キリスト者女性ネットワーク情報 

No.56


■■■世界祈祷日関連■■■

南アフリカ共和国のHIV/エイズの状況と、その取り組み世界祈祷日のスライド資料より情報をお伝えします。

●HIV/エイズで親を亡くした孫に食事を作る祖母

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HIV/エイズの広がりにより、農村地域の住民に対する基本的なサービスの提供に、大きな支障が生じています。多くの人々が、都市部より農村部のほうが基本ケアを受けられる可能性が高いと思い、子どもを農村に連れてくるからです。

次世代が高齢者を養うという「世代間の契約」は、機能しなくなりました。エイズは主として働き盛りの世代の命を奪っています。

その結果、エイズで親を亡くした子どもの世話は、ますます高齢者世代、特に祖母に負わされるようになっています。

政治改革以来、高齢者は小額の年金を受け取れるようになりましたが、孫を育て、学費を払うにはとても十分な額とはいえません。

このような状況下では、アパルトヘイト時代に不利な立場に置かれ、今も弱い立場にある高齢の女性の家庭が、とりわけ貧困に直撃されることになります。都市に住む所帯主の30%以上が独身の女性で、彼女たちが死ねば、生計の責任は10代の、時には10歳や12歳にも満たない少女の肩にのしかかることが多いのです。

昔は、年をとった世代が農業や自給自足について、代々受け継がれた知識を若い世代に伝えたものでした。今日では、このつながりはほとんど断たれています。その上、若い人々、特に少女に耕作できるような土地は十分にありません。2002年、南アフリカでは1,100万人以上の子どもがエイズで親を亡くし、孤児になりました。この数字は毎年100万ずつ増えています。まだ十代の若者たちの肩に幼い兄弟姉妹の日々の世話や教育がのしかかり、彼らは第三者の支援に頼らざるをえません。

(スライドNo.16)

●エイズに苦しむ男性のお世話をする看護師たち

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簡易看護施設で、女性たちが重症の男性エイズ患者の世話をしています。感染者の多くは家族の世話を受けていますが、難しい治療が必要になれば、多くの家族や親戚はその負担に耐えきれません。

女性は、さまざまな重荷を背負っています。薬や葬式に高額の費用がかかるので、多くの場合、家族は借金をするしか仕方がありません。国際労働機関(ILO)の試算によると、エイズは10年間で720億USドルの経済的損失をもたらしています。それは病気治療及び死亡にともなう費用と、生産性の損失によるものです。

公式の資料によると、全人口の12.5%、成人の20%以上がウイルスに感染しています。感染者のうち300万人以上が女性であり、妊婦の30%近くがHIVに感染しています。50万人以上にエイズの発症がみられ、毎年36万人以上が死亡しています。

2002年に政府は、エイズ対策プログラムを始めました。妊婦とレイプされた女性は、エイズ患者と同様、無料で薬を受け取ることができます。しかしながら、2004年度の予算は2億9600万ランドから9千万ランドに削られてしまいました。この意欲的なプログラムを実施する人材も不足しています。政治変革以来、5千人以上の医者、千人以上の看護師が南アフリカから去りました。また、科学者や政府の有能な人材など、十分に訓練を受けた専門家たちが20万人近くも移住していきました。この人的資源不足を解消するのは難しいことです。

(スライドNo.17)

●教会のエイズ防止プログラム

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HIV/エイズは社会全体が立ち向かうべき問題であり、教会もその例外ではありません。これは男性と女性が感染防止プログラムのワークショップに参加している写真です。

社会で汚名を着せられた感染者と、病人を抱え、重い負担に苦しむ家族すべてに精神的・物質的支援が必要です。教会はスープキッチン、デイケア・センター、野菜や手工芸品などを作る収入向上プロジェクトを実施しています。また、薬の配布やホスピスの建設も行っています。

教会の自助グループで、感染した人々が身内のためにメモリーブックを作っています。中身は、子孫に思い出を残すための個人的な手紙や物語、詩、写真、絵などです。これは特に、孤児になってしまう子どもたちにとって、大切なことです。メモリーブックによって、子どもたちは親にまつわる話や思い出をずっともち続けることができるのです。

教会は、患者とその家族に対する従来の心のケアやカウンセリングをはるかに超えた取り組みをしています。若い人々への働きかけは、彼らの性行動をきちんと捉え、特に若い男性に対して性行動に責任をもつよう自覚を促さない限り、成功の見込みはありません。効果をもたらすには、親や保護者、教師は性について話し合うという 社会のタブーを克服しなければなりません。

(スライドNo.18)

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