全国からの98団体が提出した要望書の質問事項に基づいて、11月22日午後3時から約1時間、日本原燃との交渉が行われた。要望書はすでに11月10日に渡していたため、一通りの口頭回答がだされたので、具体的内容に立ち入ってやりとりすることができた。文書回答は後で出すとのことで、その際、交渉の場で回答保留になったことも付加することになった。 原燃の広報と市民側参加者の内訳や詳しい内容などは別のテープおこしによる報告を参照されたい。ここでは、特筆すべき点に限って紹介する。 1.アクティブ試験第2ステップは順調に行っていると社長が表明しているものの、実際には2ヶ月以上の遅れがあることを事実上認めた(11月24日の社長会見では、作業は12月半ばに終わり、第2ステップが終了するのは1月半ばだとのこと)。 2.使用済み核燃料せん断の中断は、分析再現性試験を丁寧に行ったためだと回答。しかし、8月19日に第7体目が、せん断機に入れる通路で「固着物」にひっかかって停止したことは認めた。「固着物」をはじめはワイヤーブラシでこすったがだめだったので、砥石(?グラインダー)でこすり、掃除機のようなもので吸い取った。ところが、その取り除いた「固着物」が何かは調べていない。そのまま固体廃棄物にしたとのこと。 しかし、「燃料や燃料被覆管の破片のようなもの以外には考えられないでしょう」というと、「そのとおりです」という。それならプルトニウムまで入った、おそらく大量の燃料粉を廃棄物にしていいのかという強い疑問が湧く。 3.Eモニタの異常指示については、静穏説にこだわりながらも、吹き戻しによる影響も否定しなかった。いずれにせよ一時的なものなので問題にならないという考え方だ。 4.海洋放出についてはデータの公表を検討中ということで、実際11月28日に9月分の放出日・放出量等が「最新月の再処理工場(低レベル廃液処理建屋)からの放出日等」として初めて原燃ホームページで公表された。また、30日には10月分が公表されたが、なんと9月分についてはホームページから既に削除され見ることができなくなっている。また、肝心の放出予報は出せないとのこと。
5.クリプトンなどの除去装置については、「日本原子力研究開発機構で開発が継続されていると聞いている」と、まるで他人ごとのような応対だった。 6.混合抽出で核不拡散性に優れているとの見解はIAEA(国際原子力機構)の基準に基づいたものではなく、物性によるものだとのこと。IAEAの転換時間(核爆発装置の金属構成要素に転換するのに必要な時間)が、酸化プルトニウムもMOXも同じ範疇にはいっていることは認めたが、あくまでもMOXは核兵器への転換が難しいと強調(この点は11月24日の社長会見で、「理屈上は可能だが、現実には不可能」と、より具体的に展開)。原燃社長見解によれば、IAEAの基準は現実性のない単なる理屈上のものだということになる。 ◎MOXからプル分離「現実には不可能」/反核燃派に原燃社長反論 東奥日報 2006.11.25 7.50:50MOXをMOX燃料製造の原料にする場合、コジェマ社のように、いったん30%濃度のMOXにしてから顧客の注文どおりのプルトニウム濃度になるよう混合するとのこと。つまり3段階製法をとるとのこと。 2006年11月30日 |