていると扱われていることに異議を唱えたことはなく、逆に「危険でないから劣化ウランの撤去(クリーンアップ)はしない」とか「何処で使ったか明らかにしない」などと国防総省関係者が発言しマスコミでも取り上げられている。何よりも、湾岸戦争で帰還兵への劣化ウランの被害の疑惑を今回は先に封じるために、帰還兵に血液検査をする(ウラニウム汚染に効果がどれほどあるかはわからないが)と手を打っていることでも、自分たちが使用し、それが健康被害を与えたと責任を追及されることを恐れていることは明らかだと思う。同盟国であるイギリス国防省は劣化ウランの使用を認めると共に、その使用場所の公表と撤去をみとめ、アメリカにもそうするよう進めるとも発言している。
http://lists.socialforum.at/pipermail/asf_antikrieg/2003-May/000165.html
※更にまた、マスコミ各社も、この発言を使用を認めたと捉えたことも事実である。
※朝日新聞
http://www2.asahi.com/special/iraqattack/roundup/0422/roundup02.html
米中央軍のブルックス准将が3月26日の記者会見で使用を認め、「人体への影響は、近くで大量に粉塵(ふんじん)を吸入した場合に限られる」と述べた。
http://www2.asahi.com/special/iraqattack/TKY200303260335.html
 劣化ウラン弾使用認める、イラク人捕虜4千人 米中央軍.。
※毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200303/27/20030327k0000m030182000c.html
 米中東軍のブルックス作戦副部長は26日、記者会見し、米英軍がイラク軍攻撃で劣化ウラン弾を使用していることを認めた。
※共同通信
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq2/news/0327-324.html
米中央軍のブルックス准将は二十六日、米軍基地キャンプ・アッサイリヤで記者会見し、イラクでの作戦で米軍が劣化ウラン弾を「非常にわずかな量」ながら使用していることを認めた。使った日時、量については具体的に言及しなかった。


(2)劣化ウラン問題を追及するルーレン・モレさんを大阪に迎える。
 大阪で7月5日、「劣化ウランに反対するアメリカの科学者ルーレン・モレさん講演会−−劣化ウランの危険性とアメリカでの反対運動 」を開きます。ふるってご参加下さい。

 ルーレン・モレさんは、科学者として、イラクのバスラ地方で劣化ウランに被曝した住民の健康調査等を行い、劣化ウランの危険性を訴えています。また、アメリカ国内で、米軍の劣化ウラン除染責任者であったダグ・ロッキ氏達と共に、精力的な反対運動を続けられています。バークレー市在住のモレさんは、バーバラ・リー議員と共にイラク戦争反対を訴えてこられました。劣化ウランの危険性と共に、アメリカ国内での劣化ウラン反対運動の状況について紹介してもらい、連帯を深めまようと思います。

 また、モレさんは原子力発電による放射線被曝にも反対されています。ランチョセコ原発等の閉鎖によって、風下地域の乳幼児死亡率が低下したという実態調査をもとに、原発の通常運転による低レベル放射線被曝の危険性についても紹介してもらいます。

日 時:7月5日(土) 開場午後6時、6:15〜9:00
場 所:エル大阪(地下鉄谷町線・京阪「天満橋」下車、歩5分)
参加費:一般700円、学生500円
内容: 講演:ルーレン・モレさん
◆劣化ウランの危険性とアメリカでの反対運動
◆原発閉鎖と乳児死亡率低下の実態−低レベル放射線被曝の危険性−
報告:◇アフガニスタンでの劣化ウラン調査の紹介(UMRC報告)
   ◇関西電力の劣化ウランが兵器転用されている疑惑

□□ルーレン・モレさん紹介□□□
 放射能と公衆衛生の問題に取り組んでいる独立系科学者。専門は環境地質学。リバモア核兵器研究所で働いた後、放射線被曝の健康影響を明らかにする活動に取り組んでいる。米国内で劣化ウラン反対運動に精力的に取り組んでいる。昨年10月には、森住卓氏の写真を米国で紹介する活動に協力。バークレー市の環境委員を務め、イラク戦争に反対したバーバラ・リー下院議員と共に活動。また「先住民のための科学者」の会長として、核実験等による先住民族の健康被害や環境汚染に反対している。
主催:グリーン・アクション
   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
   アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局
(詳しくは署名事務局のHP http://www.jca.apc.org/stopUSwar/actions/moret-jly5.htmをご覧ください)


(3)今回のイラク戦争でも湾岸シンドロームが出始めた。
 今回のイラク戦争参加兵士の中からウラニウムによる症状を訴える兵士が出てきています。最初から心配されていたような「湾岸戦争症候群」の再来です。6月23日付のシドニー・モーニング・ヘラルド紙はアメリカ軍の劣化ウランの健康への影響調査の元責任者で反DUの活動をしているダグ・ロッキー氏の発言を紹介して、アメリカ兵、イラク兵、イラク市民、そして同じような症状はオーストラリア兵士にも起きていると話しています。以下に同記事の粗訳をしました。ご検討下さい。

 アメリカ軍はバグダッドなどイラクの人口密集地で劣化ウラン弾を使いまくる一方、自国兵士に対しては「劣化ウランで燃えている車両には近づくな」という指示を与えていたようです。「劣化ウランは無害だ」と宣伝しながら、実は密かに劣化ウランの被害を恐れていることの証左です。このような「予防措置」にもかかわらず、劣化ウラン、あるいはウラニウムによる化学毒性による中毒と思われる症状が出てきたのです。これは兵士達が(当然イラクの一般市民も!)大量のウラニウムを吸い込んだことの証であり、何年か後には化学毒性だけでなく放射能による被害が出てくることを予言するものでもあるのです。
 イラク人の医師達は、今回の戦争によって新しい癌や先天性欠損などの傷害のピークが2008年頃には現れるだろうと言っていますが、これが現実になる危険性は大きいと思います。


(4)ツワイサ放射線研究施設周辺での被曝の危険が問題に。
 二つ目に紹介するのは戦争の中でアメリカ軍が放射性物質などの略奪を放置していたイラクのツワイサ放射線研究施設の周囲で放射線によると思われる病気が発生しているというAPの記事です。

 この施設には何百トンもの天然ウランと2トンの低濃縮ウランがあったのですが、その一部が略奪されるのを米軍は放置し、放射性物質や放射性物質の入っていた容器(樽)が周辺住民によって持ち出されました。これによって放射線や化学毒性による被曝事件が恐れられたのですが、残念ながら予想通りに患者が出始めたのです。ここで環境中に放出されたウランは程度の差こそあれ本質的には劣化ウランや非劣化のウラニウムと同様の危険性を持ちます。燃焼によってセラミックになっていないだけ人体への影響では小さいかもしれません。ツワイサで環境中に放出されたウラニウムの量がどれだけであったのかは今後の調査を待たねばなりませんが、いずれにしてもそれを上回る量のウラニウムが今回の戦争で使われています。ツワイサとイラク全土−−ウラニウムによる被害が深刻な問題になるでしょう。

 今回のツワイサでの汚染と被曝については、IAEAが緊急の調査チームの派遣を要求し、アメリカは嫌々ながら認めました。ところが、調査はツワイサだけに限定する、短期間しか調査させない、周辺住民の被害調査はしない等々、ありとあらゆる妨害を行いました。
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/nm/20030608/ts_nm/iraq_nuclear_dc_1
その結果が周辺住民での放射線障害と思われる病気の多発です。周辺住民の健康調査、施設周辺だけでなく住民の居住地全体の汚染調査など国際機関による全面的な調査と医療活動が必要です。

 この件については劣化ウラン研究会の山崎久隆氏がすでに事件そのものを紹介されています。(http://japan.indymedia.org/newswire/display/396/index.php)また最近ツワイサに調査に入ったグリーンピースの調査チームも調査活動を行いました。彼らは放射能汚染された家の一軒から通常の1万倍の放射能、小学校の周辺から3000倍の放射能汚染物を発見し、まだウランのイエローケーキが入っていたプラスチック製の樽を隠している家がある事などを紹介しています。彼らは米軍が権限をIAEAに返上し、IAEAのチームが戻って調査をやり直すことを要求しています。
http://www.greenpeace.org/news/details?item_id=288792
 レポートの一つをグリーンピースジャパンが翻訳して紹介しています。
http://www.greenpeace.or.jp/press/2003/20030626_html




兵士はウラニウムによる病気の徴候を示していると専門家は主張する
Troops show uranium sickness signs, claims expert

The Sydney Morning Herald.
June 23 2003
http://www.smh.com.au/articles/2003/06/23/1056220529069.html

 最近のイラク戦争に参加したオーストラリア人の男女の軍人達はウラニウムによる病気の徴候を示していると、米の核兵器の専門家が今日語った。
 ダグラス・ロッキー博士は前米陸軍保健物理学者で、以前は米国防総省の劣化ウラン弾の健康への影響に関する専門家だった。
 ロッキー博士は今日メルボルンで講演し、次のように語った。イラク人の女性たちと子供たち、そしてアメリカとイラクの軍人たちが最近の戦争の後、呼吸器の病気と発疹の症状を示していると報告されている、そして似た症状をもつオーストラリアの男女の軍人たちの事も聞いた、と。
 「それは、私が米陸軍医学部門から受け取ったいくつかの報告です。それは検証し詳しく調べる必要がある対象です」と彼は言った。
 「オーストラリアの軍人やイラク人たちが病気になっているにもかかわらず、オーストラリアの兵士たちはそれらの地域を通るときは隔離されるから病気にはならない、と言う者はいないでしょう。」
 1991年の「砂漠の嵐」作戦の間、ロッキー博士は、友軍の砲撃によって引き起こされたウラニウム汚染の除染を命じられたチームを指揮した。
 「我々が見たものは、たった3語で述べることができます−−おお神様!(Oh my God!)傷は恐ろしいもので、汚染は大規模でした」と彼は述べた。
 「私自身と私のチームのメンバーは、防護マスクと防護服を着ていましたが、その防護はウラニウム化合物の摂取、吸収、吸入に対して何ら十分な防護にならなかったことが、今日ではわかっています。」
 彼は今、ウランへの被曝に関わる発疹、呼吸器の不具合、腎臓の不具合と白内障に苦しんでいると言った。
 ロッキー博士は、劣化ウラン兵器の使用に反対して講演するためにオーストラリアに滞在しており、劣化ウラン兵器について、毒物の悪夢を作る、人道に対する罪だと評している。
 彼は、劣化ウラン弾の禁止、ウラニウムに被曝した人たちへの医療措置、被曝した環境のクリーンアップのために運動をしている。
 オーストラリアにいる間に、彼は公開の集会で話し、また政府高官や帰還兵たちと会う。
 「私が自分の仕事から学んだものは、ウラン弾薬は禁じられなくてはいけないということです」と、ロッキー博士は言った。
 「私たちは、(その兵器が汚染した)環境を浄化する事ができず、被曝した人たちに医療を提供することができないことを考えると、そのような兵器を戦争で決して使ってはなりません。」

 「オズピース・ネットワーク」のジェイコブ・グレックは、オーストラリアは劣化ウラン弾を使ってはいないが、この国はエネルギーのために毎年2500から3000トンのウラニウムをアメリカへ輸出していると語った。
 「これらの弾薬の製造に使われるのは、エネルギー生産ででる廃棄物です。」
 「まさにそのスタートから、劣化ウラン弾が作られるその前から、オーストラリアとオーストラリア政府はこれらの兵器生産の共犯者なのです。」
 「私たちは、私たちの政府に最低限のこととして、アフガニスタン戦争はもちろんのこと、第1次、第2次湾岸戦争からの帰還兵に、劣化ウランや他の化学毒性を持った物質の健康への影響の正確なベースラインの研究になるような厳密なテストを受けさせ・・・治療をしてほしいのです。」とグレッチ氏は言った。
 「これまでのところは、私たちの政府はデマを言っています。それは、米国防総省の言っている事を6〜12ヶ月後にオウム返しに繰り返す報告を発表しています。それは、独立の政府である事の否定です。」
 グレッチ氏は、最近の戦争に参加した軍人からはまだウラニウムによる病気になったという報告を聞いていないが、最初の湾岸戦争の復員兵士の多くが(ウラニウムによる)症状を示していると言った。
 「私は湾岸とアフガニスタンから帰ってきたオーストラリア兵士に、20年前にベトナムで(戦った米兵に)オレンジ剤の被曝が起こしたのと全く同じことが起こると思います。」とグレッチ氏は言った。


イラク人たちは放射線による症状に苦しんでいる
Iraqis Suffer From Radiation Symptoms

AP Sun Jun 22, 9:10 AM ET
By SABAH JERGES, Associated Press Writer
サバ・ジャージス、APライター
http://story.news.yahoo.com/news?tmpl=story&cid=540&e=10&u=/ap/20030621/ap_on_re_mi_ea/iraq_radiation_2

 アル−マデイン、イラク −− 廃止されたイラクの原子力発電所の近くの病院では、毎日何十人もの人々が、発疹の症状、鼻血やそのほかの放射線の毒性による症状を示していると、医者たちが土曜日に言った。
 バグダッドの南12マイルにあるツワイサの原子力施設は(この地域で)戦闘が始まる前夜にイラクの兵士が逃げた後に無防備のまま放置された。ここには数百トンの天然ウランと2トン近い低濃縮のウラニウムがあったと考えられている。そしてそれは核兵器を作るのに使う事ができる。
 米軍は4月7日までその地域を確保しなかった。その時までに、周囲の村からの略奪者たちが、そこにあったものを持ち去った。その中にはあとで飲み水をためておくために使われたウラニウム保管容器も含まれていた。
 放射線障害の症状を患っている人々は、2ヶ月前に原子力のサイトに最も近い病院で姿を現し始めた、とAP通信がインタビューした2人の医者は土曜日に言った。彼らの数はそれ以来かなり増えている。
 「血便を患っている約30〜40人の患者が、たぶん放射線の被曝によると思われるのですが、毎日私たちの病院を訪問します」と、ツワイサ原子力施設から9マイル離れたマデイン総合病院のバッシム・アブード医師は言った。
 国際原子力機関IAEAは、ウラニウムがいくらかでも紛失していないかどうか調べるために今月の初めにイラクに調査団を送った。戦争の混乱の中でウラニウムが盗まれたかもしれないことを恐れてのことである。専門家たちはウラニウムのほとんどを施設内あるいは周囲で発見したと、金曜日に外交官は語った。
 IAEAが本拠を置いているウィーンにいる外交官によれば、ウランが入れてあるビニール袋は略奪者たちが容器を空にするために放り出した地面で見つかり、そして袋のいくつかは明らかにウラニウムがこぼれていた。
 調査団−−その調査範囲はアメリカが率いるイラク暫定統治機構によって制限された−−は、放射性物質に触れたので病気になったと報告されたイラク人に医学的な検査をする事を許されなかった、と外交官は言った。
 しかし、ツワイサに最も近い病院の二人の医者は放射線による障害の疑いは4月16日に起こり始めたと言った。それは13才のイリティファット・リサンが深刻な鼻血で病院に来たときである。
 ジャーファー・ナシール博士は、放射線による症状と診断したと言った。博士によれば、イリティファットは服を洗濯するために彼女の兄弟が施設から持ってきた青色のプラスティック製の容器を使ったと言う。
 「私たちは彼女に症状にあった治療をした」、そして、さらに治療するためにバグダッドのより大きな病院に彼女を送った。
 1週間後に、別の患者、ハッサン・オダという35才の電気技師が、ツワイサから彼が盗んだ発電機を取り付けた後で皮膚に白い斑点ができたので病院に来た。
 「もし私たちが地域全体で医学的調査をしたら、もっと多くの似た症例が見つかるでしょう」と、ナシール医師は言った。
 より多くの最近の症例を治療しているアブードは、夏の高温がいくつかの下痢の訴えの説明になるかもしれない、と言った。しかし、それは今回の原因ではありそうにない。というのは下痢患者たちに対して行われた寄生虫の標準検査が陰性だったからだ。
 「何人かの人は、容器を空にした後、放射線にさらされた」とアブードは言った。その結果、皮膚の障害、呼吸障害、鼻血になった。「私たちには、これと言って取るべき処置がない。私たちは彼らを診断して、バグダッドの病院に送るだけです。」
 彼によれば、人々が汚染された設備を使わないように注意された後、容器の一部は女子中学校に集められ、女生徒が学期末試験のため学校に戻っていた間もそこにあった。除染作業に関わる米軍の専門家たちは、容器1個について3ドルで買い戻すと申し出た。
 「症状は数ヶ月後あるいは数年後に現れるかもしれない。放射線は遺伝的影響を起こす事ができ、その結果、癌になるかもしれない」と彼は言った。