子どもに関する事件【事例】



注 :
被害者の氏名は、書籍等に掲載された氏名をそのまま使用させていただいています。ただし、加害者や担当教師名等については、個人に問題を帰すよりも、社会全体の、あるいは学校、教師全体の問題として捉えるべきではないかと考え、匿名にしてあります。
また、学校名については類似事件と区別するためと、隠蔽をはかるよりも、学校も、地域も、事実を事実として重く受けとめて、二度と同じ悲劇を繰り返さないで欲しいという願いを込めて、そのまま使用しています。
S.TAKEDA
890912 体罰事件 2002.1.6. 2002.12.23 2003.2.23 2003.6.15 2004.4.18更新
1989/9/12 福岡市西区の市立壱岐中学校の教師7人が、男子生徒2人(中2)を近くの海岸の波打ち際で、首まで“生き埋め”の体罰。約30分で掘り起こした。
経 緯 教師7人が、生徒2人(中2)に、昨年9月に恐喝事件を起こしたとして問いただしたが否定。

9/12 夜、少年らを車で同区今津の海岸に連れていき、掘った砂の穴に座らせて、首まで埋めて約30分間放置した。

9/13 校長が教師に命じて、生徒2人の頭髪を丸刈りにさせた。

その後、事件に関与したとされる別の男子生徒2人を殴り、うち1人に鼓膜を破るけがをさせた。

1990/7/12 体罰事件が明らかになる。
警察の対応 生き埋め事件が報道されて、警察は埋めて動けなくしたのだから、監禁罪ということで、7人の教師を事情聴取した。その後、警察は埋めた教師ではなく、埋められた生徒がシンナー常習犯だったということで補導。
事件発覚後の学校側の対応 学校側は問題が明らかになると学校側は、服装違反を理由に、2人の生徒の登校を禁止した。

7人の教師は、「我々は今後とも、引き続き、厳しく子どもに対処していく。体罰がなんだ」というような声明文を読み上げた。

事件が明らかになると、「誰が事件を校外に漏らしたか」「学校と地域の恥をさらした。謝るべきだ」と犯人探しが始まった。最初は生き埋めにされた生徒の親が疑われたが、そのうち同僚を疑うようになった。

体罰批判をしていた国語教師の進藤啓子さん(41)が疑われ、教頭から「先生は非常に困った立場にいる」と告白を迫られる。

1990/9/ 自律神経失調症で2カ月間休職。

1991/4 進藤啓子さん(41)が胃ガンで緊急入院。食欲不振などの自覚症状を心労によるものと思いこみ、発見が遅れた。(1991/8/死亡)
PTAの動き 事件発覚後、PTA総会が開かれ、「(生徒を埋めた)7人の先生は立派な先生だから守りぬこう」ということが満場一致で決まる
事件発覚の経緯(後に判明) 1990/7/6 神戸の高塚高校でおきた校門圧死事件をきっかけに、福岡でも新聞記者が似たような話があるのではないかと学校回りをしていたときに、「つっぱりの子を埋めたら、ぎゃあぎゃあ泣いておもしろかった」という話を聞きつけ、取材したところ、事件が明るみに出た。(月刊「子ども」1993年2月号 「砂浜生き埋めが教育か?」 八尋八郎弁護士のインタビュー記事より)
区教委の対応 福岡県教委は、教師7人に文書訓告、校長に口頭訓告。
法務局の対応 1991/5/7 福岡法務局は、「教師らの行為は人権侵害」として、7人の教師に「説示」、校長は指導監督が不十分だったとして「勧告」の通知を文書で行った。
裁 判 1991/3/19 生徒2人のうち1人が卒業後、母親とともに、「教師らの行為は人権侵害」として、校長と7人の教師、学校管理者の福岡市を相手取り、1000万円の損害賠償を請求し、提訴。

福岡県弁護士会の八尋八郎弁護士の呼びかけで、東京から沖縄まで少年問題に取り組む各地の弁護士が参加し、総勢64人の弁護団を結成。
裁判での証拠 進藤啓子教師(41)が、体罰と犯人探しの実態を明らかにするため、亡くなる2週間前に臨床尋問を行って、「陳述書」を提出。
裁判での証言 裁判の証人尋問で、ある教師は、海岸に穴を掘って埋めることを「指宿(いぶすき)の砂こけし」だと言い、「だから、健康にいいんじゃないか」などと言った。
判 決 1996/3/19 福岡地裁、一部認容。福岡市に50万円の支払い命令。(双方控訴せず確定)

「学校教育法11条ただし書きの趣旨は、いかの懲戒の目的が正当なものだとしても、絶対的に体罰を禁止することにある。本件砂埋めは違法な体罰に該当し、当該教員は、体罰を禁止した法の趣旨に関する理解が十分でなく、指導方法を誤ったと言える。生徒に与えた屈辱感などの精神的苦痛は相当なものであったと認められる。」とした。
参考資料 朝日(大阪)新聞・夕(月刊「子ども論1991年8月号)、1992/4/30朝日新聞(1992年6月号)、「子ども白書」1991年版/日本子どもを守る会編/草土文化、1991/3/19西日本新聞・夕、1991/5/22朝日新聞・大阪・夕、 「砂浜生き埋めが教育か?」 八尋八郎弁護士のインタビュー記事(共に月刊「子ども」1993年2月号/クレヨンハウス「間違いだらけのいじめ指導」/小宮山要/1996年10月明治図書、「教育委員会月報」1996年8月号/教育データブック1996−1997/時事通信社




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