今後論議すべき論点の整理(案)


人権擁護推進審議会

第1 救済の理念と対象

1 人権侵害に対する救済とは何か(救済の概念)。どのような救済を本審議会の調査審議の対象とすべきか、被害の予防や啓発のための活動は、どの範囲で視野に入れるべきか(別添1「木権侵害に対する各種救済」参照)。

2 人権救済制度の畢たすべき役割は何か。
(説明)
人権救済機関による救済制度(以下「人権救済制度」という。)における救済の対象、救済措置、調査手続・権限、組織・体制の在り方等を考えるに当たって、この制度が果たすべき役割をどう考えるべきか。法葎省の人権擁護機関による現行の人権侵犯事件の調査処理制度の実情をも踏まえつつ、以下の諸点との関係で、人権救済制度をどう位置付けるべきか。

(1)人権救済制度の充実の必要性、
(説明)
人権侵害の被害者には、本来的な紛争解決制度である裁判手続の利用等による救済の道が用意されているが、人権救済制度の充実を図る必要性はどこにあるか。特に、自らの人権を自ら守ることが困難な状況にある人々について、より積極的な救済を考える必要はないか。このような人々の範囲をどのようにとらえるか。

(2)他の救済に関する制度との関係
(説明)
他の救済に関する制度の現状やその限界との関係で、人権救済制度の果たすべき役割は何か(別添2「主な人権侵害類型と検討すべき救済(案)」参照)。

@ 裁判所による救済
A 行政による救済
ア ー般行政機関(地方自治体を含む。)による救済
(ア) ADR(裁判外紛争処理制度)
(イ) その他
イ 警察による救済
B NGO等による救済
ア ADR
イ その他
C その他

(3)人権救済制度に求められる諸条件
(説明)
信頼性、公正さといった基礎的な条件のほかに、人権救済制度の果たすべき役割との関係で、特に求められる条件は何か。以下の諸条件を相互の関係にも留意しつつどう位置付けるべきか。

@ 簡易一迅速
A 利用しやすさ
B 実効性
C 被害者の視点
D 機密保持・プライバシー保護
E 公開性一透明性(人権侵害の調査・処理における機密保持・プライバシー保護の必要性にも配意しつつ、人権救済制度の運営等に関する公開性・透明性の要講や説明責任をどう考えるべきか。)
F 総合的窓口性と個別専門性(窓口が細分化していては使い勝手が悪い一方、実効的な解決を図るためには人権課題ごとの専門的な対応が必要であり、両者の関係をどう考えるべきか。)
G 救済対象と一なる人権侵害あ要件の明確性(強い救済措置や調査手続の対象となる人権侵害については、その範囲が明確である必要があるのではないか。)
柔軟性(救済機関には、新たな人権侵害事象にも柔軟に対応できる仕組みが必要ではないか。また、救済の内容において毛、柔軟な対応を可能とするものであることが必要ではないか。)

3 人権救済制度の果たすべき役割を踏まえ、どのような人権侵害を同制度の対象とすべきか。


第2 救済の措置

1 各人権侵害類型に関し、どのような救済が必要か。

(説明)
以下の主な人権侵害類型については、どのような救済が必要か。他の人権侵害についてはどうか(別添2「主な人権侵害類型と検討すべき救済(案)」参照)。

(主な人権侵害類型)
差別 差別的取扱い雇用差別
セクシュアルハラスメント
商品・サービス・施設等の提供拒否
結婚・交際に関する差別
差別表現特定人に対する侮辱・中傷等
特定人を対象としない差別助長表現
その他
虐待 女性に対する暴力ドメスティックバイオレンス
ストー力ー
家庭内における児童・高齢者・障害者の虐待
施設内における児童・高齢者・障害者の虐待
学校における体罰、・学校・職場等におけるいじめ
公権カによる人権侵害
メディアに係る人権侵害マスメディアによる人権侵害
その他のメディアを利用した人権侵害
その他高齢者・障害者等に対する財産侵害家族等によるもの
悪徳商法等によるもの
犯罪被害

2 上記救済を実現するためにどのような救済手段・手法が必要か。他の救済に関する制度、(第1、2(字))との役割分担も踏まえ、人権救済制度に導入すべきものは何か(別添2r主な人権侵害類型と検討すべき救済(案))参照)。

(検討対象となる救済手段・手法の例)
@ 相談
A あつせん
B 調停
C 伸裁
D 勧告・公表
E 命令・裁定
F 訴訟援助(法律扶助、資料提供、意見陳述、訴訟参加)
G 訴訟提起
H 政府への勧告(公娃カによる個別人権侵害に関し、是正措置等を勧告する毛の)
J 虐待等の早期発見のための活動(訪問相談)、コミュニケーション支援
J 事実行為としての救助、緊急保護
K 被害者に対するカウンセリング、社会復帰支援
L 加害者に対する啓発、カウンセリング
J その他


第3 調査手続・権限

1 実効的な救済を図るためには、どのような調査手続・権限が必要か。
(説明)
法務省の人権擁護機関による現行の人権侵犯事件の調査処理制度においては、専ら任意調査による事実関係の解明が図られているが、果たしてそれで十分か。十分でないとすれば、必要とされる救済手段・手法との関係で、どのような方法、強度の強制調査が必要か。例えば、以下のような強制調査の要否についてどう考えるか(別添3「各種紛争処理制度等における調査手続・権限(参考例)」、別添4「諸外国の国内人権機構の組織等(参考例)」参照)。

@ 当事者に対する出頭・陳述要求(調停一仲裁・裁定手続)
A 参考人に対する出頭・陳述要求(調停・仲裁・裁定手続)
B 鑑定人に対する出頭一鑑定要求(調停・伸裁一裁定手続)
C 報告要求
D 質問検査
E 文書等の提出要求一留置
F 立入検査
G その他
(任意、強制の別と担保手法)
任意調査
強制調査    間接的な強制  行政罰(過料)
    刑事罰     罰金
自由刑
直接的な強制(原則、令状が必要)
その他(協力義務等)

2調査の範囲についてはどう考えるべきか。


第4 救済機関の組織体制

救済の措置や調査手続・権限の充実強化等に対応して、以下の諸点に関し、人権救済機関の組織体制をどのように整備すべきか(別添5「法務省の人権擁護機関の組織体制等」参照)。

1現行の内部部局型の組織の充実で対応可能か。何らかの独立性を有する合議制又は独任制の組織を考える必要があるか(別添4「諸外軍の国内人権機構の組織等(参考例)」、別添6「国内ADR等の組織等(参考例)」参照)。

2人権救済機関の人的構成はどう在るべきか。
(説明)
人権救済機関の構成に関し、留意すべき点は何か。また、救済手段・手法や調査手続・権限との関係で、これにかかわる職員に求められる専門性は何か。その専門性を質的、量的にいかに確保すべきか。

3 人権救済制度において人権擁護委員はどのような役割を担うべきか。
(説明)
救済の手段・手法等の中で人権擁護委員が担うべきもの又は参加すべきものはどれか。そのために求められる専門性は何か。
(なお、上記議論を踏まえた人権擁護委員制度の在り方については、救済制度の骨格に関する調査審議の結果を取りまとめた後に、改めて検討することとする。)

4全国的に効果的な人権救済を図るための組織体制をどう整備すべきか。
(説明)
1での議論を踏まえ、法務局、地方法務局の人権擁護部門による現行の体制をどのように位置付け、人権救済機関の組織体制を全国的にどう整備すべきか。救済手段・手法や調査手続・権限を踏まえ、人権救済における国と地方公共団体の役割をどのように考えるべきか。

5 救済にかかわる他の機関、団体等との連携をいかに図るべきか。

6 人権救済機関は、人権救済のほかにどのような任務を担うべきか(別添7「諸外国の国内人権機構の救済以外の所掌事務」参照)。
(他の所掌事務の例)
@ 啓発活動
A 政府への提言
B 国連及び他の人権機構との協力
C 人権白書の作成、提出
D その他

→提言&投稿の広場
→人権政策提言骨子(案)


 

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