<非暴力平和隊実現可能性の研究>

第1章 非暴力平和隊のイメージ

クリスティーネ・シュバイツアー

1.1 いくつかの概念の明確化--非暴力、紛争、および紛争介入

1.1.5 紛争介入の範囲
これまでのところ、紛争介入は、目的、関係者、手段、そして戦略などいろいろな見方によって分類されて来た。非暴力介入を計画あるいは評価する時に大いに関連のあるさらに三つの見方が導入されている。それは、介入しようとする社会の期間と平面的な地理範囲ならびに階層である。

1.1.5.1 期間
あらゆる人が、短期、中期、長期の目標と活動を区別している。 しかし、ある二人の人がこれらの用語を使用する時、彼らが同じことを意味していると見るべきではない。ここで、ジョン・パウル・レーデラッハによって提案された期間の長さに私たち自身を適応させるのは有益だろう。その提案は、単に資金が年一回分配されるという理由から、1年よりも長いあらゆるプロジェクトを長期と記述している資金供給指令に支配されていない利点を持っている。

レーデラッハは次のように区別している。
・危機介入としての即時行動(2〜6カ月)
・主に準備とトレーニングに使われる短期計画(1〜2年) (能力構築)
・社会変革の計画を発展させるための中期 の10年思考(5〜100年)、 そして
・「その未来像に向かって構築し、到達するために、私たちがやり遂げようとしている未来像」を発展するための長期間の世代的未来像(20年以上)。

1.1.5.2 社会の階層
ジョン・パウル・レーデラッハは、社会の三つの階層(上層、中層、草の根)を区別し、そのそれぞれに平和構築へのそれなりのアプローチがある、としている。

紛争介入との関連の中で社会階層を扱かっているほとんどの著者たちは、三つの階層すべてに手を伸ばそうとする介入者にとって、それがもっとも重要である、ということに合意している。 これは、それぞれの 介入者にとって、すべての階層と接触を持つことが必要である、ということを意味してはいないが、介入は、すべての階層に手を伸ばすことが必要である。上部指導者との間で交わされた協定は、草の 根レベルの大衆の支持がなければ失敗しそうである。またその反対に、小さな草の根のイニシアチブが、同じように上部指導者にも届いていなければ、暴力によってつぶされてしまったり、法的に無効にされたり、片隅に追いやられてしまうだけかも知れない。したがって、中間層の関係者が特別な役割を果たす。 彼らは、上部階層の決定と草の根の現実性を調整することができる。



1.1.5.3 地理的範囲
いくつかのプロジェクトが、地方の一つのコミュニティだけを、あるいはそのコミュニティのほんの一部分だけを対象とし、他のプロジェクトがその国全体および全体としての紛争、あるいはそのいずれかに対して影響力を持つ、ということは良く知られている。

近年、地方の平和地域の開発がますます注目されている。これらは、暴力的な周囲の中にあって、暴力がまだ定着しておらず、非常に困難にもかかわらず平和を保っている単一のコミュニティあるいはいくつかのコミュニティである。全体としての紛争に対して地方のプロジェクトが影響力を持つために、何が必要なのかについての知識はほとんどない。

すべての介入が、紛争が起きている場所に出向くわけではない。前述のように、他の外部団体がかかわるのに影響を及ぼすこと、あるいは不正な構造に取り組むことは、実際の紛争とは遥かに隔たっている場所(力のある国々の中)でうまくおこなわれるのかも知れない。

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