ある在日朝鮮社会科学者の散策
「博愛の世界観」を求めて
朴庸坤/著
2017年3月刊行
定価2300円+税
A5並製・288頁
ISBN978-4-7738-1702-7 C0036
祖国朝鮮の統一を願い、亡命した日本で主体思想を研究、第一人者になったが、金炳植事件や黄長華韓国亡命などで運命が二転三転。日・朝・韓戦後史の渦中を生きた社会科学者が、数奇な88年の旅のすべてを語る。
「社会実践は真理の尺度である。民衆はつねに正義の審判者である。歴史は栄枯盛衰の鏡である。現代朝鮮のふたつの現実も歴史の審判を免れ得ない。檀君朝鮮を止揚して金日成朝鮮の開闢を告げた北朝鮮を、後世の思想家はどう評するのだろう。人民民主主義を標榜する国家が白頭血縁の王朝国家に変貌した北朝鮮を、後世の歴史家はどう評するのだろう。……民主主義の下では被告にも抗弁する権利が与えられる。北朝鮮における主体思想研究の大まかな流れと、その流れの中で私がどう動いたかを書き留めたのは、私のささやかな抗弁権の表現である。」(本書より)
「社会実践は真理の尺度である。民衆はつねに正義の審判者である。歴史は栄枯盛衰の鏡である。現代朝鮮のふたつの現実も歴史の審判を免れ得ない。檀君朝鮮を止揚して金日成朝鮮の開闢を告げた北朝鮮を、後世の思想家はどう評するのだろう。人民民主主義を標榜する国家が白頭血縁の王朝国家に変貌した北朝鮮を、後世の歴史家はどう評するのだろう。……民主主義の下では被告にも抗弁する権利が与えられる。北朝鮮における主体思想研究の大まかな流れと、その流れの中で私がどう動いたかを書き留めたのは、私のささやかな抗弁権の表現である。」(本書より)
【著者紹介】朴庸坤(パク ヨンゴン)
1927年、日本植民地時代の朝鮮半島(現在の大韓民国全羅南道和順郡)に生まれる。終戦・独立後の政治的混乱を避けて1948年に日本に亡命。愛知大学、同大学院で経済学を修め、1960年より朝鮮大学校教員として民族教育に携わる。1970年代より朝鮮労働党の政治思想である主体思想研究の道に進み、「主体思想叢書」の編集・出版を主導するなど主体思想の深化と国際的普及活動に貢献する。朝鮮大学校政経学部長、同副学長、在日本朝鮮社会科学者協会会長、主体思想国際研究所理事、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)中央委員などを歴任。なお、現在は朝鮮大学校および朝鮮総連の公職からすべて離れている。
主な著書に『チュチェ思想の世界観』(未来社、1981年)『主体的世界観』(未来社、1990年)『博愛の世界観』(2012年)などがある。