のじれん・申入書
 

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申し入れ書


東京都福祉局長殿

本格的な冬の到来により、毎晩をいかに暖かく過ごすかが、野宿者にとって非 常に切実な課題となってきている。しかし、昨今の野宿者数の激増の中で、最 低限の暖をとれる寝床の確保も難しいのが現状である。そうした中、雨を避け られる場所、風が吹き抜けない場所、雪を防げる場所がこの冬を生き延びてい く上でいかに責重なものであるかは、多言をようせずにして明らかだろう。そ して、野宿者からその責重な場所を剥奪することが何を意味するかということ も、同様に明白なはずである。野垂れ死に、に他ならない。野宿者の存在それ 自体を「不法占拠状態」と決めつけ、あらゆる場所からの立ち退きを求める限 り、結果は必然的に存在しなくなること=死なせることに帰着せざるを得ない。

12月、渋谷区内にある東京都児童会館は休憩所増設予定地の周囲に野宿者が立 ち入れないようバリケードを設置、8日には工事用フェンスを設置した。野宿 者が話し合いによる問題の解決を求めている真っ最中の問答無用の強行だった。 児童会館はこれを、所管部である東京都福祉局こども家庭尊の全面的協力の下 で行った。今回の事態は、一切の話し合いの余地を最初から遮断し、締め出さ れた野宿者に対するいかなる対策もなく行われたという点で、こともあろうに 福祉局が、野宿者の死を予見しつつもそれを容認した、許し難い行為だったと 言わざるを得ない。

我々は、行政にあるまじき今回の野宿者締め出し強行を到底見過ごすわけには いかない。よって、以下の諸点につき申し入れる。

  1. 今回の東京都児童会館における野宿者締め出しは、工事計画の追認、大 量の職員の動員等、福祉局こども家庭部の全面的な協力によって行われ た。それは話し合いの回路を一方的に閉ざし、実力で工事を強行すると いう、あまりにも強権的、暴力的なものであった。一方、同じ福祉局の 生活福祉部においては「自立支援センター」が、まさに、こうした締め 出しが野宿者問題の解決に繋がらないという反省の上で、当事者との話 し合いにより進められているはずである。今回の事態を受けて、我々は 福祉局全体の野宿者に対する姿勢それ自体を根本的に疑わざるを得ない。 児童会館及び福祉局の謝罪を求める。
  2. 今回の締め出しによって、同地に寝泊まりしていた十名近い野宿者が、 寝場所を失った。福祉局は工事強行に際し、当事者に対して何ら説明や 対策をせず、現在に至るまでより劣悪な生活環境に追い込んだまま放置 している。締め出された野宿者に対して、福祉局はどう対処していくつ もりなのか、具体的に明らかにせよ。
  3. 今回のフェンス設置工事の強行は、明らかに対策なき撤去・追い出しで あった。今後東京都全域において対策なき撤去・追い出しの禁止が徹底 されなければならない。しかし、それは受け皿があれば撤去・追い出し が容認される、という意味では決してない。まず行政側か対策を明示し た上で、当事者との話し合いで解決させていくことが原則である。その 対策にしても「自立支援センター」本格実施はまだ先のことである。特 にこの冬期、公共施設は、野宿者が寒さや飢えから身を守る避難場所と して提供されてしかるべきである。これ以上、鬼童会館において寝場所 や炊き出しの場所を奪う締め出し行為をしないということを確約された い。
1998 年 12 月 24 日

全都野宿労働者統一行動実行委員会(全都実)
渋谷・野宿者の生活と居住権をかちとる自由連合(渋谷・野自連)
新宿野宿労働者の生活・就労保障を求める連絡会議(新宿連絡会)
日雇全協・山谷争議団/山谷と新宿をつらぬく反失業闘争実行委員会(準)(反失実)
連絡先: 080-493-5559

 


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