のじれん・通信「ピカピカのうち」
 

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九・一八対東京都団体交渉


団交報告

●団交までの経緯

六月二三日に全都の野宿の仲間(全都実)と都と の一回目の交渉が開かれ、都 は「都内五か所の設置場所について三区と折衝中で、一か所五〇名くらいのも のを今年度中に二か所設置する予定」と説明した。さらに「仕事が見つからな くても絶対に放りださない」「建物ができていなくても、プレハブや施設を使っ て何が何でも今年度中に二か所開設する」とはっきり言い切った。

●九・一八団交

第二回団交は、暫定施設の「北新宿寮」が九月末、「さくら寮」が一〇月末に 閉鎖される直前の、来年度はじめから本格実施できるかどうかの瀬戸際である 九月一八日に開かれた。

当日は、渋谷からの約一五名の参加をはじめ、新宿、上野、山谷・隅田川、池 袋、東京・日比谷など全都から一七〇名の野宿者が参加。都側は福祉局から生 活福祉部の参事、課長、係長の三人が顔を出席した。

写真: 団交会場 席上、参事は「設置場所についてはまだ決まっておらず、その内容については 具体的に言えない」が「協議は進展している」と発言。しかし重ねて「前回発 言した(年度内二か所開設という)目標はあきらめていない。一〇月末の公表 を目標に区との協議を全力で進める」と明言した。

全都実側は、都がまだあきらめていないこと、努力を続ける意思が表明された ことを受け、今後も最大限の努力を払うよう要請した。

次に野宿の仲間から様々な要望を突きつけた。「センターが開設される前に冬 が来る。越冬対策を充実してもらいたい」「就労対策をなぜ強化できないのか。 労働経済局ともっと連携してほしい」これらの要望は別途、文書で提出するこ ととした(二五日に提出)。

続いて、暫定施設の閉鎖後の対応について説明を求めた。「閉鎖時に就職が決 まっていない人を放り出すことはしない。それ以降の宿泊施設は準備・検討し ているところである」との回答を得た。具体性には欠けるものの、仲間の一番 の心配事はクリアされた。

年度内(三月末まで)の施設開設を考えると、限界の時期に来ているが、望み を捨てず、いま少しだけ都の出方を見ることとした。しかし、ただ黙ってみて いるわけにはいかない。二五日に提出した要望書の回答を受け取るべく、また 動きの鈍い都の尻を叩いて、「一〇月末公表を目標」の約束を守らせるため、 一〇月二二日に自立支援センターの早期設置を求める全都野宿者の都庁デモを 行うことになった。

●台東区団交

一〇月一二日、全都実は台東区に対して申し入れ、団交を行った。区内に多く の野宿者がいる台東区は、率先して自立支援センター設置に協力してもいいは ずだ。

席上、区側は「微妙な問題だ」「今うちでやりますとは言えない」といった対 応であった。しかし、全都の仲間の追及によって「早く作ってほしいと思って いる。都との協議は進んでいる」という、確かな手応えを引き出した。

その週、荒川、墨田、渋谷の各区にも申し入れ、交渉を行った。

●一〇・二二 都庁デモ

団交から一か月、全都の取り組みとして集会、都庁に向けたデモに三五〇名の 野宿者が集まった。代表団が福祉局に回答を受けに都庁に入った。

言葉としては九・一八団交時と同じようなものであったが、台東区団交をはじ めとする行動によって、手応えは確実に感じられるものであった。

野宿の当事者たちの力によって言質は取れた。それを具体化させていくのもや はり野宿の当事者たちの行動である。自立支援センターが実際に建設され、開 設されるまで闘いは続く。

(町田 ナツオ)

対都団体交渉に参加して

写真: 10.22デモ前の集会での筆者 この前、九月一八日、自立支援センター設置の団体交渉に意気込んで私は参加 した。自分なりに意見を紙にメモしておき発言出来るように前日から準備して いたのだ。どのように役所側が説明するか、それに合わせてどのような質問を ぶつければよいか、頭の中で想定した。

当日午後一時宮下公園に集合したのだが、そこに集まってきたのは一五人、予 想よりも少ない数字に正直言って驚いた。でも今にも泣き出しそうな天気だっ たし、仕方ないかなと思って現場へと向かった。もう自分の頭の中には「私の 一言で良い方向へ持っていってやる」という事しかなかった。

交渉の場に着いたとき、もう話し合いは始まっていた。だい熱気、予想以上だ。 相当に皆危機感を持ち、鋭い質問をぶつけていく。都内各所から集まってきた 人数、詳しくはわからなかったがほとんど各地ごとに二〇〜三〇人はいた。そ れに比べると渋谷は一番少なかった。

「このままでは存在感なく交渉を終えてしまう」とあせり、質問をぶつけよう としたが、私自身その熱気の中ではなかなか切り出せない。勇気を出せず、沈 黙を続けざるを得なかった。しかし一人の親しき同胞が積極的に発言してくれ たお陰で、まあ渋谷の面子は保つことが出来、私の気持ちも少し楽になった。

それでも相変わらず発言出来ず、時が流れ、最終局面を迎え、発言が質問から 提案へと変わった。「このままでは何も言わずに終わってしまう、幸い提案は 私の得意分野、ここで発言出来なきゃ恥だ」と思い、思い切って手を挙げた。 もちろん自分が注目を浴びることになる。

その瞬間「やっぱりやるんじゃなかった」と思いつつ、助けてくれとばかりに 机の中に顔半分埋め目は司会の方をずっと見ながら、渋谷の集まりと同じ目安 箱発言をした。工夫もあったもんじゃない、こんなことしか言えない自分が情 けなく腹立たしかった。

支離滅裂な言葉でなんとか自分の主張を伝え、司会者の人がフォローを入れて くれて、役所側に来れない人言えない人に各所で意見を文書にまとめて提出す ることを認めさせることに成功した。

まあ自分にとっての団体交渉はこんなもんだ、あと交渉後食事が出て情報交換 した程度。その中で渋谷の人数の少なさは肩身がせまかった。だから今度の一〇 月二二日の団体交渉、皆で集まろうじゃないか、冬になれば嫌でも問題になる のだから……。もし行けなかったら自分の意見を文章で書いて突きつければい いんだし。

(打成 進)

■全都実

全都野宿労働者統一行動実行委員会は、新宿連絡会・山谷反失実・のじれんの 三団体によって構成され、「自立支援センター」をめぐる東京都との団体交渉 の企画・実施、新宿・山谷・渋谷以外の東京都内の地域(池袋・東京駅など) への合同パトロールなどを、各団体の日常行動とは別枠で実施している。都下 5000人と言われる野宿者問題の抜本的解決は、とうてい各区レベルでは不可能 であり、東京都を動かすためには、都下に生活する野宿者全員が声を挙げる必 要があると考えるからだ。

 


(CopyRight) 渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合
(のじれんメールアドレス: nojiren@jca.apc.org