分科会報告



村 田 「NPO法とは、法人格の取得とは」をテーマにした第1分科会の司会を務められた越河さんから報告していただきます。

■法案の質疑に終始してちょっと消化不良■

越 河 第1分科会です。
 ここの分科会は、70名ほどで行いました。5人の方の報告を聞きまして、前半は、NPO法の法案の中身のこと、それからそれが施行された場合の所轄庁である埼玉県庁の対応ということと、市民団体を代表して3団体から、NPO法ができたときに、メリット、デメリットを含めてどのように対応してどのように自分たちの今後の活動を考えるかということの報告をさせていただきました。
 後半は、少しフリートークの時間をとりましたけれども、法案の中身のことに対する質問に終始したという感があります。学習会などを積み重ねている団体だけではなく、初めてこの法案の具体的な中身を聞いた方も多々いらっしゃったと思います。具体的な質問に追われすぎちゃったかなあという感じがいたしました。
 もう少し、NPOの法案ができたときに、私たちの市民団体はどうあっていこうとしているのかということの交流もしたかったのですが、とてもそこまで時間が及ばず、ちょっと不消化のところもあったかなあと思います

村 田 ありがとうございました。
 第2分科会は、「市民活動サポートセンターのあり方とその展開」というテーマでした。笹倉さんに報告していただきます。

■市民サイドの意見を出していきたい■

笹 倉 第2分科会は、市民活動サポートセンターについての話し合いを行いました。
 県の坂井さんからは、なぜ県が、サポートセンター構想策定委員会を設置して議論しているかというお話がありました。
 策定委員会のメンバーの二子石さんからは、委員会でどのような議論がされているのかの要点についてお話がありました。
 そして、神奈川サポートセンターの紹介ビデオを10分ほど上映いたしまして、3人で視察に行ってきた簡単な報告を行いました。
 後半は皆さんとのフリートーキングということで、かなりいろんな意見が出されました。専門家の相談が欲しいとか、意見を吸いあげる機会を作ってほしいとか、市町村への啓蒙のシステムみたいなものがほしいとか、いろいろな要望が出ました。
 策定委員会が、3月に報告を出すと思いますので、それに向けて、またそのあとの設置に向けて、私たち市民の側の意見を出していきたいということで、今後も継続してこの会を持っていきたいということで終わりました。

村 田 ありがとうございました。第3分科会は「市民、行政、企業のパートナーシップで築く地域社会」。報告を高柳さん、お願いいたします。

■パートナーシップをめぐるさまざまな意見■

高 柳 第3分科会ですが、6名の報告者がおりました。最初に堀越さんから「生活介護ネットワーク」の現場からの報告を、加藤さんからは、大宮市でごみの半透明化の問題に取り組んだ経過の報告を、村上さんは「埼玉県環境保護団体協議会」としての活動の報告をされました。高木さんは、ちょっと角度を変えて、青年会議所に関っていらした立場から、社団法人ということの問題のお話をされました。さらに新祖さんは、行政の立場から県庁職員の意識改革の問題を提起されました。
 それぞれの報告に対して、犬塚さんからは研究者としての姿勢から、いわゆるパートナーシップ論の整理というかたちで報告をされました。
 行政と市民の側のパートナーシップの問題ですが、とくに行政、企業は一つの組織ですけれども、市民と単に言ったときはそうではないわけです。市民の組織体としてのNPOとのパートナーシップという視点が必要ということでした。
 いままでとくに行政の側からの市民団体は、たとえば「準直営」というかたち、あるいは「育成」というかたち、「保護」というかたちだったのが、そういったあり方ではなくて、今後は市民団体を「支援」していく。「支援」という関係のためには、行政と市民との対等性、独立性が大切だという話が印象に残りました。
 会場からの発言は多岐にわたったんですけれども、いきなり行政と市民のパートナーシップというかたちではなくて、まず市民同士のパートナーシップを固めて、そのうえで考えていくのが大切じゃないかというご意見も出されました。また、市民と行政とのパートナーシップというとき、この市民とはいったい何かということ──地域の自治会などをどう考えるのかといった問題提起もありました。とくに市民同士のパートナーシップという点では、NPO連絡会が、そうした機能を果たしていければいいなという発言もありました。
 いろんな角度からの議論は出されたんですけれども、なかなか1回だけでは不十分ということは否めないということで、ぜひ今後とも交流を深めていきたいということであったかと思います。

村 田 ありがとうございました。
 皆さまのご協力により、あまりにも厳しい時間管理をしたので、10分ほど余ってしまいました。行政の担当の方も数多く残っていらっしゃいますし、講演者の山岸さんもおつき合いくださっております。また、分科会の報告者に対するご質問などもあると思いますので、2人か3人くらいのご質問、ご意見をお受けしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

■最後の質疑と主催者からの呼びかけ■

 ── 三郷のKといいますが、企業からの寄附のことですけれども、ぼくは非常にそこにこだわるんですが、パネルディスカッションのときに、アサヒビールの加藤さんが言っておられましたけれども、その企業の性質といいますかね、そういうものを十分に考慮していかなきゃいけないように思うんです。それを、何か甘い言葉というか、CMとか何かでずるずる引っ張られていくと、お金のために目がくらんで何か変なことをするんじゃないかというような危険性もあるので、十分皆さん気をつけていきましょう、という意見です。

村 田 そのほかございませんでしょうか。はい。

 ── 大宮に住んでおりますOと申します。行政の方がいらっしゃるんで、ちょっと意見を聞いていただきたいと思います。
 私の個人的な意見では、行政というのはNPOについて何かやるというのはちょっとおかしいんじゃないかと思います。行政はまず巨大な赤字をなんとか減らしていただきたい。副知事さんあたりもいろいろ交際費を使ってるようですけども、まず効率のよいサービスを、市民にやっていただくことが第一で、それからボランティアなどを考えていただきたいというのが、納税者としての希望です。
 ボランティアというものに対して、なぜ県がいろいろやらなくちゃいかんのかということが、私にはわかりません。県の資料を見ますと「こういうことをやります、こういうことをやります」と書いてありますが、強いてやるとすれば、非常に弱い、どうしても立ちあがれないような方を手助けするか、あるいは契約ベースで、対等なかたちで、ある部分を市民団体にサービスをお願いするというような、そういうかたちならともかく、現在やってらっしゃる細かいいろいろな何十というサービス──講習会だとかなんとかというのは、なんでやるのか、私は非常に疑問を持っているんです。そこをちょっと聞きたいと思うんです。

村 田 行政の方から、いまのご質問に。

二 瓶 埼玉県の県民生活課長の二瓶と申します。ただいまのたいへん厳しいご質問ですけれども、なぜ行政が、ボランティアなどにたずさわらなくちゃならないのかというご質問ですが、本日お集まりの皆さまのように成熟して、それぞれの事業を進めてる方も多くいる一方で、何かボランティア的なものをやりたいが、どうしたらできるのかというふうに悩みを抱えてる方々も大勢います。そんなことから、埼玉県では、県民活動総合センターで講習などをやっています。
 そのほかに東京に120万人という大勢の県民が通っています。こういう方の中に、地域に帰って何をしたらいいかという悩みを持ってる方もおります。こういう方に対して、積極的にきっかけづくりを進めております。決して皆さまが進めているような領域に入ることではなくて、むしろこれからどうしたらいいのかという方たちに対して、私どもとしてはお手伝いできればということで、いろいろ事業を進めているところです。

村 田 ありがとうございました。そろそろ時間がまいりましたので、最後に、主催者を代表しまして、二子石章さんからお話していただきます。

二子石 今日は朝から4時まで、参加をしていただきまして、ほんとうにありがとうございました。
 ここで私、ひとつ皆さんにご提案をしたいと思います。
 NPOということで、これだけたくさんの方にお集まりいただいたのは、埼玉県では初めてだと思います。これをそのままにしておきたくないなという気持ちが私にはあります。
 「埼玉NPO連絡会」は、これはもうほんとの連絡会で、だれが代表というわけでもない。私が、一番年上だから代表というようなことをやっておりますけれども──。
 今日、参加してくださったいろんな団体でこれからいろんな集まりをしながら、もうちょっと先へ進みたい、もう少しちゃんとした組織にしていきたい、そういうふうに願っております。
 まだ埼玉県の中に、どれだけ市民活動の団体がいるのかは、完全に掌握をしきっておりません。そういうことも含めて、先に進めていきたいなあというふうに思ってます。
 もしここで拍手をいただければ、今回たずさわりました実行委員の人たちで、その方向に向けて進んでいきたいと思いますが、いかがでしょうか。
(拍手)
 ありがとうございました。それでは、今回、参加してくださった方を含めて、次のことを考えていきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。(拍手)

村 田 皆さま、ほんとうに長い間お疲れさまでございました。


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