キリスト者女性ネットワーク情報
No.4
新しい年のご挨拶を申し上げます。
目を覆いたくなるような暴力、それをくい止めるのではなく、加担する姿勢をとり続けるわたし達の国。希望が見えにくい新年の幕開けですが、わたし達キリスト者女性たちも、どんなにかすかな希望の光をも見逃さないで、輝きを強め、広げる働きに連なっていきたいと心から祈っています。ご一緒に励まし合って歩み続けましょう。
昨年末、横浜で開かれた「第2回子どもの商業的性搾取に反対する世界会議」には90名の子ども・若者を含むおよそ3000名の人たちが136カ国から集まりました。政府やユニセフが、この会議をそれだけの規模にするために力を発揮したとは思いますが、世界中で、実際に被害にあって苦しんでいる子どもや若者と、ともに苦闘しているのは、大小のNG0であることが、明らかにされました。今回特徴的だったのは、全体会においてもワークショップにおいても、若い人たちが直接声を上げたことです。彼らは、これからの取り組みについても、自身の関わりを表明すると同時に、大人たちへの強い責任を迫りました。
NCC女性委員会からの6名の参加者は、多様なプログラムからそれぞれ多くを学ぶと共に、大きなチャレンジを受けました。今後は「エクパット・ストップ子ども買春の会」をとおして日本での法改正を含む運動に連帯していくことになります。この方面への皆さまの関心と協力を強めていただきたく願っています。それぞれのお働きに豊かな祝福を祈りながら…
NCC女性委員会委員長 松浦順子
■世界祈祷日関連■
スライド「ルーマニアの女性たち」(24コマ 解説文付)は、23セット用意していますが、1月に入って申し込みが増えてきましたので、世界祈祷日当日使用される方は、お早めにご予約ください。
★スライド解説より
ロマはルーマニアの中で2番目に大きい集団をもつ少数民族です。ロマの人々によると、200〜300万の人口があるということです。1000年前、彼らはそれまで住んでいたパキスタンとインドを追われ、欧州各地を放浪する民となりました。一部のロマたちは東欧や中欧に定住しましたが、常に「ジプシー」と呼ばれ差別を受けてきました。ロマは限られた職業にしか就けず、定められた地域内に住まなければなりませんでした。19世紀までは奴隷とされていた人々もいます。しかし、そのような状況のもとにあっても、ロマは自らの言語と伝統文化を守ってきました。
★子ども式文では、ルーマニアのさまざまな民族の子どもたちが自己紹介をしています。教会学校などで世界祈祷日子ども式文を使用される場合、子どもたちがそれぞれの役になって朗読してみてください。子ども式文100円。漢字にはルビがついています。
「わたしの名前はトライアン。田舎にすんでいます。わたしの家族はロマです。きれいな民族衣装をきているので、わたしたちがロマであることはすぐにわかります。女の人と女の子は、長くあでやかなスカートをはき、男の人たちは黒いぼうしをかぶっています。家には2とうのうまがいて、わたしはうまにのるのが大好きです。ざんねんなことですが、おおくのロマたちは、わたしたちほどめぐまれていません。街でたべものをもらおうと道にたっているロマの子どもをしっています。 学校にもいけないので、字をかくことも読むこともできません。じゅうぶんなたべものもなく、やぶれたボロをからだにまとっています。この国には、ロマのわるぐちをいう人がいます。ロマの気持ちになって考えたり、たすけたりしてくれるような人は、ほとんどいません。」
(子ども式文より)
■「すべての暴力を克服する10年」関連■
すべての暴力を克服する10年(2001年−2010年)とは?
「神に帰ろう、希望を持って喜ぼう」というテーマで開かれたジンバブエのハラレにおけるWCC(世界教会協議会)第8回総会で、300を超えるWCCの加盟教会からの代表者が「すべての暴力を克服する10年」を定めました。同総会は、非暴力や和解の問題について、WCCが「方策をもって加盟教会と共に活動し…非暴力の文化をつくる」べきであると宣言しました。この「10年」は、2001年2月に世界中で開始されたもので、世界中の既存の自発的な活動の上に立ち、お互いから学び合うために体験を共有し関係を築くための場を提供するものです。NCCJ(日本キリスト教協議会)でも「10年」に取り組んでいます。特に女性委員会は女性の視点でこの「10年」に取り組みます。
世界教会協議会(WCC)は、すべての諸大陸にある100カ国以上の、ほぼ全てのキリスト教の教派からなる、現在342の諸教会の交わりです。ローマ・カトリック教会は加盟教会ではありませんが、WCCとは協力関係にあります。
★パレスチナの不法占領を終わらせるために
世界教会協議会(WCC)は、加盟教会や協力団体が2002年に中東和平を支持する運動−パレスチナの不法占領を終わらせることに焦点を当てた運動−を開始するための助けとなるような祈りとメッセージの資料集をまとめあげました。表紙の手紙の中で、WCC総幹事のコンラート・ライザー師・博士は、教会や会衆に「これらの奉仕物を使って、1月1日から復活主日まで、2002年の活動を立ち上げ、それぞれの伝統にそれらを自由に合わせ」るよう促しています。
この運動はWCC常議員会によって9月の会合で始められたもので、「すべての暴力を克服する10年」の文脈の中で、加盟教会とエキュメニカルな協力団体に「2002年には、パレスチナの不法占領を終わらせるための集中的な取り組みに焦点を当てる」よう求めているものです。
これらの祈りとメッセージは、東方正教会、エルサレム聖公会・福音教会から集められたもので、聖地にある教会や地域社会の権威ある声を高く上げようとするものです。「希望と正義、和解に関する彼らのメッセージを使って2002年の焦点を開始させることは、世界中の教会が祈りや省察、そして、占領の終結と真の中東和平のために努力しているパレスチナ人とイスラエル人との積極的な連帯に、集団的に参加するための適切な方法である」と、ライザー氏は自らの手紙の中で述べています。 (行本尚史 編集・訳)
この資料集は英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語によるもので、現在、オンラインで入手能。
(英語)http://www.wcc-coe.org/wcc/what/international/resourcepack.html
(フランス語)http://www.wcc-coe.org/wcc/what/international/resourcepack-f.html
(ドイツ語)http://www.wcc-coe.org/wcc/what/international/resourcepack-g.html
(スペイン語)http://www.wcc-coe.org/wcc/what/international/resourcepack-s.html
★パレスチナYWCAアブラ・ナジャ総幹事へのインタビューより
「私は希望を失いかけています」
「1995年、ボスニアのスレベニツァという町で一週間足らずのうちに子どもを含む8千人の男性イスラム教徒が殺された時、世界の人々はボスニアのセルビア人が何を意図しているかを垣間見ることができた。今、オランダのハーグでこの時の犯罪の結末として、事件に関与した軍人や政治家が人道に対する罪で裁判にかけられている。一方、パレスチナでは民族浄化はもっと巧妙な形で行われている。それはあたかもスレベニツァの事件をスローモーションで見ているような感じである。パレスチナ人は一回の襲撃で大量に殺されはしない。その代わりにイスラエル軍による殺人は毎日数件ずつ行われている。家屋の破壊も同様で、大量破壊ではなく、少しずつ破壊されていく。民族浄化に使われている方法はまたこれらに限られてもいない。ボスニアとパレスチナでは、このように手段は異なるかもしれないが、意図されたものは同じである。イスラエル政府が望んでいるのはパレスチナ人が「自主的に」出ていくことである。そうなるまで、イスラエル人は「安全上の理由」で自衛を迫られる。そして、その自衛とはおよそあらゆる国際法に違反してなされるのである。ボスニアのセルビア人のようにイスラエル人が裁判の席につけられるというのはあり得そうもない。逆に、世界、とりわけ西側「キリスト教世界」は、とうてい正当化できないことを容認しているように見受けられる。」
―――パレスチナYWCA総幹事のアブラ・ナジャさんは強い信念と神から授かったに違いない魂を持った、もの静かな女性である。彼女はエルサレムにほど近い町、ラマラに住んでいるが、YWCAまでの通勤に数時間かかることもまれではない。オフィスには寝袋を用意して、家に帰れなくなった時のために備えている。道を車で走っている時に周りで銃撃が起こったことも一度や二度ではない。彼女はいつもストレスを感じている。それは愛する自分の国やYWCAの将来が心配だというだけではなく、三人の子供の身にいったい何が降りかかるかと怖れているからでもある。 (YMCA・YWCAインターナショナル・オブザーバーからの特別報告より抜粋)
★第2回子どもの商業的性搾取に反対する世界会議(横浜会議)に関する情報は下記まで。 ユニセフ http://www.unicef.or.jp/kenri/kenri_5.htm
ECPAT/ストップ子ども買春の会 http://www.ecpatstop.org