中澤牧師からの講話
第一に、エホバの証人はたぶんに宗教法人であるということを伝える必要があるでしょう。第二に、120年あるいは140年間、裁判闘争をアメリカ、カナダ、イギリスで繰り返してきた宗教団体です。第三に、エホバの証人は社会的認知を得るために時代とともに衣替えをしてきました。組織を三つに分けて生き残っている戦術を採っています。85年、ウッド先生を中心にものみの塔をカルトとして考え、説得の働きを始めました。それから20年経ちましたが、最初の10年間、その認識は当たっていてエホバの証人の組織への対応としては絶大な効果がありました。この10年間の間にものみの塔組織は社会的認知を得るために衣替えをしました。裁判闘争もありました。離婚裁判、輸血裁判、格闘技の裁判、カウンセラーの裁判……。基本的にものみの塔は勝っています。勝つ材料を見つけてやっています。私たちにとって対応が難しい裁判闘争です。社会的な認知を得るためにやっています。最終的にカルトの問題としては、家庭崩壊です。その問題は変わっていません。それも、30年前、20年前とは違う形で組織は対応してきています。私たちも対応を変えざるを得ません。マインドコントロールを考えて、ものみの塔も統一教会、オウムと同じくカルトとして扱ってきました。ぴったり当たっていました。衣替えをしても20年くらいはこの問題は続きます。上から対応していますから信者に浸透するのに、実を結ぶのに20年はかかるでしょう。
マインドコントロールを解くためには行動心理学、認知心理学のサイドから解明されてきました。そういうサイドからの分析でうまくいくかと言えば、宗教団体ですから、もっと人間の本来の本姓に属するものを考えなけれがなりません。手っ取り早いのは、神経細胞的アプローチです。人間がいったい、心や物事をどう捕らえ、判断しているのか……。もう一度整理する必要があります。言語を考える脳科学ではアルファ波が反応します。数学を扱ったときには別の脳の部分が反応しています。音楽、身体、人間、自然、空間を認識しようとしたり、何らかの作用をするとき、脳が反応します。宗教的、霊的なときに脳のどこが反応するか、まだ脳科学では分かっていません。実存的な問いや世界、神の存在の問いを発するとき、脳のある部分が反応するだろうと言う科学者はいます。まだ確定的ではありません。マインドコントロールを使うエホバの証人がそういう観点から明らかにしていけますか。実存的な問い、霊的な問題を扱うとき、脳の反応があるなら、それを根底にして言語と論理を上手に使っていきます。人間を深く理解して、意図的に操作していると考えられます。音楽、自然、空間、身体といった問題については、エホバの証人は健全な行動、精神作用を切り取って捨てています。そういう形で成立するものみの塔のマインドコントロールはどんなメカニズムなのかを明らかにする必要があると思います。個人を変えていき、家庭を崩壊することに対する取り組みをするときにこれまで20年間あった告発の内容は、これからの賢明な認識を持って、何が問題か、告発していくんだと思います。長い時間をかけて、世界で最も優れた完成度の高いマインドコントロールを作ったのはものみの塔です。様々な宗教団体はマインドコントロールにかけては、非常に過激です。それも130年から140年の流れの中で人間と法律と組織を動かしてきている中で対応しているので幼さがあります。ものみの塔は、難しいところに立たされています。問題は家族の崩壊です。法律的な違法性は分かりませんが、カルト性は問題です。存続する二世、脱会のポイントとリハビリといった問題は中心にしながら、解決の方法を明らかにする必要があると思います。