のじれん・通信「ピカピカのうち」
 

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全都野宿労働者統一活動報告


「我々が渋谷という地域にとどまっている限り、決して我々に未来はないだろ う」

のじれんが結成されたとき、我々はこういって、都内各地で野宿する仲間との 結びつきを求めた。全都への発進。「自立支援センター」をめぐる動きとも合 わせ、野宿者運動の全国的展開は必然的回路であった。より多くの仲間の声と 力、団結こそが、仲間の未来を紡ぎ出していくのだ。このようにしてこの春か ら、全都野宿労働者統一行動が取り組まれる。新宿の新宿連絡会、山谷の反失 実/山谷争議団、そして渋谷のじれん、この三団体が実行委を結成し、その第 一弾として五・一メーデーが準備され、大成功をおさめた。それに続く六・一 九全都集会、六・二三対東京都大衆団体交渉も全都から多くの仲間が結集し、 団結し、行動すれば必ずや仲間自身の未来をつかみとることができることを体 現した。


五月一日
第四回統一メーデー

のじれんは、渋谷の仲間三五名で二〇〇名以上の渋谷・代々木公園の仲間の署 名をひっさげ、柏木公園に続々と集結する都内全域の仲間たちの隊吾に参列し た。

渋谷の仲間が「わっしょい」の掛け声のもと柏木公園に登場すると、すでに会 場は数百名の仲間でうまり、各地から集まってきたことを示すのぼりや、今回 のメーデー実行委主催団体でもある新宿や山谷の旗がひるがえり、まだ結成ま もない俺たち渋谷部隊に会場から激励の声と大きな拍手が起こる。てれくさい ような、むねの疼くような、そんな一幕だった。

photo 黒地に赤字の鮮やかなのじれんの旗は、大きく「渋谷」の文字がぬいこめられ、 渋谷がついに火の手をあげたことを告げる。その旗を、野宿労働者統一メーデー で全都の仲間たちの前に高くひるがえした。会場の熱気につつみ込まれた俺た ちは、一方でこれだけ多くの仲間が真に痛切な各々の思いで参加していること を知っている。都庁足下に集う五〇〇名もの野宿の仲間たち。着たきりの服、 はきつぶした靴、泥とほこりと汗にまみれたその顔は、この社会が強いた現状 の厳しさを知らせる。あるときは散らばされ、ののしられ、そしていたぶられ てきた仲間たちが、結束を武器に、流されずに地中深く打ち込まれた杭のよう に起ち上がったことを、今日のこの日は明らかに示している。

「働く人々の祭典」? 聞いてあきれる日本メーデー状況の中、首都のド真ん 中で、野宿者メーデーが全都の布陣で闘われていることを、全ての労働者たち に示さなければならない。

一八〇〇年代後半、アメリカ、シカゴの労働者たちが黒旗をかかげ、八時間労 働制を要求し闘ったストライキに容赦ない弾圧が吹き荒れ、数多くの労働者が 政府権力に虐殺された。その日を記念する日として、現在もメーデーが全世界 で催されている。

俺たちの屋根、俺たちの仕事、あたりまえの健康で文化的な生活を要求し、署 名一八三一をたずさえ、五〇〇名の力で一日を闘いきった。

メーデーに向けて全都で集められた署名活動は、渋谷をはじめ、新宿、山谷・ 墨田川、上野、池袋、東京・銀座・日比谷公園といった全都の仲間のもとへ、 野宿の仲間たち自身が出向き、メーデー実行委の闘いの意義と署名への協力を 呼びかけ、パトロールを通して仲間の現状を正しく把握し、全都の布陣を固め る重要な取り組みだった。この活動を通して、実行委の方針が、全都の仲間の 熱い期待で支持されたことを実感した。

このメーデーで示した力を東京都の本丸にぶつけていくべく、六月一九日には 恵比寿区民会館にて三〇〇名の結集の全都集会をもち、翌週の六月二三日には 東京都との初の全都野宿者団体交渉を持った。福祉局参事ら幹部をひきずりだ し、仲間の怒りをたたきつけた。認識の甘い福祉局にするどい仲間の追及が容 赦なくあびせられ、一五〇名の仲間で会場から廊下まで満杯の熱気に押されて 汗をぬぐいながらの東京都に、全都の仲間が団結すればいかに東京都が逃げよ うが、ひらき直ろうが、動き出した歯車をもうもどすことはできないのだとい うことを確信させた。俺たちは俺たちの手に、その手にすべきものを当然のも のとして手に入れる。この社会の強いる現実には、団結という俺たちの未来を つかみとる武器で立ち向かう。

勝利の日まで!

(黒田)
野宿労働者統一要求スローガン


誰でも入れる
自立支援センターを
全都にもっと設置せよ!

センターに入った
仲間に仕事を!

アオカン通院をやめさせ、
病人や高齢者に生活保護を
きちんと出せ!

六月一九日
センター早期設置を求めて

自立支援センターの早期設置を求める全都集会が、地元恵比寿区民会館で開か れた。雨にもかかわらず、渋谷をはじめ各地から三〇〇人近い仲間が続々と集 まる。入り切れないくらいいっぱいの会場は、仲間の熱気であふれている。

仲間の底力を見せた五月一日のメーデーのビデオ上映に引き続き、基調が読み 上げられる。全都の仲間の屋根と仕事のための自立支援センターを早く作らせ るためには、ただ行政の遅々とした動きを待つのではなく、仲間の大きな団結 の力で、行政からもぎ取っていこう、という意志が確認され、六月二三日の全 都の取り組みとしてははじめての東京都との団体交渉への決意が固められた。

引き続いて、現在、暫定的に開設されている自立支援センターの、さくら寮と 北新宿寮でがんばっている仲間から報告があり、まだセンターに入居していな い会場の仲間との質疑応答で盛り上がり、センターへの関心の高さが伺い知れ た。そして、この全都集会を呼びかけた全都実の三団体がそれぞれアピールし、 最後に本集会の決議文を仲間が読み上げ、圧倒的な拍手でもって採択された。

(黒岩)

六月二三日
全都の仲間で団体交渉

会場である早稲田の行政施設は、渋谷をはじめとした、前述の六か所から集まっ た一五〇人近くの仲間で入り切れないくらいだった。冒頭、都から「都内五ヶ 所の設置場所について現在三区と折衝している段階、今年度中に二か所設置し、 一か所の五〇人位の予定」と説明。それに対して仲間からは「早くしろ!」 「全然足りない!」など、当然の声があがる。また福祉事務所が受け付けにな るという話のなかで、仲間たちは福祉に対しての不信感をあらわにし、仕事が 見つからなくても絶対に放り出さないことを確約させた。さらに仕事について は、労働経済局ときっちり連携し、この失業地獄の中でも仕事に就けるように 対策を講じることを約束させた。都は、仲間の切実な声に始終圧倒され、「建 物ができていなくても、プレハブや施設を使って何が何でも今年度中に二か所 開設する」とはっきり言い切った。 

(黒岩)

 


(CopyRight) 渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合
(のじれんメールアドレス: nojiren@jca.apc.org