報道等でもご存じの通り、6月4日(水)天安門事件8周年の日に、中国民主 化運動家である在日中国人、李松さんと林国輝さんのお二人が、駐日中国大使館 前で不当逮捕されました。
お二人や来日中だったウアルカイシさん(天安門事件当時のリーダーの一人)を 含んだ一行は、6月4日午前、中国政府に民主化の主張を届け、天安門事件の犠 牲者への哀悼の意を表すため、東京・元麻布の駐日中国大使館に向かいました。 これは6月4日に例年行なわれている行動です。 ところが、今年の警備は例年になく厳しく、「過剰」ともいえるものでした。こ の警備態勢のため混乱が生じ、お二人は現行犯逮捕されてしまいました。李さん は、「検問の為の車止めを突破し、その際に警察官が一人転んだ」として、「公 務執行妨害」容疑で逮捕されました。また林さんは、「中国大使館の前で横断幕 を広げようとしたときに警察官の静止をふりきり、警察官を殴った」として、 「公務執行妨害」「障害」両容疑で逮捕されました。 お二人は容疑を否認していますが、現在、代用監獄に勾留されています。
わたしたちは、お二人の逮捕・勾留は不当だと考えています。 お二人は自分の意見を中国大使館に伝えようとしただけです。これは、言うまで もないことですが、正当な権利の行使です。この権利行使に対し、過剰ともいえ る警備で応じた警察の対応は、不当なものです。そしてこの不当な対応の為に生 じた混乱を理由とする逮捕・勾留もまた、不当なものです。 わたしたちは、お二人は起訴されるべきでないと考えています。お二人は一刻で も早く釈放されるべきだと思っています。
また、万一結果的に中国へ強制送還という事態ともなれば、お二人が政治的迫害 を受けることは確実です。 わたしたちは、このような事態は絶対に防がねばと考えています。
「李松さん・林国輝さんを救援する会」は、お二人と一緒に民主化運動をすすめ てきた仲間の中国人や友人の日本人等で、6月15日に結成しました。「救援会」 では、さしあたってお二人が「不起訴処分」となるよう活動することになりまし た。そのため、以下のような行動を皆さんに呼び掛けています。 ご協力を心からお願いいたします。
1997年6月16日
6月17日(火)必着−第一次 6月19日(木)必着−第二次 6月22日(日)必着−第三次
東京地方検察庁 検事 中村様 過日6月4日、天安門事件8周年記念行動にあたり、在日中国人の李松さん・林 国輝さんが公務執行妨害により逮捕される事件が起こりました。 二人は、中華人民共和国の現政権とは異なった政治的意見を持つものではあり ますが、在日生活もすでに長く、日頃は善良なる一市民として暮らしております。 当日も、平和的に中国政府に対し、民主化の主張と天安門事件犠牲者への哀悼の 意を伝えるため、中国大使館へ向かったものです。ところが当日は、過去数年の 例と異なり、過剰ともいえる警備がおこなわれていました。このため中国大使館 付近において、遺憾ながら混乱が発生することとなり、その結果、李松さん・林 国輝さんの二人が逮捕される事態となりました。しかし、この混乱は決して計画 的意図的に起こされたものではなく、その場での偶然により発生したものです。 当日の在日中国人たちの行動は、あくまでも平和的に計画されたものでした。 二人は在日年数もすでに長く、家族も日本国内にあります。在日外国人という 不安定な立場にある二人が起訴される事態ともなれば、当人や家族にとってその 影響は、一般の日本人権侵害以上のものがあります。万一結果的に中国へ強制送 還という事態ともなれば、二人が政治的迫害を受けることは確実であり、そうな れば重大な人権問題ともなりましょう。 このような点を十分にご勘案のうえ、なにとぞ李松さん・林国輝さんの二人に、 不起訴処分の決定を下さるよう切にお願い申しあげます。