現代企画室

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グリーフ
ある殺人事件裁判の物語

ヘレン・ガーナー/著
加藤めぐみ/訳
2018年11月刊行
定価2500円+税
4-6上製・352頁
ISBN978-4-7738-1813-0 C0097

オーストラリア屈指の実力派作家が取り組んだ、衝撃の裁判ノンフィクション!
父親が運転する車が貯水池に落ち、3人の息子が溺死。これは不幸な事故なのか、それとも別れた妻への復讐なのか?
真相究明を求める法廷で繰り広げられた「悲嘆(グリーフ)」のドラマ。
2005年父の日の夕刻、ビクトリア州の田舎町郊外で、ロバート・ファクワスンが運転していた車が道路脇の貯水池に沈没し、同乗していた3人の息子が溺死した。失神による事故だと説明するファクワスン。しかし現場の不自然な状況、前年に妻シンディと離婚し息子たちとも別れて暮らしていた背景などから、ファクワスンは殺人の容疑で起訴される。無罪を主張する弁護団、綿密な証拠を積みあげ「事故」の可能性を潰していく検察側。家族、友人、警察官、医師、カウンセラーらの証言が錯綜し、真相は杳として掴めない。オーストラリア全土を震撼させた事件の過程をつぶさに追った著者が、悲嘆に満ちた裁判の果てに見たものは何か?

【著者紹介】ヘレン・ガーナー(ヘレン・ガーナー)

1942年、ビクトリア州ジロング生まれ。メルボルン大学を卒業後、高校教師の職に就く。 1977年、小説『モンキーグリップ』で作家デビュー。若い高校教師のインナータウンにお けるボヘミアンな生活を描いた自伝的な要素をもつ小説で、賛否両論を呼ぶ。同作は1982 年に映画化。現在では現代オーストラリア文学における古典的名作のひとつと数えられている。その後も、性と社会的関係、家族という制度の根源を問うテーマの作品を自らや周囲の経験をもとに発表しつづける。また、小説や脚本と並行してノンフィクション作品も多く手がけている。大学における性的嫌がらせ事件を扱った『セクシュアル・ハラスメント(原題: The First Stone)』(1995、邦訳 2008)は当時のフェミニズム運動への批判的な態度を示し、高評価と同時に大きな非難にもさらされた。2014 年に発表した『グリーフ(原題: This House of Grief)』はオーストラリアで知らぬ者はいない殺人事件の公判に取材し、その独自の視点が注目を浴びるとともにノンフィクション作品として到達した高い文学性が賞賛を集めた。2006年には第1回目となるメルボルン文学賞を、また2016年にはそのノンフィクション作品に対して国際ウィンダム・キャンベル賞を受賞している。

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