平成13年(ワ)第15454号 損害賠償請求事件 原告 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク 外1名 被告 日 本 放 送 協 会 外2名 第 1 準 備 書 面 2001年(平成13年)11月21日 東京地方裁判所 原告ら訴訟代理人弁護士 飯 田 正 剛 上記当事者間の上記事件に関して、原告らは、下記の通り、弁論を準備する。 第1 被告日本放送協会の主張に対する反論 1 被告日本放送協会の主張 被告日本放送協会は、「答弁書」において、「制作・編集過程などに言及している部分」について、「原告らの権利になんらの影響を与えず、審理する必要のない部分である」として、「これらの部分が本件裁判の審理の対象にはならないものと判断して」、「認否をすべきものではない」旨主張する。 2 原告らの反論 しかし、被告日本放送協会の上記主張は、相当ではない。 (1) 第1に、原告らは、抽象的かつ概括的な「不法行為」や「債務不履行」を主張しているものではなく、「訴状」記載の通り、本件における具体的事実を指摘し、不法行為として信頼利益の侵害(具体的事実の中で形成された原告らの信頼利益を侵害した被告らの責任)を、また債務不履行として説明義務違反(原告らに対する説明をしなかった被告らの責任)を、それぞれ追及しているものである。 (2)第2に、被告日本放送協会は、「答弁書」において、「取材をした内容がそのまま放送されることはもちろんないし、必ずしも取材対象者全員が放送されるというわけではない。また、番組の企画意図の説明を越えてどういう内容の番組を放送するかを被取材者に説明することはなく、ましてこれを約束したりすることはあり得ない。」などと主張している(5頁)。 (3)以上の通り、原告らの主張する具体的事実に対して、認否をしないという被告らの主張は、なんら合理的かつ法律的な根拠のないものである。 第2 求釈明に対する原告らの答弁 1 信頼(期待)利益の法的根拠 信頼(期待)利益の法的根拠は、「訴状」記載の通り、「信義則」(民法第1条第2項)である。 2 信頼(期待)利益の生成過程 「訴状」記載の通りであり、現時点では、これ以上の釈明の要はないと考える。但し、詳細な事実経過並びに法的根拠の主張は補充する予定であり、追って準備書面として提出予定である。 3 被告3者間の関係 (1) 本件番組の企画内容を、直接、原告らに説明したのは、被告ドキュメンタリージャパンの担当者であるが、被告ドキュメンタリージャパンが原告らに対して本件番組の企画内容を説明し、本件取材活動を行ったのは、被告日本放送協会並びに被告NHKエンタープライズ21との間で、協議・決定された上で行われれたことである。 (2) そして、実際に放送された本件番組は、被告ら3社の共同制作にかかることは多言を要しないところであり、本件において、原告らに対する当初の説明と異なり原告らの信頼を裏切る内容の本件番組を被告らが共同制作し被告日本放送協会がこれを放送することは、被告らによる共同不法行為であるとともに、原告らに対して負担していた説明義務を共同して違反したものであるから、冒頭で述べたとおり、被告らは原告らに対し、損害賠償義務を負うものである。 第3 表現の自由、編集の自由について 原告らは、一般論としては、「表現の自由」「編集の自由」が尊重されるべきであることを認めている。 以上
|