5.1 はじめに
訓練とは新しいスキルや更なる向上のための過程である。他と比較して、より学術的なものはジョージ・レイキーにより以下のように言われている。「学習は行動時の態度を変える。」
NPに適切だと思われる訓練のタイプはいくつか存在する。その中には紛争解決トレーニング、さまざまの種類の調停トレーニング、非暴力コミュニケーショントレーニング、偏見や人種差別に対するトレーニング、資格を与えるトレーニング、特別な任務、例えば選挙監視のためのトレーニング、非暴力行動、暴力に対応するための訓練など数多くある。これらの中にそれぞれトレーナーのための訓練があり、期間は比較的適当に数週間行われるものや、資格を取得するという目的で数年間というものがある。
訓練の対象者が幼稚園児から学生、服役中の者、弁護士、社会活動家、先生、警官、兵士、その他全ての職業と様々である。
ボランティアやスタッフの紛争地域での市民活動の準備のための訓練は違った要素を含むかもしれない。基礎から特別な役割のための訓練(機能別、または役割別)により特殊な配備に備える。(任務別トレーニングともいう)。この最後のタイプについて組織を送ることや国や紛争及び言語の強化を含め、配備に関連する事柄として焦点を当て考察する。
これら任務前の訓練に付け加え配備に直結する任務中の訓練も考えられるがそれはむしろスキル向上のためのものである。配備の最中でのトレーニングも多く見られるが、配備のための定期的な技能の向上と発達のためのものである。
一般に訓練法には様々あるが目的や計画や訓練の中身を比較し注意しなければならない。同じ非暴力のトレーナーでも、個人の発展や人間関係に重点を置く人と技術的なことや特定の紛争の分析に重点を置く人とは内容が全く異なる。
非暴力のもうひとつの大きな違いは西洋式か、ガンジー式かである。簡単に言うとガンジー式では参加者の全人格を訓練し、様々な技術を長期間にわたり身につける。アフリカや南アメリカの訓練機関やトレーナーは別の方法を採用している。例えば紛争解決の伝統的な手法を参考にしたり、‘Theology of Oppressed(解放の神学?)’からヒントを得たり。一般に南半球では弾圧を受けている者の権利の回復の焦点が当てられている。仲介や中立性での役割はあまりない。
西洋式ではしばしば技能主義的であるが、それはまた訓練機関がどの程度非暴力の哲学に重きを置くか、個性がどの程度影響するかで異なってくる。極端には西洋式の考え方では個人や社会の能力は学ぶことができない。これはドイツの「市民平和活動」のための訓練での討論での意見だ。一方でガンジー式では年齢に関係なく全ての人が変わることができる。
次の章で詳しく述べるように、いくつかの団体では特殊な任務の準備以外の全てにおいて(訓練を)無視している。
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