東京都は,再三の私達の話し合い要求の拒否のすえに,ついに 1 月 24 日の未明から 早朝にかけて,新宿西口 4 号街路に東京都職員・機動隊・ガー ドマンなど約 1000 名を導入し,ここに暮らす 200 名とそのダンボールハウスや 荷物等といった生活基盤の一切を徹底的な暴力で強制撤去・破壊するという暴挙 を行ないました. そして,さらに機動隊権力は全力で抗議・抵抗した新宿連絡会の仲間達および 当日駆けつけた多くの人々に対して襲いかかり,4 名の仲間をでっちあげ指名 逮捕し,たくさんの仲間に怪我を負わせました. また 26 日に抗議デモを行なった際,機動隊はデモ終了後にインフォメーション センター前に踏み込み,もう一人の仲間をでっち上げ指名逮捕したのです.
私達は「動く歩道」建設計画の発覚以来,一貫して「話し合い解決」を模索し, 具体的に申し入れ行動を重ね,都に対する取り組みを,この事態の直前まで 粘り強く繰り返してきました.それに対して,東京都は拒否と暴力のみの 回答しか示してこなかったのです.強制撤去に先立つ 1 月 13 日には,東京都は,機動隊・ガードマンに護られながら, 立ち退き勧告を強行し,それに反対する仲間を 3 名逮捕し,そのうちの 1 名は 機動隊のバスに連れ込まれ,無抵抗であるにもかかわらず,「この国からでていけ」 などと罵られて機動隊数名に暴行を加えられ,肋骨を折り,肺に穴があくという 重傷を負わされているのです.
青島東京都知事は,我々の話し合いの要求を一方的に拒否し, あまつさえ警察権力と結託し,度重なる暴力をもって弾圧し続けてきた にもかかわらず,テレビ・新聞などにおいては,いけしゃあしゃあと 「こちら側(東京都)の意向が理解されなかったことを残念に思う」 「支援者の暴力的な行為で,ああなったことを都民に理解してほしい」 などとコメントし,自らが行なったことは一切隠して,さも今回の事件は 東京都には一切問題はなかったとするような居直りとも,ペテンとも いえる言辞を繰り返しています.
東京都は,「追い出し」の批判を避けるために,4 号街路から追い出した 「ホームレス」を 2 か月だけ芝浦の施設に「保護」するという施策を出しましたが, それは,周りをすべて運河で囲まれ,唯一の出入口である鉄橋には有刺鉄線を 巻き付けた二重の門がそびえ立つ文字通りの「収容所」です. 東京都は地域の住民に対して「(ホームレスを)用もなく徘徊させない」と 確約しており,当事者からは「禁固 2 か月」の「刑務所」 とも言われています. 住居や就労についての抜本的な対策は何一つ行なおうとせず,ただ一時的に 場所を移し,しかもその間に帰る場所さえ奪い去り,「野垂れ死に」を 強制するというのが東京都の姿勢です.
現在,施設は定員 200 名に対して 約 1/3 の 75 名という大幅な 定員割れの状態に陥っています.
現在,私達は西口地下広場インフォメーション前に「緊 急避難所」を開設し,4 号街路を追い出された仲間が中心となって, 新宿の野宿生活者の拠点として,荷物の預り,医療相談,連日の炊き出しや 掃除,抗議・カンパ活動,人民パトロールなどに取り組んでい ます.下にブルーシートとダンボールを敷き,夜には風よけのビニールシートで 周りを囲うだけの簡素な「避難所」ですが,現在数十名が寝食を共にし,自主的に管理 ・運営しています.ですが,この「避難所」にも追い出しの脅しがかかっています.
新宿西口 4 号街路は約 200 名の仲間がお互い厳しい状況の中で 助け合い,生き抜いていくためのコミュニティの中心であり,「ダンボール村」 というコミュニティを奪われた人々が,仲間同士のつながりを失い, バラバラにされてしまえば,あとは「路上死」という運命しか待っていません. 東京都はまさに「野垂れ死に」を野宿労働者に強制する施策を, 暴力をもって強行しているのです.
私達は,青島知事を筆頭とした東京都および警察権力のこの暴挙に対して, 満腔の怒りをもって抗議するとともに,一人の「野垂れ死に」も拒否し, 闘っていきたいと思っています.獄中や「収容所」に分断された仲間とも 結びつきながら,インフォメーションセンター前を闘いの軸としながら, ここを守り抜き,新宿で助け合い,生き抜いていくことを通して, 暴力をもって排除を強行した東京都および警察権力の殺人的な行政政策の 誤りを社会に明らかにしていきたいと考えています.また,行政に対して当事者との 話し合いを粘り強く求め,本当に当事者が本当に必要としている 抜本的な対策を求めていきたいと考えています (例えば高齢者でも就労することのでき る仕事の創出や通年で使用できる自主管理シェルターの建設など).
13 億円という莫大な税金を,誰も必要としていない「動く歩道」建設に使い, ゼネコンを潤し,「ホームレス」に対しては「野垂れ死に」を強制する, このような東京都の行政に抗して断固生き抜き,闘う野宿労働者の取り組みに ぜひ参加,ご支援をお願いします.
1996 年 2 月 1 日東京都・警察権力のこの暴挙に対して抗議の文書・電話・FAXを送ってください.
このような暴挙が様々な声により徹底的に糾弾され,社会的に暴露される ことこそが,インフォメ前を守り抜き,野宿労働者が生き抜くための決定的な 力になります.
また,マスコミなどの偏向報道に対しても抗議していくことが必要です. 皆で力を合わせて,二度とこのようなことを起こさせないように,社会的に 牽制していきたいと思います.