1999年既刊書 |
愛知県の疫病史 コレラ・天然痘・赤痢・ペスト | |
渡辺則雄/著 有賀強/装丁 A5判・上製・400p 定価3800円+税 ISBN4‐7738‐9916‐6 |
|
疫病(はやりやまい)は、人々に何をもたらしたのか。コレラ・天然痘・赤痢・ペストなどの伝染病に翻弄されつつも、たくましく生きようとする人々の姿と、「文明化」や「清潔」あるいは「健康」をスローガンにすすめられた地域の衛生行政の動向を素材に、近代日本の社会秩序の形成を考える研究書。愛知県における種痘の普及を示す関係資料を資料編に収める。
著者紹介◆1939年、愛知県に生まれる。愛知県額田郡額田町立千万町小学校勤務のかたわら、愛知県史編纂事業の調査員を務める。著書に『御領の村南設楽郡作手村大字黒瀬字史』1975年、『岡崎・額田の蚕糸業史』1990年などがある。 |
その時は殺され…… | |
ロドリゴ・レイローサ/著 杉山晃/訳 本永恵子/装丁 46判・上製・200p 定価1800円+税 ISBN4-7738-9917-4 |
|
「恐怖や脅威は、私の小説の主要なテーマのひとつだ。特定の人間に対して感じる恐怖ではなく、見知らぬ環境や状況がもたらす恐怖だ」
「小説家としての私のキャリアにおける最大の事件は、モロッコへ出かけたことと、グアテマラで生まれたことだと思っている」 ????ロドリゴ・レイローサ |
|
【作家紹介】 1958年、グアテマラに生まれる。学業を終えてのち、「内戦状態が続いて、落ち着いて文学に打ち込める環境ではなかった」グアテマラを離れ、ニューヨークに向かう。そこで映画の勉強をしてから、1982年、モロッコに長いこと住む米国の作家、ポール・ボウルズ(1910〜1999)が講師をつとめるワークショップに参加するためにタンジールを訪れる。 20代前半の若者の文学的才能を認めたポール・ボウルズは、レイローサの短篇を自ら英訳して米英で出版、タイムズ紙文芸付録の書評子が「土着的な題材を夢幻の領域に取り込んだこれらの掌編は驚異的なまでにみごとだ」と書くなど、高い評価をうけた。 タンジールに十数年留まり、『乞食のナイフ』(1985)『静かな湖水』(89)『樹林の牢獄』(92)『船の救世主』(92)『セバスティアンの夢』(94)『片足の善人』(96)『その時は殺され……』(97)『聖域なし』(98)などの作品を次々と発表してきた。その作品世界は、現実と幻想、土着的なものと都会的なもの、さまざまな人種や文化が微妙に絡み合う点などで、他に代えがたい魅力を醸し出しており、ラテンアメリカに生れながらそこをも超えてゆく新しい可能性を秘めた作家として注目される。 |
引き船道 | |
ジェズス・ムンカダ 著/田澤佳子・田澤耕 訳/有賀強 装丁/46判・上製・384p/ISBN4-7738-9911-5/定価3500円+税 | |
植民地の喪失、内戦、フランコ独裁、近代化……19〜20世紀のスペインの波瀾万丈の近・現代をカタルーニャの片隅でひっそりと生きた村人の、ユーモアとペーソスとエロスに満ちた物語として描く現代の語り部、ジェズス・ムンカダ。世界各地の言語に翻訳されたカタルーニャ現代文学最高の話題作が今秋、日本で初紹介!
|
|
【作家紹介】 ジェズス・ムンカダ Jesus Moncada (1941〜 ) スペイン、カタルーニャ地方のマキネンサ村で生まれる。最初はイラストレーターとして働いていたが、40歳の頃から小説を発表しはじめた。以後着実に作品を書き続けきているが、一九八八年に発表された『引き船道』は、カタルーニャの由緒あるジュアン・クラシェルス文学賞を受賞、これを契機に多くの外国語に翻訳された。現在ではカタルーニャ語で表現する文学者のなかで、世界的に最も注目される作家となっている。本書の舞台は、作家の故郷で、水没する以前のマキネンサ村。アラゴン山中に源を発するエブロ川に面するこの地域に住む人びとの精神世界は、内陸民の閉鎖性にも海洋民の開放性にも偏しない、独特のものとなって形成されているが、本作品は19世紀から20世紀にかけての変転めまぐるしいスペイン/カタルーニャを時代背景に、その村固有の精神史を語ることで世界的な普遍性に至った語り部的作品である。 【訳者紹介】 田澤耕(たざわ・こう) |
目次 主な登場人物 関連地図 第一章 エデンの 日々 第二章 十三聖人島 第三章 灰のカレン ダー 第四章 黒い南西風 エピローグ 終わり なき亡命 「引き船道」の時代 背景 訳者あとがき |
アルベルト・ジャコメッティのアトリエ | |
ジャン・ジュネ 著/鵜飼哲 編訳/本永恵子 装丁/A5判変形・184p/図版・写真17枚/ISBN4-7738-9912-3/定価2500円+税 | |
ジャコメッティがこよなく愛し、ピカソをして「もっとも美しい美術論」と言わしめた「アルベルト・ジャコメッティのアトリエ」。
ジュネ自身の容貌と驚くほど類似した自画像を描いていたレンブラントへの、尽きることなく深まる関心。ジュネの実生活と文学創造の転換期に書かれ、その双方を鋭く「カット」する「描線」のようなジュネ芸術論6編。 【本書に収録されている文章】 |
|
【作者について】 ジャン・ジュネ(Jean Genet) 1910年、パリで生まれる。父は不詳。七ヵ月で母親に遺棄されモルヴァン地方の指物師の家の養子となる。小学校卒業後わずか一〇日で職業訓練校の寄宿舎から逃走。放浪する間の微罪のため一五歳で少年院に収監される。一八歳で軍隊に入隊、中東、モロッコなどに配属されたのち、1936年脱走する。訴追を逃れるため贋の身分証でスペイン、イタリア、ユーゴスラヴィア、チェコスロヴァキア、ポーランド、オーストリア、ドイツ、ベルギーを転々とする。 1937年フランスに戻り、以後七年間に窃盗などの罪で一二回告訴される。1942年、フレンヌ刑務所在監中に詩集『死刑囚』を出版、以後矢継ぎ早に『花のノートルダム』『薔薇の奇蹟』『葬儀』『泥棒日記』など、犯罪者の、また同性愛者の立場を公然と引き受けた特異な小説群を発表、コクトー、サルトルらの賞賛を受け作家としての名声を獲得する。1949年に最終恩赦を受けたのち六年間沈黙。 1955年から戯曲『黒んぼたち』『バルコン』『屏風』を発表し劇作家としてカムバックする。1968年以降はアメリカ黒人解放闘争、パレスチナ解放闘争、移民運動などに加担、ときおり特異な政治評論を発表していたが、1986年パリで死去。パレスチナ滞在期の追憶を中心とする長編回想記『恋する虜』が絶筆となった。 |
トリスタン・ツァラ 言葉の四次元への越境者 | |
大平具彦 著/写真・図版多数収録/有賀強装丁/A5判・上製・416P/ISBN 4-7738-9909-3/定価6500円+税 | |
光は吐き出され その花びらを散らしてゆく (ツァラ、35歳) <ダダ>や<シュルレアリスム>の呪縛からツァラを解き放つ トリスタン・ツァラ−−それは、「故国にあっては悲しき者」(ルーマニア語)の謂い。母語・ルーマニア語を捨て、異邦語・フランス語を用いつつどの地域言語からみても<異邦>たる「宇宙語」的な独自の詩言語に生きた詩人の創造の秘密に迫る。 |
|
目次 序章 T ダダ 第一章 ルーマニア時代 第二章 チューリッヒ 第三章 パリとの接触 第四章 パリ U 言葉のコスモロジー 第五章 移行期 第六章 『近似的人間』 第七章 『反頭脳』および芸術論 V 生きられた詩 第八章 転換期ーーシュルレアリスム時代 第九章 状況の中の詩 第十章 戦後の活動 終章 注 トリスタン・ツァラ年譜 書誌主要文献 人名索引 あとがき |
【著者紹介】 大平具彦 (おおひら・とも ひこ) 1945年神奈川県生 まれ。フランス政府 給費留学生としてニ ース大学に学び、ダ ダ運動の著名な研究 者ミッシェル・サヌ イエ教授に師事。現 在、北海道大学言語 文化部教授。フラン ス文化論・表象文化 論。共訳書に『トリ スタン・ツアラの仕 事U:詩篇』(思潮 社)、ミッシェル・ サヌイエ『パリのダ ダ』(白水社)など。 |
記憶と近代 ラテンアメリカの民衆文化 インディアス群書(20) | |
ウィリアム・ロウ、ヴィヴィアン・シェリング著/澤田眞治、向山恭一 訳/A5判・上製・口絵写真8頁・本文392頁/粟津潔装丁/定価3900円+税 ISBN 4-7738-9908-5 |
|
「征服」以後、西欧近代の文化的同質性の圧力にさらされながらも、ラテンアメリカの民衆的伝統はいかにして自らの「記憶」を保存し、伝達し、変形してきたか。著者はこの観点から、民衆文化がもつ解放とユートピアへの潜勢力を、理想的な地点に凍結することなく、社会集団間の意味や慣習の対立において実際に発生しているものを考察する。
論及は、民俗音楽、呪術信仰、口承の物語、文学、演劇、博物館、サッカー、サルサ、サンバ、カーニバル、テレノベラ……に及び、民衆の文化的ヘゲモニー闘争を克明に跡づけて、さながらラテンアメリカ民衆文化に関する「百科全書」の趣きをもつ。経済と情報のグローバリゼーションのさなかの民衆を受動的な存在に固定化せずに、「順応と抵抗」の相克を生きる存在として捉えて、刮目に価する達成を示す。 |
|
目次 序論 第一章=断絶と連続 植民地、呪術、服従の限界 独立ーー公式見解と民衆見解 法、秩序、国家 民衆文化と国家 第二章=民衆文化の顔 T 地方の文脈 アンデスの反乱 博物館への旅 民衆カトリシズム 踊る牛ーー農民生活と民衆演劇 口承詩と物語の技法 U 都市の文脈 都市への移動 テレノベラーーメロドラマから喜劇へ オルタナティヴ・メディア 奴隷制からサンバへ カーニバルと黒人アイデンティティ サッカーとそのスタイルの政治的意味作用 第三章=民衆文化と政治 民衆という神話 ギリシア・トーガを着たメキシコの女生徒 アイデンティティと国民アイデンティティ 「大衆は考えない、彼らは感じるのだ」 発展のオルタナティヴ・モデル インディオの政治 パッチワーク、マチスモ、新しい社会運動 第四章=民衆文化と高級文化 文学と国民 文化の境界線 大衆文化と小説 二重の周辺化 結論ーー記憶、破壊、変形 原註 訳者あとがき 索引 |
呼吸する視線 みえないものとの対話 | |
河口龍夫/編集:いわき市立美術館・平野明彦/A4判・156頁・作品図版多数収録・テキストは和英併記 定価4500円+税 | |
1965年のグループ<位>結成以来、現代美術の最前線を走り続ける河口龍夫。氏は、物質が喚起するさまざまな諸相を《関係》という独自の視点から浮かび上がらせながら、強靭な哲学的思考に裏打ちされた作品を創造し続けてきた。本書は、これまで未発表作品であった「関係ー教育・エドゥカティオ」連作を中心に、氏の1970〜80年代の作品および1998年いわき市立美術館展のために制作された新作をまとめたものである。 | |
●目次 「関係ー鳥の巣箱」 「フェニックスの巣3」ほか 「関係ー植物・隣の空き地」 「関係ー鉛の温室・花のために」ほか 「関係ー種子・ひまわり」 「COSMOS」 「DARk BOX」「DARK BOXー1998」 「関係ー教育・エドゥカティオ」 「鉛の言葉」 「関係ー叡知・鉛の百科辞典」 「関係ー種子・農園」 「関係ー種子・旅のために」「関係ー種子・手の中に」 「関係ー種子、土、水、空気」 「関係ー鉛の車椅子」 「関係ー鉛の宇宙・生命」 「七本のタンポポ」 「関係ー作品の作品」 「関係ー鉛の鳥篭1」「関係ー鉛の鳥篭2」 「関係ー鉛の鳥」 解説 「関係ー教育・エドゥカティオ」/小泉晋弥(茨城大学教育学部助教授) 「展示の根拠ー『呼吸する視線 河口龍夫:みえないものとの対話」/平野明彦(いわ き市立美術館学芸員) 図版リスト 出品作品リスト 略歴・展覧会歴(1992→1998) 参考文献(1992→1998) 編集 いわき市立美術館 |
●註記 本書は、元来、いわき市 立美術館で1998年11月 21日〜12月20日に開催 された河口龍夫展のため に制作されたものです。 どの展覧会の場合にも免 れることのできないこと ですが、期間と場所の限 定性から、希望しながら 実際にはこの展覧会を観 覧できなかった方々の声 を聞き及び、先に『河口 龍夫作品集』を刊行した (1992年)小社が、い わき市立美術館と協議の うえ、市販用の本書の刊 行・販売を行なうことに なりました。表紙および この奥付頁以外は、原本 どおりの様態にとどめた ことを付記します。 |
センチメンタルな殺し屋 | |
ルイス・セプルベダ 著/杉山晃 訳/本永恵子 装丁/46判・上製・172p/99.7/1800円+税 | |
『カモメに飛ぶことを教えた猫』(白水社刊)『ラブ・ストーリーを読む老人』(新潮社刊)のセプルベダの最新作
パリ、マドリー、イスタンブール、メキシコ………。元請けが指名した<標的>を求めて、世界をさすらう殺し屋。さてついに追い求めた<標的>の正体とは?テンポの速い展開としゃれた会話で綴られた表題作は、現代世界の一断面を明るみに出して、切れ味するどい。他に、『ラブ・ストーリーを読む老人』にも似てエコロジー問題への深い洞察に満ちた『ヤカレー』を収録。 |
|
ルイス・セプルベダ/著者 1949年、チリ北部のオバージェに生まれる。アナキストであった祖父の影響をうけて若くして社会主義運動に参加(祖父の話は『パタゴニア・エクスプレス』に詳しい)73年、アジェンデ社会主義政権を倒したピノチェト将軍による軍事クーデタの後逮捕され、南部テムーコの刑務所に入れられる。二年半の服役の後、アムネスティの努力で釈放される。80年からドイツのハンブルグに居を定め、そこでジャーナリスト・作家活動を始める。89年発表の『ラブ・ストーリーを読む老人』や96年の『カモメに飛ぶことを教えた猫』がヨーロッパ諸国でベストセラーになり、新しい世代のラテンアメリカの作家として注目を集めている。 杉山晃/訳者 |
新宿ホームレス奮戦記 立ち退けど消え去らず | |
笠井和明 著/写真(木暮茂夫撮影)多数/本永恵子 装丁/46判・並製・372p/99.7/2200円+税 | |
新宿西口地下街のダンボールハウス群。「市民派」青島前都知事による強制排除策で今は見る影もない。野宿者はあのとき何を望んだのか。何を求めてたたかったのか。そこにいたのは、明日のわたし/あなたかもしれないごく普通の人びとであった。
たたかいの渦中にいた一活動者が自らのたたかいをふりかえり、東京都と企業と市民社会が、その正しさを信じて疑わない「強制排除」の論理に反駁する。同時に、乏しきメシを分かち合い、病者をいたわり、助け合う普通の人びと=野宿者たちの素顔を活写する。 |
|
目次 第一章 路上から撃て 前史 二・一七と、反撃 ホームレス殺人事件 仲間の会と七・一二 総合要求闘争 第二章 路上拠点 第一回新宿越冬闘争 三・一五と三・一九 コミュニティ STOP! 「動く歩道」 新宿は燃えていた 第三章 社会福祉と強制排除 法律外の人びと 路上生活者対策 「排除…法外収容…自立強要」 強制排除 青島幸男の扇動 俊さんの思い 第四章 決戦 希望 決戦越冬 下層社会 これからの路上は…… あとがき |
■笠井和明■
1962年東京生まれ。 |
インディアスと西洋の狭間で 『マリアテギ政治・文化論集』 インディアス群書第16巻(第11回配本)→インディアス群書へ |
|
ホセ・カルロス・マリアテギ著/辻豊治 小林致広編訳/粟津潔 装丁/A5判・384p/99.5/3800円+税 | |
20世紀ペルーが生んだ、広い知的視野をもった独創的な社会主義者マリアテギ(1894ー1930)。学校教育とは無縁に独学し、早くからジャーナリズムで仕事を始めた彼はその急進的民主主義者ゆえに祖国を追われた。イタリアを中心としたヨーロッパでの生活の中で、クローチェ、マリネッティ、グラムシ、バルビュスらと知り合い、広くヨーロッパ文化に沈潜しつつ、マルクス主義に接近する。
数年後に帰国した彼は、政治と文化の双方の分野にわたって旺盛な執筆活動を行なったほか、ペルー社会党や労働総同盟の結成に関わるなど実戦面でも活躍した。本書は、あくまでもペルーの現実に根ざした地点で問題を立てつつ、同時代の世界各地の思想や政治・社会への広い関心を持ち続けたマリアテギ思想の全貌を明らかにするものである。 |
|
第 一 部 カ ー ニ バ ル の モ チ ー フ 芸 術 ・ 文 化 ・ 文 明 論 第一章 芸術・文化論 一、未来主義の新旧の様相 10 二、後期印象主義とキュビズム 14 三、表現主義とダダイズム 18 四、文学・芸術における民族主義と前衛主義 24 五、芸術、革命とデカダンス 28 六、シュルレアリスムの総括 32 第二章 文明論 一、都会と田舎 40 二、文明と髭 44 三、紙テープ 51 四、クリスマス閑話 54 五、文明と馬 59 六、カーニバルのモチーフ 63 七、チャップリン論の図式 68 八、イサドラ・ダンカンの回想録 76 第 二 部 文 明 の 黄 昏 世 界 の 流 れ の 中 か ら 第一章 転換期の西洋 一、トロツキー 84 二、ウイルソン 88 三、ロイド・ジョージ 92 四、ジョン・メイナー・ケインズ 97 五、二五年間の世界の出来事 102 第二章 転換期の思想 一、文明の黄昏 127 二、世界危機とペルーのプロレタリアート 133 三、民族主義と国際主義 143 四、生のついてのふたつの概念 149 五、人間と神話 155 六、北米合州国の宿命 161 七、近代哲学とマルクス主義 166 第三章 東洋の革命 一、東洋世界の革命運動と社会主義運動 174 二、ガンディー 181 三、孫逸仙 187 四、日本における社会主義運動 191 五、東洋と西洋 195 六、ロシアと中国 198 第 三 部 民 族 的 な も の と 外 来 の も の ラ テ ン ア メ リ カ で の 実 践 第一章 民族主義とインディヘニスモ 一、民族的なものと外来のもの 204 二、ペルーの第一の問題 208 三、タワンティスーユの相貌と魂 212 四、政治イデオロギーにおける民族主義と前衛主義 217 五、先住民問題の諸局面 221 六、先住民擁護の新しい運動 224 七、インディヘニスモと社会主義 228 八、民族的伝統 233 九、『アンデスの嵐』への序 236 十、『賢者アトゥスパリア?への序 244 第二章 ラテンアメリカの革命 一、『アマウタ』誌、二周年の総括 250 二、社会党綱領 255 三、ペルー労働者階級に対するペルー労働総同盟の宣言 261 四、階級的行動の前史と発展 277 五、反帝国主義的視座 285 六、ラテンアメリカにおける人種問題 293 年表《ホセ・カルロス・マリアテギとその時代》 347 解説 369 訳者あとがき 385 |
フランケチエンヌ ―クレオールの挑戦― | |
恒川邦夫 著/有賀強 装丁/46判・164p/2200円+税 | |
ハイチ・クレオール文芸の幕開けを飾る小説「デザフィ」の著者フランケチエンヌ。彼は、詩人・画家・劇作家としても多彩な活動を続けている。1957年から86年にかけての30年に及ぶ、デュバリエ父子独裁政権時代、知識人たちのが相次いで亡命を選択するなかで、彼は首都ポルトプランスにとどまり、民衆の表現の手段とその内容が合致するクレオール語を駆使して作品を創造し続けてきた。それは、国家・文化・言語・歴史などに象徴される既成の制度に対するフランケチエンヌの挑戦であった。
本来、口承言語を表わす「クレオール」の概念を超えて、また単に文化の混交物を示すにとどまらず、さまざまな制度によって形作られた文化からの離脱、自らの真の文化を獲得するための思想として、いま「クレオール」に注目が集まっている。 |
|
【目次】 第一部●フランケチエンヌがやってくる 『クレオール文芸』の《知られざる傑作》 ポルトプランスの《怪人》 花の島マルティニックにて 第二部●フランケチエンヌの世界 詩人/小説家/劇作家・俳優/画家 付録●東京公演台本『《フキフラ》あるいは鏡の中の声』 ◆口絵カラー3点/本文挿画22点 |
「はしばみ色の目のいもうと」水野るり子詩集 | |
水野るり子著/有賀強 装丁/A5判・108p/2000円+税 | |
色彩と音と匂いに満ちた夢の世界で、敏感な感覚をはりめぐらせていた第二詩集『ヘンデルとグレーテルの島』から十六年。詩人の内にひっそりと佇んでいた子どもは詩の大地に根をおろし、さまざまな存在との交感を通して詩人の女性性が瑞々しい表現で息づく「生命の樹」ともいうべき表現世界を作り上げた。 |
ゲバラ コンゴ戦記1965 | |
パコ・イグナシオ・タイボ?ほか著/神崎牧子・太田昌国訳/本永恵子装丁/46判・376p/99.1/3000円+税 | |
1965年2月アルジェの国際会議で激烈なソ連批判を行なって帰国したゲバラは、カストロと数日間の会談に入った。2週間後、彼はキューバから忽然と姿を消した。中ソ論争やカストロ路線との狭間で引き裂かれながら、自らの信念に基づいてコンゴに赴いた彼を待ち受けた運命は? 「これほどの孤独感をおぼえたことは初めてだ」と自ら記す、痛切な現代史ドキュメント。 写真「休息するゲバラ」「若きゲバラとカストロ」 |
ゆるりと江戸へ 遠眼鏡戯場観察(かぶきうぉっちんぐ) | |
大原雄著/本永恵子装丁/2500円+税 | |
一風変わった歌舞伎入門書 もとをただせば、歌舞伎は事件です。ニュースです。テレビです。ワイドショーです。20世紀最後の大襲名が片岡仁左衛門なら、21世紀最初のそれは中村勘九郎の勘三郎襲名ではないか。NHK元記者の著者は、そこで気鋭の歌舞伎ウォッチャーに変身。取材方法は、メモ帳と双眼鏡。秘密兵器は、なんと幾何学。さてその切れ味は・・・。 |