のじれん・現場からの声
 

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現場からの声

7月10日(土)

ああ、腹が立つ!

先週に引き続き、今日も救急搬送が出た。

炊き出し・寄合い・パトロールが終わってみんなと一息つき、さて帰るか、と腰を上げて駅に歩き出した12時、向こうから歩いてくる仲間Jを見かける。話せばシラミのせいで痒くて眠れない、救急車を頼んでくれ、と言う。

まず見せてみ、と言ってみたが膿んでズボンがあがらない。ただ様子は元気そうなので、行っても入院できない可能性が高いことを言って月曜日の福祉行動にくるように薦めるが、福祉はイヤだ、とにかく救急車を呼んでくれ、とJ氏も譲らない。押し問答すること20分、歩いて帰ってくることになってもかまわない、というJ氏の懇願に押されて、ついに救急車を呼ぶ。

救急車到着。これまた押し問答の末、同乗拒否。救急車を追っかけるタクシー代が覚束ない。どうしよう? 結局、入院できないときには連絡をよこす、という約束を救急隊に取りつけて、とりあえず任す。1時。もう帰れない。

小一時間後、救急隊から連絡が入る。案の定、入院はさせられないから引取りにきてくれと言う。病院を聞けば近い。財布と相談してタクシーを拾う。

結局、J氏は体のシラミを落としただけで帰されることになった。衣類の替えを頼むが、用意はないと言う。服にシラミがついている以上、いくら体を拭っても事実上意味はない。せめて下着だけでも、と頼んだら大人用オムツが出てきた。うむむむ。

そのとき看護婦が言った。「そういうものは福祉でくれないんですか?」 …………………………!!

なぜこの人の体がシラミに巣食われているのか、なぜこの人がシラミここに至るまで放置されていたのか、なぜこちらの説得にもかかわらず福祉に行きたがらなかったのか、なぜ深夜の救急外来でオムツまでもらおうとするのか、そもそもなぜこの人の服はこんなに汚いのか、そもそもなぜこの人は野宿しているのか……。

血と言葉が一気に頭に駆け上る。アタマガフクラム。

善意で問いかけるこの若い看護婦は別に悪くない。じゃあ、誰が?(舞)

曇のち雨
炊出し配食数:172食(最多記録更新)
夜のパトロールで出会った仲間の数:186名(内訳:渋谷駅南平台コース43名。区役所コース83名。青山コース22名。東京体育館・明治公園コース38名。)

 


(C)1998,1999 渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合
(のじれんメールアドレス: nojiren@jca.apc.org