(c)谷口紀子
今年2月、「不妊手術」を原則禁じている母体保護法は憲法違反だとして、東京地裁に「私の体は母体じゃない訴訟」(2面)が提起された。原告の一人が、佐藤玲奈さんだ。「不妊手術というと性適合手術のような大手術と勘違いされるのですが、私たちは卵管結さつ等を避妊の一つのオプションとして認めてほしいと訴えているんです」 ところが母体保護法では、①母体の生命の危険がある②子どもが複数人いて健康が低下する、という場合のみ、配偶者の同意を得て不妊手術ができる。佐藤さんはいずれの条件にも該当しない。
佐藤さんは、女性にも男性にも恋愛感情や性的欲求を持ったことがない。 「中学生の時はただ自分が興味がないだけだと思っていたんです。高校に入り、周りはパートナーを作って公表することが普通になると、私はそういうことをやりたくないんだという自覚を強く持つようになりました。当時は恋愛の話になる度に、話を合わせたり、『なんで興味ないの?』と常に理由を聞かれるのが苦痛でしたね」 それが「アロマンティック・アセクシュアル」という性的指向の一つだとSNSで知ったのは、高校卒業間際。
「あ、これ私のことを言ってるって。私がこう思っているのはおかしいことじゃなくて、世の中に同じ性的指向の人がいると知ってすごく安心しました。そこからSNSを通じて様々なセクシュアリティーを持った方とつながることができて、自分のセクシュアリティーも定型があるわけでないことも知って、自分らしいままでいられる居場所が見つけられました。そこからは自分は堂々と生きていこうと思いました」
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