内部放射体による放射線リスク調査委員会(CERRIE;
Committee Examining Radiation Risks of Internal
Emitters)の何人かのメンバーが結論付けているように、シースケール村における内部被曝線量の評価における不確かさがひじょうに大きいため、シースケール村で見られている影響に寄与する要因として放射線を除外してしまうことは、ばかげたことになるだろう。 CERRIEは、体内に沈着した放射性核種がもたらす放射線被曝のリスクについての一般的な認識が、公的機関による科学的勧告とは異なっているということを懸念し、2001年に政府によって設立された。そして2001年には環境大臣マイケル・ミーチャーは、「(そのワーキング・グループは、)内部放射性核種による被曝に適用されている現行の放射線と健康のリスクモデルを最新の研究結果に照らして深く検討し、将来の研究において必要となるところのものを明確にすることになるだろう。」と公表したのだった。 COREにリークされた同委員会(CERRIE)の最終報告書草案は9月に公表予定である。その草案は、国際放射線防護委員会(ICRP)のモデルは、データがよく整備されている放射性核種については2〜3のファクターで、プルトニウムやアメリシウムについては10以上のファクターで間違っているだろうとする結論で一致した。同委員会のほとんど半数のメンバーが、最近になって発見された生物学的メカニズム(ゲノム不安定性やバイスタンダー効果)がICRPのモデルには十分には反映されておらず、そのような過少評価が、特にシースケール村に見られている、いくつかの疫学的発見を説明し得るだろうとの見解に立っている。 「セラフィールドからの放射線はシースケール村における白血病の発症とは何の関係もないとBNFLが主張してから20年が経過したが、プルトニウムやアメリシウムのような内部被曝がもたらす健康影響については未だに不確かなことが非常に多く残されているということを同委員会が見い出したことを我々は歓迎している。」とCOREのスポークスパーソンは今日述べた。 「彼らが全てを知っているわけではないということの自認と、内部被曝線量についてはさらに研究を進めるべきだとする彼らの勧告は、BNFLの労働者やその工場の周辺に住む我々にとっては、よいニュースだという以外にはない。セラフィールドからの受け入れることのできない歴史的な高いレベルのプルトニウム放出の結果として、決定集団(訳注:最も高い被曝をうけると予想される集団)に対するアメリシウムによる放射線被曝線量は年をおうごとに膨らんでいる下では、我々が防護されていると思えるようになる必要があり、我々が懸念を表明する限り、不確かさは更に多くの研究を遂行することが正当なものになる。」 CERRIE委員会からの更なる研究についての勧告には、原子力労働者やチェルノブイル除染作業従事者に関する研究が含まれる。同委員会は、これらの内部放射体に被曝した人達についての疫学的研究を完全なものにするためには、この国の様々な地域に居住する公衆の構成員の尿と(歯列矯正のために抜かれた)抜歯中の放射性核種を測定することが、そのような価値をもつ補完物になると考えている。このような測定によって、核施設の周辺やそこから離れた地域における放射性核種の一般的レベルを決定することになる。 □関連する翻訳資料 新たな保健研究によってセラフィールドの放射線リスクが確認された 2002年6月19日 COREプレスリリース セラフィールドの男性放射線作業従事者の子ども達における白血病と非ホジキンリンパ腫 ヘザー・O・ディキンソン、ルイス・パーカー (International Journal of Cancer Volume 99, Issue 3, 2002. Pages:437-444に掲載された論文の概要部分の訳) |