2003年3月26日、旧浦和地裁504号法廷にて大野悟くんの裁判があった。前回の1月22日から2カ月余り。しかし、川口市側の代理人弁護士は、予定していた陳述書が間に合わなかったと言った。一方で、生徒側の代理人は書類を持ってくるのを忘れたと言った。かわりに、悟くんの自殺当日の救急車の出動記録を申請しているが、裁判所の申立書がほしいと言った。
次回までには必ずだすようにと、裁判長は穏やかに言って、閉廷となった。
原告側は約束通り、まだ裁判所に提出していなかった悟くんの父親と祖母の陳述書と、祖父の追加陳述書を提出した。被告側の要望で2カ月という猶予を設けたというのに、何一つ準備をしてこずに、予定になかったことだけをやってきた。それに対して、裁判長は文句ひとつ言わない。
しかも今回に始まったことではないと言う。
実は、同じことが他の裁判でも行われている。被告側はわざと時間伸ばしのために行っているのではないかと、疑いたくなる。学校側の弁護士は保健会社が派遣している。いくつもの学校裁判を手がけている。そのために本当に忙しいのか、それとも、それが蓄積されたノウハウのひとつなのか。
そして、証人申請が通ったときには、「忘れました」「覚えていません」で通す。
日本の裁判が長くかかるには、こういった事情もあるのだろう、きっと。遺族の一日も早く真実を知りたいという気持ちを逆なでする。しかし今、言われているような単なる時間の短縮では、さらに遺族が知りたいことを充分に知る機会さえ与えられず、ただ事務的に行われてしまう危険性がある。それでは何のために、裁判を起こしたかわからない。
被告側の弁護士とはいえ、あまりにルールを無視した行為に対しては、イエローカード、レッドカードを出し公告する、弁護士資格を停止するなどの方策を立てるべきだと思う。
確たる理由のない書類の遅れや、証人尋問時の恫喝行為、裁判とは関係のないところでの名誉毀損など、彼らも仕事でやているだけで、法廷を出ればふつうの人間なのだと思いつつ、あまりに原告に対する容赦のないやり方に、なんという悪人なんだろうと思ってしまう。
次回は5月14日午前10時00分から、同法廷にて。予定ではそろそろ、証人尋問に入れるはずだったが。
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