新たなる排除の動き ---北新宿「収容所」計画の検証---

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いのけん会員のみなさん,お久しぶりです.新宿の状況も,目まぐるしく変化してお り,私も仲間とともに東奔西走している今日この頃です.

前回のいのけん通信で取り上げた東京都第三建設事務所による三月二十四日,二十五 日の一斉清掃では,又もやとんでもないことをやってくれました.

地下広場の一部で「だまし討ち排除」を行ない,その際三建の山口副所長は,「裁判 なんか,関係ねー!おまえらとは,そもそも最初から信頼関係なんか無い!」と叫び ,騒然とした状況になりました.通行人の方々も大勢居たので,野宿者の現状, 行政の無策,今回の非道な仕打ちについて訴えていると,一般の方が三建職員に抗議 してくださる状況になりました.

しかしめげないというか,懲りない三建は,四月十一日から一日三回の『不法占拠者 への警告放送』なる場内放送による嫌がらせを始めました.広場で寝起きしたり,煮 炊きをしたり,物品を販売することは法律違反なので,直ちにやめて退去しろという ものです.(ナンセンス!)

そして四月十五日からは,三建と西口振興会が共同で雇った,帝国警備保障(株)の 警備員が毎朝退去勧告と称して,仲間らを叩き起こし出 ていけと言い捨てていくようになりました.「いく ところがないから,野宿してるんだ.どこに行けばいいんだ?」と聞いてもだんまり で,警備員にくっついている警察官共が,睨み付けていくというものです.

毎朝の執拗な退去勧告に,私等の抗議行動も燃え広がり,遂に権力は四月二十八日に 警備員に抗議していた支援の仲間一名に対し,「暴行」容疑でのでっちあげ逮捕によ る弾圧をかけてきました.そして二十九日には機動隊まで導入され,さらに二名の支 援の仲間が「暴行」と「公務執行妨害」容疑ででっちあげ逮捕されてしまいました.

そして毎朝の攻防の中,突如四月三十日に読売新聞紙上で,「東京都が新宿西口のホ ームレス対策として,北新宿に(仮称)自立支援センターを暫定実施」と発表され, 執拗な嫌がらせの背景が明確になりました.

私等は,五月一日メイ・デイでは二百八十名の全都の野宿の仲間と支援の仲間 の前で,不当なでっちあげ逮捕にも臆することなく,なんとしても北新宿「収 容所」設置を白紙撤回させ,強制排除を許さない闘いを貫徹することを宣言し ました.都庁側は,四月十日に新宿区役所生活福祉課の今野課長に「収容所」 計画を持っていき,「都の単独事業でやります.今度行なう住民説明会に,出 席してくれ」と言いにきて,四月二十六日に北新宿四丁目町内会理事会におい て,第一回の説明会を開きました.

その際福祉局の堀内参事の説明では納得できない人たちは,「住民の合意が得られな い場合は,設置工事の着工はしない」という言質を取り,五月十日に地元住民に対す る説明会を開かせることを約束させました.

私等はこれらの情報収集と並行して,北新宿現地における「収容所」設置反対を地元 住民に呼びかけるためのビラまき・練り歩き行動に取り組みました.

そして,五月十日の説明会の当日,私等が説明会会場の前で,やってくる地元住民の 人たちにビラを配ろうとすると,福祉局の職員三名が妨害しようとするため,小競り 合いしながらビラを配りました.さらに私等が会場に入ろうとすると,門を閉じて入 れさせません.しかし会場の横に回れば中の声は充分に聴き取ることができました.

住民側が差別排外主義的な観点から反対を唱え,都庁側は反対されても強行すると言 い,住民側が約束が違うと非難し,都庁側は再協議しましょうと呼びかけ,住民側は 都議会議員・区議会議員も交えて「設置反対協議会」を作って設置の白紙撤回を求め ていくということになりました.そして「設置反対協議会」は六月二日には青島都知 事あてに,一万五百三十一人分の署名と共に設置の白紙撤回を求める陳情を行ない, あわせて新宿区議会に対しても同様の請願をだしました.

私等も,六月五日に設置の白紙撤回を都に求め,あわせて都区協議の上抜本的な対策 を講ずる努力をするよう求める陳情を提出しました.

住民側の請願,私等の陳情ともに,六月十三日の福祉衛生委員会で審議されました. 住民側の請願は,差別排外主義の偏見に満ち地域のエゴむき出しの内容にもかかわら ず採択され,私等の陳情は内容論議もせず,ただ揚げ足とりに終始し,自民党がごり 押しで「継続審議」という名の棚上げにしてしまいました.

つまり新宿区議会の場においても,差別排外主義の偏見から,私等野宿労働者の意見 を無視し,抜本的な対策をとる気がないことが明白になったといえます. 私等はこの結果に落ち込むことなく,六月一四日北新宿現地における集会とデモを二 〇〇名近くの仲間の結集でかちとり,今後も「収容所」計画を白紙撤回に追い込むま で闘うことを誓いました.

どうか皆さん,これからも応援よろしくお願いします.


いのけん通信第 15 号(Jun. 27, 1997)
(c) 1997 池田 大介(新宿連絡会),渋谷・原宿 生命と権利をかちとる会
inoken@jca.ax.apc.org

$Date: 1997/08/12 14:52:50 $ 更新

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