優生学を学ぶ優生学(優生思想)について、私は学校で学んだことはありません。だれも系統立てて教えてくれたことは、ありませんでした。ナチスの思想と関係があるらしい、という漠然とした知識ぐらいしかなかったのです。こだわりはじめたきっかけは不純なもので、授業の合間の雑談のネタに・・ぐらいに考えて。ともかく百科事典などで調べたり、ナチスの思想について書かれていた本を読みあさったり、知能指数について調べたりし始めました。そのころ(1980年代)はまだ、今ほど優生学についてまとまった一般向けの書籍は書店にはあまり並んでいませんでした。(私の目にとまらなかっただけかもしれませんが。) 同僚の家庭科の先生に当時まだ有効だった「優生保護法」について教えを請うて、いくつか資料や本を紹介してもらいました。その中に次の本がありました。 「いのちがあやつられるとき」(1993年、毎日新聞社会部医療取材班、情報センター出版局) 中学生や高校生にも読めるこの書籍から、優生学が過去のものでなく、また気軽に「雑談」のネタで語れるテーマではないことを私は思い知り、それから真剣に関連した図書を読みあさるようになりました。 優生学を授業でさて、高校の授業の中で、どのように取り入れたらいいのでしょう。理科(生物)だけでなく、家庭科や社会科、保健などの授業と連絡を取りながら展開できれば理想的だけれど、そこまでやったことはありません。 このページ以下は授業で優生学を取り扱うに当たって準備したメモをもとにして、優生学の粗描を新たに書き起こしたものです。 「優生学の生まれた時代」「初期の優生学のたどった道」「出生前診断」「遺伝病をどう考えるか」「遺伝決定論」「考える糸口」の順に読み進んで下さい。だいたい授業の流れに一致しています。 |
関連図書「人間の測りまちがい」スティーブン・J・グールド/鈴木善次、森脇靖子訳(河出書房)
「優生学の名のもとに」ダニエル・J・ケヴルス/西俣総平訳(朝日新聞社) 「優生学と人間社会」米本昌平、他(講談社現代新書) 「生命操作辞典」生命操作辞典編集委員会(編)(緑風出版) 「優生思想の歴史」スティーブン・トロンブレイ藤田真利子訳(明石書店) 「日本ファシズムと優生思想」藤野豊(かもがわ出版) 「五体不満足」乙武洋匡(紀伊國屋書店) |