【報告】米軍再編「グアム移転協定」の成立を許さない
 ―日米両政府による沖縄・辺野古への基地建設阻止

  (2009年4月3日)
いよいよ「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(以下「グアム移転協定」)の審議が開始された。
「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」では、傍聴行動のあと、
夕刻18時半から国会前で抗議行動を実施し、
田原議員(共産党)が国会審議内容を説明し、
辺野古実からの傍聴者も口ぐちに審議で明らかになった「協定」の問題点を皆に伝えた。






討論で次々に問題点が明らかにされた。傍聴者の記録から以下にその概要を示す。
1 この協定は日米安保関係の変貌をもたらす
「協定」本文に「同盟関係における協力の新たな段階をもたらす」とあるとともに、中曽根外相が「新たな安全保障体制に適応するため。日米安保が変容し新たな安全保障関係になる。」と答弁で述べた。
2 この協定はあまりに日米不平等「条約」である
・米軍の撤退のために地元国が金を出す事例がないことが答弁で明らかになった。今回の米軍再編で基地が半減するドイツも韓国も一銭も費用を負担しない。キルギスでは、米国の支払いを10倍にするように要望して、基地を撤去させた。
・家族住宅やインフラなどにPFI(民間資金活用)として「日本国際協力銀行」が融資する予定だが、どう考えてもアメリカの銀行に融資させるべき。
・北米局長の答弁でも日本はアメリカの「属国」と思われるかもしれないという言葉が出た。
・「協定」といいながら米国議会の承認が得られない。そのため米国側の予算執行が担保されない。
審議では、米国側ではオバマの予算教書2010にグアム移転費用が計上されていないこと、もし歳出予算に入らなかったら約束違反になるか?の質問に、外相は「もしそうなれば協定違反になるかも知れない。」と答えた。
・融資を含めた合計60.9億ドルは、当初の話と違って、基盤整理とか陸海空軍が使う施設にまで金を出す。
3 なぜ今「協定」かが疑問
・3年前に「ロードマップ」が閣議決定された折には必要ないと麻生外務大臣が国会答弁していたにもかかわらず、自公政権の支持が落ち込み衆議院議員選挙が数か月後に確実にある今、後の政権を縛る「協定」を結ぶべきではない。アメリカの世界戦略QDRが今年9月に発足する、そのあとでいいはず。
・「協定」が無ければグアム移転ができないのか?の質問に、外相は多年度にわたる事業をきちんと実施するために「協定」が必要と答え、「協定」が無くても移転事業を進めることが法的に可能であることが確認された。
・地元県議会が「協定」反対を可決し、県知事も辺野古新基地建設(普天間移設)について政府案に修正を求めている中で、自治体の手を縛る可能性がある「協定」を結ぶべきでない。
4 海兵隊8000人移転はまやかし
・海兵隊員8000人削減というが、定数の18000人を10000人にするということであり、現在の実数12500が10000になる(2500人減るだけ)の可能性もある。未だに外務省は実数を把握していない。
・与党議員(丸谷議員、公明党)でさえ、「協定」を締結して沖縄の負担を軽くしていくのでなければ、賛成できない、午前の討論ではそれが不明確、と述べた。

5 あいまいな答に終始する政府
河野委員長が、午前の質疑できちんと答えるように再三注意し、午後の開始時に「的確にかつ真摯に」答えるようにと異例の指示をした。このことが示すように、協定には問題点が多く、政府側もまともに答えられない。以下はその事例。
・グアムの家族住宅の資料を取り寄せたが、墨塗りが非常に多い。特に米国ではウェブに掲載されている内容まで墨塗りで送付されてきた。
・4件の基本計画調査事業は契約変更され期限を今年3/末から12/25に延期した。にもかかわらず基本設計ができていないのに今年度事業が予算化されている。
・万一辺野古がうまくいかなかったとしても協定違反にはならない。
・2008年米会計年度で金額が決められているが、物価が上がれば、日本の負担金額も上がる。


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