現代企画室

お問い合わせ
  • twitter
  • facebook

ドニャ・ペルフェクタ
完璧な婦人

ベニート・ペレス=ガルドス/著
大楠 栄三/訳
2015年3月刊行
定価3000円+税
4-6上製・380頁
ISBN978-4-7738-1506-1 C0097

映画の鬼才、ルイス・ブニュエルが愛読した
スペイン人作家の代表作、登場!

その悲劇は、スペインの架空の貧村、オルバホッサで起こった。
作家はスペインの現実を見ながら、20年後に言った—

「神がわれわれを憐れむことがないなら……おそらく
憐れむことはないだろうが、今まさにあらゆる場所が、
そして明日あらゆる場所がオルバホッサとなることでしょう。」

19世紀後半のスペインでは、精神・政治・経済などすべての面で多様な〈イズム〉の信奉者間で〈極彩色の闘争〉が繰り広げられていた。この小説に登場する、一見すると良い人間たちは、いつかしら、自らの正しさを信じて疑わなくなり、それにつれて、異なる意見を持つ他者を許せなくなる。その〈信念〉はついには〈狂信〉へ転化して、最悪の破局へと向かった……。

【著者紹介】ベニート・ペレス=ガルドス(ペレス=ガルドス,B.)

(Benito Pérez-Galdós, 1843-1920)1843年、大西洋に浮かぶスペイン・カナリアス諸島ラス・パルマス島に生まれる。1862年に大学入学のためマドリードに上京するが、学業よりもジャーナリズム活動に身を投じていく。1870年の『フォンターナ・デ・オロ』以降は、ブルジョア階級のみならず、没落貴族や司祭、知識人の生活、そして社会の最下層の悲惨までをもリアルに描き出す小説を生涯にわたって書き続ける。同時に、スペインの歴史を世紀初頭からたどる《国史挿話》シリーズを構想し、第5部からなる全46巻の歴史小説を上梓する。後半生においては、戯曲家としての才を現わし、『エレクトラ』(1901年)は当時のスペイン社会を二分する問題作となった。1920年の没後も時代を超えて読み継がれ、スペインの国民作家と讃えられている。邦訳された作品に『トラファルガル』(朝日出版社、1975年)、『マリアネラ』(彩流社、1993年)、『フォルトゥナータとハシンタ:二人の妻の物語』(水声社、1998年)などがある。

syohyo