キリスト者女性ネットワーク情報
No.8
先週各地で開かれた世界祈祷日、ルーマニアとそこに住む人たちがより近く感じられるようになったことでしょう。来年はレバノンを覚えて祈ります。委員会では、救世軍の方々が既に翻訳をおえてくださった原稿をもとに、まもなく式文作成作業に入ります。
今回お届けするのは、アフガニスタンに関する情報です。ごく最近、現地に行かれたカトリックの正義と平和協議会の石川治子さんの報告と、日本国内におられるアフガニスタン難民の方たちに関する状況報告は、私たちに何を問いかけているでしょうか。しっかり受け止めたいと思います。
女性委員会委員長 松浦順子
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■■世界祈祷日関連■■
3月1日に全国各地で世界祈祷日の礼拝が行われました。日にちをずらして日曜日の礼拝後に行われた地域もあります。各地でご準備いただきましたみなさま、ありがとうございました。
各地からの報告を受け、女性委員会発行ニュース『ともに証を』(5月末発行)で、全国の礼拝の様子をご報告いたします。各地の祈祷日の写真、エピソードをお待ちしています。
■■「すべての暴力を克服する10年」関連■■
★パキスタンにいるアフガニスタン難民を訪ねて★
空をみつめたうつろな目、微笑みを忘れた顔…難民キャンプで出会った女性の顔が忘れられません。米軍の空爆で夫を殺され、命からがらパキスタンに逃れてきた女性でした。テントの中にただ座っているその女性のそばに、従姉妹が心配そうに寄り添っていました。
「こちらに来てどのくらいになるのですか?」「寒くてたまらない、もっと毛布がほしい」。「家族は何人ですか?」「もっと助けてくれないか」。「お子さんは?」
「次の支援はいつもらえるのか」
…こちらのヤボな質問に対する応えです。何を質問しても彼女の言うことは同じで、通訳もたじたじでした。でもこの人も夫が戦争で殺されたとかで、一人ぽつねんとテントの中に座っていた女性でした。
これらは1月27日より2月4日まで、パキスタンにいるアフガン難民を訪問したときに遭遇した光景です。カトリック教会としてカリタスという組織で難民支援をしているので、その現地活動を視察したのです。
難民といってもひとくくりできるわけではありません。
UNHCR( 国連難民高等弁務官事務所)の難民センターとその登録からもれた潜在難民(InvisibleRefugee)がいます。前者は自由ではありません。国連の完璧に近い管理のもと(一人逃亡者が出たとのことでした)でコントロールされています。でも国連からの支援があり、最低限度の生活ができています。難民センターの中央道路にはすでに小さな商いすら始まっていました。主食のチャパティを焼くためのお釜にも行列ができていました。一枚1円で焼いてもらうのです。青空教室もあって、しっかりと男の子と女の子とが別れて勉強していました。医療センターもあり、女性のためには女性の医者がいて、子どもたちのワクチン接種も施されています。昨年11月のセンター開設以来、120人の
赤ちゃんが誕生したというのが、ささやかな希望の芽でした。簡単なテント村なのに、国連による難民センター設計図面もありました。広いまっすぐな道の左右に大きなテント郡があり、民族毎に分けて収容されています。なんと24,000人の町になっているのです。でも出入りできるところはアフガン側への通路です。こちらからお帰りください、とでもいうかのように…。
一方、 都市に潜在している難民セッツルメント(現地の人はこちらをセンターとは呼ばずに区別しています)の方には自由がありますが、最低生活すら確保できていません。ここにUNHCRの登録から漏れてしまった人々が集まっています。つまり正規の国境を越えないで入ってきた人々(パキスタンとアフガンの国境は、2400キロ余もあります。どこからでも入れるのです)は登録できません。また登録には3ヶ月もかかる場合があるので、一時収容所(本来は24時間のみの収容のはず!)から待ちくたびれて出てきてしまう人もいるのです。この潜在難民の子どもたちのほとんどは裸足でした。汚れがこびりついていた足が脳裏に焼き付いています。
爆撃によるトラウマに関しては何かプランがあるのか現地のスタッフに尋ねました。3月までは、当面の救援支援で手一杯、4月以降は帰還援助のために、リハビリテーションプログラムを始める。アフガンに帰ったときに自立できるように、技術を身につけさせる等のプログラムで、トラウマ回復プログラムなどは我々の能力を超えているとのこと。そう説明してくれた人の顔が寂しそうでした。
日本のカトリック教会としては、カリタスジャパンを通してアフガン難民のための募金をしたので、国連や多くのNGOsの支援が届かない「谷間の人々」に支援したいとの望みを現地に伝えてきました。
それにしても、同じ人間でありながら、この人たちがどうしてこれ程までに苦しまなければならないのか、この人たちの中に苦しんでいるキリストがいる、この人たちが私の罪を償ってくれている、と頭を下げずにはいられない旅でした。 石川治子(日本カトリック正義と平和協議会)
*日本カトリック正義と平和協議会ホームページ: http://www.jade.dti.ne.jp/~jpj/
★アフガニスタン難民支援募金にご協力を!★
●カトリック 郵便振替00170-5-95979 「カリタスジャパン」
●日本キリスト教協議会(NCC)郵便振替00110-0-128533 「日本基督教協議会奉仕部」 *いずれも通信欄に「アフガニスタン難民支援」と明記してください。
★在日アフガニスタン難民は今★
日本の入管収容所に収容されているアフガニスタン難民の状況から、改めて日本の非人道 的な難民認定制度の問題がクローズアップされています。海外からの調査団を迎えて難民・移 住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)が呼びかけ緊急院内集会が開かれます。是非ご参 加ください。
緊急院内集会<在日アフガニスタン難民はいま>
~WCC/ CCA 調査団を迎えて~
日本の難民認定数は、諸外国に比べ格段に低いことが問題とされてきました。アフガニスタンからの庇護申請者に限っても、昨年11月末現在77名の申請者に対して、日本が認定したのはたった一人というのが現実です。
タリバン前政権に迫害された経験を持ち、今も「心から血が流れている」(医師)状態のまま入管収容施設に収容された庇護申請者の多くが、不眠や病気に苦しんでいます。中には失意のあまり自殺未遂に至った人もいます。彼らを心身ともに限界の状態にまで追いやっている日本の処遇は、国際的にも正される必要があるのではないでしょうか。私たちは、庇護申請者の早期解放と難民認定、そして難民認定制度の改善を訴えずにはいられません。
今回、WCC(世界教会協議会)、CCA(アジアキリスト教協議会)から代表が来日し、日本のアフガン難民申請者のおかれている状況と日本の難民認定制度の現状について調査を行うことになりました。調査団は、難民当事者からの聴きとり、入管局長および難民審査官との面会を予定しています。
アフガニスタン難民弁護団や支援団体のご協力をいただき、日本の難民への処遇について、調査団と共に様々な観点から現状を見直す機会として、院内集会を設定しました。多くの団体、みなさまの賛同、参加をお願いします。
*と き:2002年3月11日(月) 4:00~5:30 PM
*ところ:衆議院第一議員会館 第一会議室
(丸の内線国会議事堂前・有楽町線永田町下車。当日、議員会館入口で、緑色の通行券を受け取ってお入りください。)
*調査団:クレメント・ジョン(WCC 国際問題担当幹事) アン・ジェウオン(CCA総幹事) 大津健一(NCC/日本キリスト教協議会総幹事)
*主 催:難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)
*賛同団体(募集中):日本カトリック難民移住移動者委員会、NCC(日本キリスト教協議会)、
在日韓国人問題研究所、外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会、移住労働者と連
帯する全国ネットワーク (3月2日現在)
引き続き、賛同団体を募集しています。
*連絡先:難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)
TEL:03-3207-7801/ Fax:03-3207―7803
〒169-0051東京都新宿区西早稲田2-3-18-24
E-Mail: pshion@jca.apc.org お急ぎの方は<oden@jca.apc.org>へ。
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2001年世界祈祷日の献金の一部は、難民・移住労働者問題キリスト教連絡会の働きのためにもおささげしています。
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★在日アフガニスタン難民の状況について知るには…
この絵本がおすすめです。絵本は、難キ連でも取り扱っています。
絵本『アフガニスタンからきたモハメッド君のおはなし―モハメッド君をたすけよう』
大貫憲介・文、伊藤ゆさ・絵 つげ書房新社 1300円
★署名にご協力ください!
収容されている在日アフガニスタン難民の身柄解放と、難民認定、また、難民制度の抜本 的な見直しを求める署名にご協力ください。
第2次しめきり:3月末日
難キ連にご連絡いただければ、署名用紙をお送りいたします。TEL03―3207―7801