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インタビュー

『棄国子女 転がる石という生き方』著者

片岡恭子さん

  • 2014.03.05
  • 聞き手…梅山美智子
  • 撮影…常見藤代

片岡恭子さん

生きるため、「ここではないどこか」へ

 物書き、「運び屋」、現地コーディネーター…幾つもの肩書を持ち、世界を渡り歩く片岡さんは一体どんな人なのだろうと会いに行った。初対面の挨拶で、渡された名刺には、「秘境者(ひきょうもの)」とあった。  片岡さんは、旅することで生計を立てるプロの旅人だ。2000年ごろからネットに旅行記を書き始め、南米で日本のテレビやラジオ番組のコーディネートを手がけた。現在は執筆の傍ら旅イベントなども主宰するが、もう1つ、「運び屋」の顔もある。違法な運び屋ではない。企業が車の部品などを急に必要とする際、現地に直接行って運ぶ仕事だ。  「携帯電話でいきなり、〝あしたスラバヤね〟とか〝今晩からシカゴね〟なんて言われる。自分が選んだ場所じゃない所へ行けるのがおもしろいです」  会社員の父と専業主婦の母、妹という家庭で育った。大学の修士課程を修了後、司書として働きながら、スペイン語を学ぶ。1998年にスペイン留学の後、中米を巡り、2年後に帰国。1年ほど親元で暮らしたが、鬱になり、引きこもってしまう。  閉塞感が漂い始めた時代。帰国後に見つけた週末限定のカードローンの受け付け業務は好きになれない仕事だった。平日は小学校で子どもにパソコンを教える仕事をしたが、子どもたちの顔には覇気がない。何かが違うという思いが募る。さらに実家で母と顔を合わせることもつらく、追いつめられていた。  「母は先回りして何でも全部しちゃう人。私は家では何もしたことがない。でも〝あなたは私がいないとだめね〟と抑え込むコントロールが常にあった」  どんどん苦しさが増した。心療内科に通うこともやめ、死ぬ気力さえないと感じながら睡眠薬をビールで流し込む日々。あるとき、テレビでニューヨークのツインタワーが崩壊する様を見た。9・11だった。  明日のことは分からないのだから、好きなことをしようと思い、海外への再出発を決めた。 続きは本紙で...


かたおか きょうこ

1968年生まれ。京都府出身。スペインの大学に留学後、ラテンアメリカを放浪。これまでに46カ国を歴訪。旅イベント「旅人の夜」主宰。3月15日19時 東京・高円寺パンディッドで、生きづらさをテーマにした対談を行う予定。『棄国子女…』は春秋社刊。

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