アラン・ポーグさんはベトナム戦争からパレスチナ、移民労働者、死刑囚の素顔、湾岸戦争、イラク経済封鎖の悲劇まで30年間にわたり米国の影の部分を撮り続けてきた超一流のフォトジャーナリストです。「人権を守り、人道支援の道具としてカメラを使うフォトジャーナリスト」という定評がある彼は、多くの一般市民や政治家の心を動かし、偏った世論の流れを変えるのに何回となく貢献してきました。
(アランさんの過去の作品の一部は、http://www.documentaryphotographs.com/ で見られます。)
その彼が昨年暮れ、米国の"Veterans for Peace"(平和を考える退役軍人の会)とグローバル・ピース・キャンペーンによってアフガニスタンとパキスタンに派遣され、数々のパワフルで美しい映像をカメラに収めてきました。そして現地映像の発表に様々な障害が懸念されるアメリカに戻る前に、正月早々日本に立ち寄り、アフガン難民の生身の人間模様を写真とトークで印象深く伝えてくれました。(滞日報
告は、http://www2.gol.com/users/imamurak/alan-pogue-report2002.htm )
たった2日あまりの日本滞在中に、数限りない人間が、彼の写真とトーク、人柄に強く心を打たれました。惚れ込んだと言ったほうがいいかもしれません。その中の数人が集まって奔走した結果、やっと実現するのが、このアラン・ポーグ写真展です。
会場では、1月は技術的な理由で披露できなかった大判フォーマットのモノクロ作品が多数披露されます。アートとして心に染みてくる彼の素晴らしい写真をじっくり味わってください。屋内に展示されるアフガン写真20点のほか、テラスでは経済封鎖下のイラク、パレスチナの写真が10点ほど観賞できます。それはまさに米国の「"正義と自由の戦い"の犠牲者たち」に対するアランさんの思いを表したものです。くつろいで観賞できるように、Teaコーナーも用意しました。案内役のカタログには、会場に展示しきれない作品を含め全35作品とアランさんからの言葉のメッセージが掲載されます。これは、活動サポートの寄付に替えて持ち帰っていただけるよう用意しました。なお、写真展は正午から7時までですが、会場はそのまま8時から通常営業しているBar*になり、室内展示分は十分に観賞できるので、夜の時間帯も狙い所かもしれません。
現在、アメリカは平和を考えるような発言に対する弾圧がきわめて強いままです。しかし、アメリカは外圧だけで変わることはなく、内側から変わることを期待するしかありません。そうした折、アメリカにもアラン・ポーグのような良識が存在することを日本人が確認し、サポートすることの意義は明らかです。それは、日本の良識がアメリカに希望を持つきっかけにもなります。この展示会での感動を独り占めするのではなく、アランさんのアートとピースのメッセージを日本各地にどんどん広めていけたら。アラン・ポーグ応援団一同はそんな夢を膨らませています。
グローバル・ピース・キャンペーン
今村 和宏
*Barは8pm−5am、日曜・休日は休み。
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