福祉事務所で
ぼちぼちと
牧野墺作
月曜日午前9時、区役所傍らにある時計台が福祉行動の出発点である。この時計台下に、金曜日や土曜日のパトロールで体調の悪かった仲間や、日曜日の就労相談で就職を希望する仲間が集まる。…でも、今は集まる仲間がちょっと少な目だ。落ち着いてるらしい。しかし、油断は禁物なのである。まもなく冬がくる。路上の冬は病気の冬でもあるのだ。
区役所内にある福祉事務所に向かう。福祉事務所内に入ると、既に受付を済ませている仲間たちが出迎えてくれる。待合室は、時には仲間でごったがえし、時には数人しかいないときもある。そして、やれ、最近は誰がしんどいとか、やれ、最近は誰が仕事をみつけたとか、みつからなかったとか、情報交換をする。非常にしんどい仲間は生活保護や特別診療券制度を利用して病院で診察を受け、そのまま病院や簡易宿泊所で療養したり、また、仕事を探す仲間は法外援護による各種制度を利用しつつも独力で仕事をみつけることになる。
ところが、そうそう、うまくいかないのが現状である。どんなにしんどくても、福祉事務所はなかなか生活保護制度を利用させてくれなかったりすることがあるのだ。君たちはまだ働けるだろという按配なのだ。ところが、その福祉事務所のフォローを受けながら仕事を探しても、日雇いの一時的な仕事しかみつからないことが多いのである。常用の仕事は遠い彼方にあり、実際には何の仕事もみつからないことも多いのである。残念ながら、職安を利用したとしても同じような状況であったりするのである。
そこで、みんなで支え合う。熱があるのだから、簡易宿泊所で休ませてくれよ、路上だと悪化するばかりだよ。面接場所までの交通費を援助してくれよ、就職したくても電車賃さえないんだよ。みんなで頑張って支え合っている。
* * *
さて、何やかんやで昼になる。飯の時間だ。みんなでカップ麺を食べる。はっきり言って、ちょっと物足りない。できれば、もう一つおにぎりでもあればなと考えてしまったりするのである。以前はカレーライスやラーメンを食堂で食べていたのだが、現在はお金で苦労しているので、少しばかり節約しているのだ。でも、みんなで何やかんやと賑やかに語り合いながらカップ麺を食べている。
その後は、午前中の出来事を整理してから、何人かで病院や施設にいる仲間に面会に行く。午後の面会行動である。仲間が仲間を支え合う。のじれんの基本なのである。面会では色々な情報交換をする。快適に暮らせてますか…実は風呂が汚くてねぇ…それじゃ改善して欲しいですよね、とかいう按配である。既に顔馴染みになってしまっていたりするのである。
こうして、夕方近くになり、また月曜日が終わっていくのである。
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