WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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インタビュー

法と市民をつなぐ法学者

谷口真由美さん

  • 2012.01.15
  • 聞き手…社納葉子
  • 撮影…谷口紀子

谷口真由美

嘘のない言葉で「憲法」を語る

大阪大学豊中キャンパス、金曜の1限目。非常勤講師・谷口真由美さんの講義「日本国憲法」が学生たちの人気を集めている。全学共通科目として憲法を教えてほしいという依頼に知恵を絞り、考えついたのが「DJ真由美の恋愛相談」だった。  講義の冒頭、出席カードの裏に書かれた学生たちの恋愛の悩みを読み上げ、答えていく。たとえば「幼稚園時代の初恋以来、人を好きになれない。こんなぼくでも恋ができるでしょうか」という問いには、「だいたい阪大生は頭でモノを考えようとするからあかん。そこは本能や。せやけど下半身の本能だけで生きてるとデートDVにつながるで」。  笑わせながら、世間の価値観に縛られるなとけしかけ、自分も人も大事にしろと戒める。「DJ真由美」の誕生で、8時50分に180人の学生が揃うようになった。淀みなく繰り出される河内弁が冴える。  人の相談にのることは宿命づけられていたのかもしれない。ラガーマンの聖地、近鉄花園ラグビー場内の寮で両親や兄とともに6歳から16歳までを過ごした。父は近鉄ラグビー部のコーチを務め、母は寮母として働いた。16歳から30代半ばまでの男たちと風呂もトイレも共有する生活。寮生たちは「男」を誇示しながら、恋人に振られたとポロポロ涙をこぼす。「仕事もラグビーもやめたい」と母に訴える男たちの話を横でふんふんと聞き、「やめてどないするん」と諭すような子どもだった。  年頃になって体育会系のボーイフレンドができると、当然のようにクッキーを焼き、手作り弁当を差し入れた。「尽くす女」はしっかりと内面に根付いていた。しかし、大学進学に際して父が言った「女が三流の大学行って何するねん」のひと言に衝撃を受ける。母が「行くだけ行こ」と誘い出してくれた入学式で錚々たる教授陣の顔ぶれを見て、「毎年1番をとるから」と父を説得したものの、もやもやした思いは残った。その正体を知りたいと、女性差別撤廃条約の研究で知られた小寺初世子さんのゼミを選んだのが法学者としての原点となった。
続きは本誌で...


たにぐち まゆみ

1975年大阪府生まれ。大阪国際大学現代社会学部法律政策学科准教授、大阪大学非常勤講師、世界人権問題研究センター研究第4部部長。専門は国際人権法・ジェンダー法。6歳の娘と3歳の息子、広告業界で働く夫の4人で暮らす。

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