新たな保健研究によってセラフィールドの放射線リスクが確認された
Sellafield Radiation risk confirmed by new health study

2002年6月19日
CORE(環境の放射能汚染に反対するカンブリア人の会) プレスリリース



 新たな報告書が、故マーティン・ガードナー教授の仮説を確認した。その仮説は、受胎前の父親の放射線被曝(PPI)が、セラフィールドでの放射線作業従事者を父親にもつ子供の白血病や非ホジキンリンパ腫(NHL)のリスク要因であるとするものである。この結果は、シースケールに限定されないだろうし、人口混合説では説明できない。この研究は、明日6月20日木曜日のニュー・サイエンティスト誌でジャーナリスト、ロブ・エドワーズによって報告される予定だ。

 新たな研究は、1990年に故マーティン・ガードナー教授によって提起された当初の仮説(BMJ300)よりも、より長期間、より地理上の広範な範囲で行われ、セラフィールドの放射線作業従事者を父親に持つ子供のガンの線量反応リスクの増加を示したガードナー氏の当初の調査結果を確認しただけではなく、このリスクが受胎前の父親の外部被曝線量の総量によって明かに増加することも確認した。この新たな調査結果は、過去12年間、ガードナー研究に一貫して異議を唱え、疑いを差し挟んできたBNFLと原子力産業全体に対して平手打ちをくらわせた。

 ニューキャッスル大学のイギリス北部小児ガン調査団(the North of England Children's Cancer Research Unit)に属する著者へザー・ディキンソンとルイス・パーカーは、彼等の報告書「セラフィールドの男性放射線作業従事者の子ども達における白血病と非ホジキンリンパ腫」で、シースケール外で生まれた放射線作業従事者の子供は、2倍のリスクがあり、1950年―1990年にシースケールで生まれた7歳以下の子供は、白血病や非ホジキンリンパ腫になるリスクが15倍であることを確認した。受胎前の親の外部被曝(PPI)が増加したとき、このリスクは明かに高くなった。この線量反応は、人口混合説によっては説明できそうになかった。また、研究者達は、受胎前の親の放射線被曝影響の可能性は、シースケール以外でも除外できないと述べた。妊娠前に天然ウランからの被曝が検出された父親をもつ子供もまた、リスクが高いことが示された。

 セラフィールドの労働者が西ヨーロッパと北アメリカの核産業のなかで最も被曝線量が高いという事実は、この研究により強力な統計学的検出力を与える。現在の職業被曝線量は、初期の数十年に比べて低いので、現在の核産業の全労働者にとってこの発見の内容は注視されるべきだと、このチームは結論づけた。

 CORE活動家ジャニン・アリス-スミスは、マーティン・ガードナーの1990年調査結果が立証されたことを歓迎して、次のように述べた。

「我々は、つねにガードナーが正しいと信じてきた。セラフィールドは労働者に最も高い被曝を強いている、西側世界で最も汚れた工場である。ガードナー研究は、核産業がガードナー研究を疑う企てで投げかけてきたすべてに抵抗してきた。BNFLが労働者に、ガードナーは間違っている、あまり重要な問題ではない、放射線被曝が彼等の将来の子供を傷つけることはありえないと、一貫して思いこませてきたことは嘆かわしいことで、恥ずべきことである。3ヶ月近く前に発表されたこの調査について、BNFLがメディアに、BNFLらしくなく黙り続けているのは、驚くに当たらない。」

( Pub. Online Int. J. Cancer: 99, 437- 444, 26th March 2002),funded by Westlakes Research Institute and the N. of England Children's Cancer Research fund.

注釈:
 カンブリア地方セラフィールド近くのシースケールの若者に、予期しないほど多くの白血病が起こっていると報告した18年前のドキュメンタリーテレビ番組によって、多くの科学調査が行われるようになった。マーティン・ガードナー教授(1993年1月死亡)は、彼の報告書(西カンブリアのセラフィールド核工場周辺の若者の白血病とリンパ腫についてのケース・コントロール研究結果 1990 BMJ300)で、セラフィールドで作業中の男性の電離放射線被曝は、彼等の精子に突然変異をもたらし、このことが、事実上、彼等の子供が白血病になるリスクを増やすと、示唆した(ガードナー仮説)。BNFLの当時の保険安全部長ロジャー・ベリー博士は、このショッキングな報告書が出た後、[訳注:子供が白血病になる]可能性のある父親は高放射線地域から引っ越してきたかもしれないと示唆し、セラフィールドの新聞協会に「もしだれか心配な人がいるなら、家族を持つなというのが適切なアドバイスかもしれない」と述べた。

 ガードナー報告書によって、1992年に、HopeとReayの2つ家族がBNFLから補償を求めて、1000万ポンドかかる高等裁判所での裁判を起こした。この両方の申し立てでは、父親達はセラフィールドで働いている間に高線量被曝を被っていた。裁判中、BNFLはガードナー仮説が間違っていると裁判官に思いこませる多くの新たな根拠を作り出した。これらの家族は敗訴した。

 1993年5月、BNFLの医療部長アンディ・スロバク博士は、人口混合(キンレン理論)がシースケールのガンの原因であると示唆した研究について国内の新聞報道が控えめであることに、BNFLニュースで異議を唱え、「ガードナー理論はしっぺ返しを受けた」と述べた。この年の10月、彼は、「ガードナー理論は元々あったところに、特別な重要性のないものに戻っている」と発表した。(BNFLニュース 93年10月)

 1994年、著名なガン専門家リチャード・ドール卿が、証拠は、ガードナー仮説が間違っていて、父親の被曝に責任はないことを示していると発表した。(ネイチャー 367号 92年2月24日)

 2002年4月末、この研究について、セラフィールド地方連絡委員会環境保健部会での要旨説明の際に、ウェストレイクスにあるセラフィールド・リサーチ・サテライトのスポークスマンが、この研究結果に受胎前の父親の放射線被曝(PPI)の強い影響が出ているのに、人口混合説を推奨した。



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