1.ワークショップの参加者は、主催者のフィジー人権委員会およびアジア太平洋地域国内人権機関フォーラムに謝意を表明した。参加者はまた、フィジー共和国のマヘンドラ・P・チョウドゥリー首相によるワークショップの開会に感謝した。参加者は、国連人権高等弁務官事務所によるワークショップの共催、参加、財政的支援を高く評価した。また、ニュージーランド国際協力機構(NZODA)を通じたニュージーランド政府およびオーストラリア国際開発庁(AusAID)を通じたオーストラリア政府の財政的支援に対しても高く評価した。 2.ワークショップは、地域の文化的、伝統的、宗教的慣行に相反するものであっても、女性の権利に関する国際基準、とくに女性差別撤廃条約(CEDAW)および同選択議定書、ならびに女性に対する暴力撤廃宣言の重要性を確認した。参加者は、女性差別撤廃条約とその選択議定書の締約国にまだなっていないアジア太平洋地域内の各国政府に対し、締約国となるよう要請した。参加者はまた、各国政府に対し、女性の権利に関する国際基準が実効的に実施され、社会のすべてのレベルで、とくに強く若者において広く普及されるよう求めた。ワークショップは、各国政府に対し、NGOと協力して女性差別撤廃条約に対する政府報告書を準備することおよび同条約に従って義務を履行する際にはNGOの専門的意見を募ることを求めた。 3.ワークショップは、アジア太平洋地域における女性と子どもへの暴力事件が増加しているという報告に深い憂慮と懸念を示した。 4.ワークショップは、女性差別撤廃委員会に対し、アジア太平洋地域各国の報告を検討し、同地域における女性の権利の現況を明らかにする会議を域内において、開催することを要請した。ワークショップは、このような会議に資金を提供する立場にある域内の政府が、適切な支援を提供するように要請した。 5.国際条約の批准、実施、普及および報告が技術的な協力/財政的支援によって促進されうるという状況を考慮して、ワークショップは財政的支援を行う各国政府および国際機関に対して、適切なプロジェクトに対する支援を行うことを求めた。ワークショップは、アジア太平洋地域国内人権機関フォーラムに対して、国連または支援国政府を通じて可能となる適切なプロジェクトその他の人権に関する論点に関する研修と援助の機会の情報について調査し、その情報を域内各国の国内人権機関、NGOおよび適当な場合には域内各国政府に提供することを要求した。 6.ワークショップは域内各国政府に対し、女性の権利を前進させるための国内の仕組みを整備し、かつそれを強化することを求めた。ワークショップはまた、各国政府に対し、その立法、産業通商面の合意を支える議論および政府が検討する地球規模のイニシアティブ、公共政策、教育のカリキュラム、その他政府が関連するプログラムとプロジェクトにおいてジェンダーの視点を導入すること、およびこれらの方策を憲法上の枠組みの中に結びつけることを求めた。ワークショップは、すべての政府に対して、グローバリゼーションが、政府が実施すべき人権条約上の義務の枠組みの中において進められることを確保するように求めた。 7.ワークショップは、国内人権機関とNGOが女性差別撤廃条約その他の国際人権条約で義務付けられた政府報告について積極的に監視することを要請した。ワークショップはこの2つのセクターが、関連する国連の委員会が適切な情報を利用できるように確保することおよびこれらの委員会の勧告のフォローアップと実施の確保についてこれらの委員会と適切に協力することに積極的であることを要請した。 8.ワークショップは、アジア太平洋地域の多くの国において、人権の促進と保護のための国内機関が設立されたことを歓迎した。参加者は、他の諸国の政府が、市民社会との適切な協議過程を経て、かつ国連の「国内人権機関の地位に関する原則(パリ原則)」に従って、独立で多元的な機関を設立する方向に早急に動き出すことを要請した。ワークショップは、国連人権高等弁務官事務所とアジア太平洋地域国内人権機関フォーラムが、このプロセスを加速させるようにネットワークと財政的および技術的な支援を促進することを要請した。 9.ワークショップは、女性と少女の人権の促進と保護において国内人権機関とNGOが協力することの必要性を確認した。ワークショップは、1999年にスリランカのキャンディーにおいてアジア太平洋地域国内人権機関フォーラムが開催した「国内人権機関とNGOの協力に関するワークショップ」の結論を想起し、およびこの2つのセクターがよりよい協力関係を促進しかつ構築するよう力強く歩みつづけるように要請した。 10.参加者は、国内人権機関において、その委員と事務局職員との両面で適切なジェンダーバランスが保たれることが女性の権利の実効的な促進と保護にとって重要であることを考慮した。ワークショップは、国内人権機関がジェンダーバランスという論点の審査を行うこと、および行動の必要性が認識された場合は、すべてのレベルにおける不均衡を早急に是正することを目的とした政策を作成しかつ実施することを要請した。ワークショップはさらに、各々の国内人権機関が女性の権利と諸問題に取り組む中心的機関をもつべきことを要請した。 11.ワークショップの参加者はさらに、国内人権機関が女性の権利の促進と保護を実効的に進めようとするならば、国内人権機関のすべての委員と事務局職員が女性の権利の領域における諸問題について十分自覚し、その促進に熱意を持って関与するように確保することが必要であると考慮した。ワークショップは、国内人権機関がその内部における研修プログラムを審査すること、および女性の権利と女性の特別なニーズに関する十分な認識を確保するような実効的な研修コースを提供することを求めた。こうした研修プログラムと研修コースでは、たとえば苦情申立てや調査といった国内人権機関の実際の活動、その手続および実務についてとくに焦点があてられるべきである。研修コースはさらに、雇用機会均等その他機関内部におけるジェンダー政策をも含むべきである。 12.ワークショップは、国内人権機関が、基本的権利として、性的権利およびリプロダクティブ・ライツと同様、シェルター、食料、水、初等教育、プライマリー・ヘルス・ケアを含む女性の経済的、社会的、文化的権利に対してより一層の注意を払うよう要請した。これには、ジェンダー別統計への照合と配慮、および、一定の時間的な枠組みの中で到達可能で、費用効率が高い、適切なプログラムを政府に勧告することを含むべきである。 13.国内人権機関と政府はさらに、国内人権行動計画その他の関連国内計画において、とくに暴力や開発の領域で、女性の人権が包含されるように確保すべきである。 14.ワークショップは、人種差別主義と女性が経験する差別がしばしば重複することに関心を示している。参加者は、2001年に南アフリカにおいて反人種主義世界会議が開催されるとの決定を歓迎した。ワークショップはこの世界会議に対して、国内人権機関が一般的には差別その他の人種的な不寛容を取り扱う権限を持つ機関であることを認識し、このような国内人権機関が、とくに女性その他の社会において攻撃を受けやすいか周辺化されやすいグループに関して、果たしうる役割を強化する方策を検討するよう要請した。 15.ワークショップは、アジア太平洋地域における国内人権機関とアジア太平洋地域国内人権機関フォーラムが反人種主義世界会議に対して、人種差別主義および人種差別を実効的に防止しそれと闘う上での実践的な計画と戦略についての文書を提供することに高い優先順位を与えることを要請した。 16.ワークショップは、国内人権機関アジア太平洋フォーラムが女性の権利に力点をおくことを歓迎し、同フォーラムの1998年と1999年の年次会合に準備された論点文書に留意した。ワークショップは、フォーラムがさらに2000年にニュージーランドのロトルアで開催する年次会合において、とくにこのワークショップの結論と勧告を確認することを通じて、女性の人権に関しての議論を深めることを要請した。ワークショップの参加者は、フォーラムがアジア太平洋地域の女性の人権と国内人権機関に関する広範囲な政策の発展に向けて作業を継続することを要請した。 17.参加者は、アジア太平洋地域国内人権機関フォーラムがこのワークショップを太平洋地域で開催し、太平洋諸国の範囲から参加者を招待したことを歓迎した。参加者はさらに、国連人権高等弁務官が実効的な独立した国内人権機関の設立と実効的な地域的な戦略の開発に優先順位を与えていることを歓迎した。参加者は、フォーラムが人権高等弁務官事務所と協力し、太平洋地域における活動を高度化させうる方策の探求を継続するよう要請した。とくにワークショップは、 ●フォーラムが2000年8月にニュージーランドのロトルアで開催する年次会合で、太平洋島嶼諸国の政府とNGOをオブザーバー資格で招待することを提案した。 ●フォーラムに対して、国内人権機関の樹立を奨励するという観点から、太平洋島嶼諸国との連携を発展させることを求めた。参加者は、フォーラムと国連人権高等弁務官事務所が太平洋島嶼諸国を支援して国際基準にかないかつ利用可能な人的・財政的資源に適合した国内人権機関の適切なモデルを開発するよう要請した。 ●新しい国内人権機関の設立についてのガイドラインを開発するというフォーラムの意向を歓迎し、これが太平洋地域諸政府とNGOに普及されることを求めた。参加者は人権委員会の委員の選出が、とくにジェンダーバランスに関して説明責任と透明性の原則に従って行われることが重要であると考慮した。 ●フォーラムが国連人権高等弁務官事務所と協力して、人権の領域において太平洋島嶼諸国での政府レベル、政府機関レベル、NGOレベルにおいて制度を強化するプログラムを開発し促進することを求めた。このプログラムは、すでに存在する体系と必要性に関する評価を含むべきである。 ●フォーラムに対し、セクシュアルハラスメントの問題を含む雇用機会均等の問題に関するワークショップをこの地域において計画することを求めた。 ●フォーラムに対し、この地域の国内人権機関の中で、とくに地域出身の若い女性のためにインターンシップを制度化することを求めた。 18.ワークショップは、フィジー共和国人権委員会に強い支持を表明し、フィジー共和国政府、国連人権高等弁務官事務所および国際的な援助機関が委員会強化のためより一層の支援を提供することを要請した。参加者はフィジー共和国人権委員会が他の太平洋島嶼諸国に対して積極的なモデルとなることを信じ、同委員会が他の太平洋諸国における国内人権機関の樹立に関心をもちかつそれを支援していることを歓迎した。ワークショップは、フォーラムが助言と支援を提供し協力することにより、このような機関の樹立を支持するように要請した。ワークショップは、太平洋地域人権NGO連合の設立がそのための有益な最初の段階であると考察した。 19.ワークショップは国連総会特別会期の「女性2000年会議」が、女性の権利の促進と保護における国内人権機関の役割の重要性を認識するよう勧告した。ワークショップは、特別会期が北京行動綱領の実施をさらに促進するための実践的戦略目標が重要であると認識するよう要請した。ワークショップはアジア太平洋地域の諸国政府が北京行動綱領で課せられた義務を完全に履行するよう求めた。ワークショップはさらに、関連する国連のフォーラムにおいて独自の権限で発言するために、国内人権機関に対し独立した地位が与えられるよう求めた。 (翻訳:大西祥世) |
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