3-5) 牡鹿町の漁業 捕鯨関連だけではなく、水産関係産業の最後に、牡鹿町における漁業の現状 について簡単に触れておこう。最初に、牡鹿町及び隣接の女川町の漁業内訳を ご覧頂く。 <資料・漁業の内訳/1988年> 漁船使用 定置網 海面養殖 1t 1〜 3〜 5〜 10〜 30〜 100t 未満 3t 5t 10t 30t 100t 以上 ------------------------------------------------------- 牡鹿 175 47 27 44 55 3 0 29 216 女川 106 23 24 24 15 0 6 2 477 (第8次漁業センサス)グラフイメージ144K <資料・漁業の内訳/1956年> 漁船使用 無動 3t 3〜 5〜 10〜 50〜 100t 力船 未満 5t 10t 30t 100t 以上 ---------------------------------------- 鮎川 43 2 19 3 18 4 17 (農林漁業基本調査) ※100t以上の17隻はいずれも大型捕鯨船であった。
グラフイメージ134K このことからわかるように、牡鹿町の漁業は、おおむね小規模である。また 定置網(特に小規模なもの)が多く、牡鹿町の漁業は圧倒的に沿岸系に分類さ れる要素が強いと言える。 これには理由があり、以前は遠洋漁業基地として栄えた場所もあったものの、 それらは陸運の便がいい石巻・女川などに流出してしまい、沿岸系漁業以外は 残っていないせいだという。捕鯨産業が、日本水産・極洋捕鯨・大洋漁業など の相次ぐ撤退によって衰退したのと同様の構造が、捕鯨以外の水産業にも存在 すると言えよう。また、地場資本での遠洋漁業も存在したが、それらも外部資 本に吸収されたり交通の便のいいところに移転したりして、事実上壊滅してい るという。これもまた、地場産業としての捕鯨産業が育たず、あるいは定着し なかったのと類似した構造を持つ。 しかしながら、捕鯨を除く水産業に関しては、養殖漁業の発展や定置網の有 効な利用などによって、衰退を食い止めるべく真摯な努力がなされている。た とえば牡鹿町内の谷川浜(東海岸)には、宮城県栽培漁業センターが置かれて おり、また養殖漁業もワカメ・カキ・ホヤ・ホタテ・ギンザケの養殖やアワビ・ ホッキガイ・ヒラメ・クロソイ・ニシンなどの種苗放流など、多方面の積極的 なチャレンジが続けられている。 また、単に水揚げをしてそれをそのまま域外に販売するという方法から、あ る程度の加工を域内で行ない付加価値をつけて出荷するといった方向に転換し、 利潤を確保しようという試みも行われている。 次の項目へ
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