のじれん・通信「ピカピカのうち」
 

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のじれん行動報告

  ぴ か う ち 1 3 ・ 1 4 号 行 動 報 告 
                                          黒岩大助
 春と夏の行動報告を、恐ろしいことに、すっかり秋めいた9月の下旬に書いている。通信の発行が遅れに遅れ、ついに合併号のやむなきに至った。その苦渋と言い訳とお詫びは、編集後記に譲るが、行動報告の担当者は、原稿の遅れをいつもの如く、多忙と怠惰のせいにしない。もはやそれらの仕業として開きなおれないものと総括する。確かに忙しかった。僕はと言えばこの夏、お倒れあそばしていた。去年、全国行脚で患えなかった夏バテが2年分襲ってきたのだと人は言う。しかしそれは本質ではない。我々は、活動や行動の忙しさの中で、疲労を蓄積させ、神経を磨り減らし、それぞれの生活とそれぞれの自発性を従属させてきた。
 秋、我々はそれら全てを抜本的に見直そうと考えている。野宿の仲間にしても、支援の仲間にしても、仲間同士の関わりや運動のあり方の検証と変革がなければ、維持することはできても、発展はない。日々精進。人は、人々は、必ず変われる。
 穏やかな季節を甘受する間もなく、冬が来る。冬の過酷さを待つまでもなく、時代はますます厳しくなっている。我々は、時代閉塞の現状を嘆くことなく、また迎合することなく、確かな足取りで一歩一歩前に進んでいきたい。あせらず、じっくりと。

3/9
東京都福祉局、「東京のホームレス−自立への新たなシステムの構築に向けて−」(ホームレス白書)を発表。「大都市が抱える構造的な問題として、重要な行政課題として位置づけ、これまでの応急援護中心の対策から、社会復帰に向けた長期的、総合的対策に踏み出す」ことを明言し、具体的には緊急一時保護センターの新設、自立支援センター、グループホームの拡充を打ち出す。一方地域社会との摩擦、公共施設の適正管理について言及。

3/12
宮下公園で初の特別一斉清掃に向けて、渋谷区公園課がテントの仲間を個別訪問、ビラで告知。現在代々木公園で行われている月一の一斉清掃に倣ったものだが、事前の公園課との話し合いの中で、1テントは畳まなくてよい、2自主的にテントやその周辺を清掃する、3当日仕事などで留守にする場合、その旨張り紙しておけば手をつけない、ことを確認。

3/10
支援の医師による医療相談。相談5人、福祉対象者1人、紹介状1人

3/14
越冬宿泊施設「なぎさ寮」閉鎖。

3/17
炊き出し前の寄り合いで、越冬闘争集約集会。2月より大阪長居公園の強制排除に対する闘いに合流していた派遣団の仲間、帰還報告。入れ替わりに「ホームレス東アジア交流」の第1弾として韓国訪問団、仲間の声援に見送られて出発。

3/22
宮下公園で一斉清掃。空きテント数軒が撤去されただけで、特に大きなトラブルなし。

3/24
上野公園での春まつりに参加。

3/25〜27
「ホームレス東アジア交流」韓国訪問団、韓国の支援者や当事者とともに渋谷へ。

3/30
高齢や病気、怪我の仲間を対象した越冬宿泊施設「さくら寮」閉鎖。東京都と23区の合同事業の越冬対策終了。

4/2
代々木公園で団結花見大会。130人の仲間が集まり、大いに盛り上がる。

4/8
簡易宿泊所で生活保護を受けていた斉藤正巳さん、夜容体が急変し、救急搬送、病院で死去。享年60歳。

4/13
対策のさらなる拡充、拡大を求めて春期行動開始。朝、渋谷区役所前で情宣行動の後、保護課長に、1自立支援センターの入所者のフォローの充実、2今年度渋谷区開設の時期、場所、規模の目処、を求めた申し入れ所提出。午後、都庁前に全都の仲間150人が結集し、小集会、情宣行動。

4/14
医療相談。相談14人、福祉対象者10人、紹介状7人

4/15
代々木公園渋谷門付近のテントの中でミイラ化した遺体を仲間が発見。死後1、2か月経っており、女性らしいという。
代々木公園から去年11月より入院していた武田次雄さん、病院で死去、享年66歳。

4/20
春期行動第2弾。渋谷区行動の後、都庁行動。全都各地の代表で東京都福祉局と交渉。自立支援センターの、1期間の延長、2住宅の確保、3関係機関の連携についての申し入れに対して、1「大前提として入所した仲間を再び路上に戻さない、柔軟に対応していく」、2「住宅局とも調整しながら全力をあげる」、3「連携不足は認識しており、対応に不十分な区に対しては指導する。局内に自立支援担当課を新設した」との回答。また台東、新宿に続く、第3の施設「豊島寮」について4月27日開設、5月10日入所を明らかに。

4/26
新たに池袋の仲間たちが立ち上げた「池袋野宿者連絡会」呼びかけの池袋初のデモに参加。対応が不十分な豊島福祉に対し、怒りの声をあげる。

4/27
春期行動第3弾。渋谷区役所前で、朝情宣の後、前段集会、新宿、池袋の仲間からもアピール。続いて保護課長と青空団交。自立支援センターの渋谷区開設について、「現在の進捗状況や目処については微妙な時なので何も言えない、しかし何もしていないわけではなく最大限努力している」「来年に持ち越すことはしたくない、話せることは随時明らかにしていく」と明言。午後、都庁行動、各地から200人結集。

4/29
渋谷勤労福祉会館で、のじれん結成3周年総会。

5/1
第7回全都野宿労働者統一メーデー。集会場の新宿柏木公園に、渋谷50人の他、新宿、山谷、上野、隅田川、池袋、大田、多摩川、東京駅、三多摩、横浜寿の仲間や、労働組合、支援の仲間など合わせて500人が結集。国会議員の挨拶の後、メーデー実行委から自立支援センターの開設を実現させた全都の仲間の団結の力で、対策のさらなる拡充と拡大を勝ち取ろうとの基調が述べられ、まともに生活保護を出そうとは市内三多摩の市町村部に対し改善を求めていくことを全体の拍手で確認。続いて新宿、山谷、渋谷、池袋の各地の団体からの決意表明と、三多摩でパトロールを行っている仲間、西部地区の労働組合の仲間から連帯のアピール。集会後、都庁に向けてのデモ、都庁前で東京都福祉局との交渉に臨む代表団を送り出す。集約集会では、各地の仲間のアピールに続き、代表団から交渉の報告。福祉局は、自立支援センターについて豊島寮5月開設に続き、この秋渋谷寮、墨田寮の開設に向けて準備を進めていること、シェルターについては排除の受け皿にしないこと、冬までに開設させることを明言。

5/10
豊島寮入所開始。雑司が谷にある山手企業組合の千登世橋寮を改築したもので定員は80人。台東寮からは中央など6区、新宿寮からは豊島など5区が利用。渋谷は、新宿、世田谷、目黒とともに引き続き新宿寮。

5/11
代々木公園で管理事務所が特別一斉清掃。毎月20日前後に行っているもので(1、2、8月は中止)、これまでの話し合いで雨の日は中止、病気や仕事の場合は畳まなくてよいことを確認していたのだ、前日雨模様で実施の園内放送をせず、強行したので、仲間達の反発招く。

5/12
医療相談。相談5人、福祉対象者2人、紹介状1人

5/14
渋谷駅周辺などで街頭カンパ行動開始。8月まで毎週月曜やりきる。毎回2〜4万円をキープ、逼迫の極致にあるのじれんの財政を救う。

5/20
渋谷区が行っていた高齢者入浴デーにおいて、9月15日から区内住民登録を条件とした利用者証が必要になることの告知。このサービスは、60歳以上の高齢者が、毎月第1、3日曜(9月だけ第1と15日)午後1時から4時まで、渋谷区内のどこの銭湯でも証明書不要で無料で入れ、入浴の機会のない野宿の仲間にとって貴重なものだった。

5/31
宮下公園一斉清掃。渋谷区公園課は、月一回の実施を検討していたが、4月は渋谷区クリーンデーのために出来ず。雨のため午後から行ったが、とくにトラブルなし。

6/4〜8
「ホームレス東アジア交流」第2弾、香港訪問団出発。

6/9
医療相談。相談8人、福祉対象者4人、紹介状4人。

6/12
高齢者入浴デー問題で、所管部の渋谷区福祉部管理課庶務係と交渉。今回の措置により、住民票を持たない仲間が従来通り利用できるよう強く要請。庶務係は、18日にも銭湯組合と会合をもつので19日に回答すると約束。
自立支援センター入所行動。(渋谷区は福祉の窓口で毎週火曜午前9時に入所受付。枠があれば抽選で決める。)豊島寮開設にあたり、まだ新宿寮から移動していない区もあるため、渋谷区は3週連続で枠なしの状態に。3人枠のところ8人申し込み。抽選で当たった仲間のうち1人豊島区から入所していたことが判明し、結局2人入所。はずれた仲間のうち2人杉並東福祉から、1人中野福祉から豊島寮へ。1人世田谷砧福祉から新宿寮へ。
道玄坂で50歳後半位の男性の仲間が、死後救急車で搬送。死因は解剖の結果脳梗塞による心停止。身元は不明。

6/14
民主党が立案した「ホームレスの自立の支援等に関する臨時措置法案」、超党派の議員立法としてではなく単独で上程。「ホームレスの自立の支援、ホームレスになることを余儀なくされるおそれがある者に対する支援等に関し、国等の果たすべき責務を明らかにするとともに、必要な施策を講ずることにより、ホームレスに関する問題の解決に資すること」を目的としており、「自立の意志のあるホームレス」に対しては、「安定した雇用の確保」「安定した居住の場所の確保」「健康診断、医療の提供」などを行うこと自立させることを施策の目標としている。また「国、地方公共団体の責務」とともに「ホームレスの努力」が求められ、具体的な対策は、国(厚生労働省と国土建設省)が基本方針を都道府県が実行計画を策定するとなっている。

6/18
代々木公園一斉清掃強化の動きについて、代々木や宮下公園などの仲間で寄り合いをもった後、管理事務所との交渉。仲間の代表が、1前日から雨が降れば一斉は中止、2病気入院や、仕事が入れば、テントは畳まなくてもいい、3強制的な撤去はやらない、4警察の介入はさせない、5脅しとも取れる行動及び言動をしない、との要望書を読み上げ、以上の事を守らない場合は今後一斉を拒否することを突きつける。

6/19
衆議院議員会館で、新宿連絡会などが呼び掛けた「ホームレス自立支援特別法案」の早期制定を求める集会。のじれんとしては、法制定そのものに反対ではないが、各地の団体や仲間との議論が十分とはいえないことや、法案の早期制定過程より対策の拡大、拡充要求に重点をおいた方がよいという見解から、何よりもそれぞれの仲間の声を直接国会議員に届けるために参加。
高齢者入浴デー問題で渋谷区と交渉。前日の銭湯組合との会合でこちらの要望は伝えておいたと言うのみで、利用者証発行の条件として住民登録に固執。引き続き検討を強く申し入れる。

6/20
代々木公園一斉清掃予定日。前日からの雨で本来なら中止のはずが、午前7時半、「畳めるテントは畳んで下さい」との放送、仲間で管理事務所に抗議した結果、8時、一斉中止の放送。

7/8
これまで隔週の日曜に行っていたアルミ缶回収(午前8時宮下公園、8時半代々木公園)を週間化に(後木曜に変更)

7/2
並木橋近くの公園で鈴木長四郎さんが亡くなっているのを仲間が発見。享年80歳。死因は不明だが、この間連日の35度を越える猛暑による熱中症の可能性。

7/5
山谷労働者福祉会館で行われた東京都福祉局山谷課との交渉に、渋谷からも25人が駆けつけ、山谷、隅田川、上野、東京駅の仲間合わせて60人が結集。山谷労働者センターが出している特別就労に関する話し合いで、今年2月に続き2回目。山谷課の課長はあらためて就労対策基本であること、仕事の確保が最大の目的であることを強調。人工数の増大と新規登録の受付を軸にすえた特別就労の全都的な拡大を求めた要望書に沿って話しが進められるが、具体的な回答はなく、仲間からは認識の弱さについて指弾される。秋を目処に全力で取り組むよう、次回は産業労働局を同席させ、当事者と話し合うよう。強く求める。

7/7〜8
大阪の矢田で開かれた全国寄せ場地域交流会に参加。全国各地の日雇い労働者や野宿者をめぐる問題に取り組んでいる団体が一同に会するもので毎年開かれている。今年は
「ホームレス東アジア交流」で香港や韓国の訪問団も参加。

7/10
宮下公園隣の神宮通り前公園のテントで、仲間が亡くなっているのを近くの屋台の人が発見。福祉で確認したところ江良武雄さんと判明。享年58歳。家族が遺体の引取りを拒否したため福祉の葬祭扶助で火葬に、遺骨は東京福祉会の安置所へ。以前衰弱で都立民生病院に入院し、面会にも行っていたが、なかなかコミュニケーションがとれなかった。

7/14
医療相談。相談3人、福祉対象者2人、紹介状2人

7/16
この間渋谷区役所が突如設置したベランダの扉や地下駐車場の柵によって仲間が閉め出された問題で、保護課、公園課、企画課、経理課にそれぞれ申し入れ書を提出。渋谷区の関係各部署が構成している「路上生活者問題連絡会」に宛てたもので、「対策なき排除はしない」という渋谷区と仲間との確約を反古にし、福祉との協議もろくにせず、結果的に夜だけベランダで寝ていた67歳の仲間が行方不明になるという今回の行為に猛省を促している。回答について8月6日予定。同時に福祉の保護課長には、要生活保護の仲間が、入所する簡易宿泊所や施設が常時一杯で路上待機を余儀なくされているという現状を受けて、生保の適用を受けた仲間が直接アパートに入居できる途を開くよう要望。
東京都、緊急一時保護センター(シェルター)の開設について発表。今年11月開設予定で、場所は大田区にあるなぎさ寮。(越冬宿泊施設や山谷対策での越年や通年の宿泊施設として利用)、定員は300人で入所期間は原則1か月、誰でも入れる。再来年までに100人規模のシェルターを荒川区、江戸川区、板橋区、千代田区に設置。

7/23
午後、代々木公園南門付近の仲間が死去。詳細不明。
先週からアルミ缶回収で使っていた代々木公園渋谷門付近に柵が張られことに対して、管理事務所と団体交渉。夜楽器の練習に来る者への騒音対策でアルミ缶回収に使っていたことは知らなかったという。仲間の強い要求で代替地を用意すること、柵は原則として1年後に撤去することを約束。

7/26
首相小泉、街頭演説で「(日本では)こじきでも字を読める。新聞読んでいる。ホームレスでも」と差別発言。以降署名活動や抗議行動など展開。

8/7
区役所庁舎の追い出し問題で、渋谷区の保護課、企画課、経理課の課長と団体交渉。30人近く仲間が結集し、朝ビラまき情宣行動の後、渋谷区の回答を聞く。今回の工事が手順を踏まない不十分なものだったことを認めながら、「今回の工事は強制撤去ではない」「扉は撤去しない」と開き直る。仲間の怒りの声に押され、経理課長が「今後工事を計画したときは、仲間に対して『住民説明会』に準じた説明を行い、仲間の意見を聞く場所を設ける」と確約。また保護課からも改めて扉の柔軟な運用を経理課に打診するよう検討することを約束。

8/11
医療相談。相談3人、福祉行動対象者1人、紹介状1人。

8/13
宮下公園で第4回夏まつり。流しそーめんや綱引き、カラオケや将棋、屋台や散髪など、お盆、故郷に帰るに帰れない仲間達の汗と笑みで1日中盛り上がる。

8/14
夏祭りの最中、突如宮下公園に建設された自前のシャワー室の撤去について渋谷区公園課と交渉。移転することで常設を勝ち取る。

8/15
夜、宮下公園の仲間達、ひったくり犯をひっ捕らえ、後日渋谷署から金一封(!?)。

8/22
山梨県明野村の農家で、のじれんの仲間、支援一同合宿。2日に渡りワークショップ形式で、それぞれの思いが白熱。


 


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