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主催:住基ネット差止訴訟弁護団/CPSR/Japan/e-GovSecプロジェクト(情報人権ワークショップ事務局)
参加ご希望の方はメールでお問合せください(定員30名):e-GovSecプロジェクト : e-GovSec @ jca.apc.org
各地で行われてきた住基ネット関連市民訴訟(差止訴訟)では
など、さまざまな形で住基ネットをめぐる自治体現場の情報セキュリティ対策の具体的な問題点が明らかになってきています。しかし、これらに対する各地地裁の共通した判断は、
というものだったと言ってよいでしょう。ただし、金沢地裁判決だけは、行政機関内部における「データマッチング」――プライバシー侵害の可能性が「具体的危険」の水準にあると認定し、差止を認める判断を示しています。
法律家の課題
本ワークショップは、こうした住基ネット関連訴訟の現状――法制度/司法における情報セキュリティおよびプライバシーとネットワーク(情報通信)技術に関する不十分な理解という現状――を打開していくための、法律の専門家としての論点の整理と論理の構築を、目的の1つとします。
法律家と技術者の連携
差止訴訟の中で、技術者・弁護士の専門性における連携がさまざまに試みられてきましたが、それは「司法判断」に必ずしも適切な形で反映されていません。そこには、法律関係者の技術的理解の問題があるとしても、より大きな問題として「従来の制度が作ってきた壁」(技術の急速な変化に適応していない制度的問題)があるでしょう。
技術者の課題
逆の視点−−技術関係者の視点から見れば、この問題の中に、社会と政治のさまざまな制度を、情報通信技術の「現実」に適合させていくための技術者の側の課題を見いだすことができるでしょう。
本ワークショップのもう1つの目的は、情報通信技術の「現実」(技術の限界)を補強(補完)する社会の仕組みをどのように作り出していけるのかという、技術の専門家としての論点の整理と論理の構築です。
むろん、上記した2つの専門領域における目的は、相互に深く関係しています。法律・制度の側の新しい変化を準備することは、おそらく技術の側の変化を準備することでもあるでしょう。
住基ネット関連訴訟は現在、セキュリティ論からプライバシー論へとその関心の範囲をひろげようとしています。従来、技術に強く依存した「情報セキュリティ論」が語られる一方で、技術とは無関係に「プライバシー論」が語られてきましたが、ここで起きようとしている関心領域の拡大は、こうしたふたつの独立した論議の統合を意味しているのではないでしょうか。
また、「プライバシー」への関心の拡大は、現実の電子政府構築構想が進行する中で、多くのシステムで個人情報の「データマッチング」が拡大しようとしていることを警戒する強い問題意識を含んでいます。
「プライバシー論と技術論の統合」としての、法律家と技術者の連携
本ワークショップの3つめの目的は、「プライバシー」をキーワードとして、従来十全に機能していなかった法律実務の専門家と技術現場の専門家との連携の手法を、両者の直接の対話の中で探ることです。
ワークショップでは、「プライバシー強化技術」や「プライバシー影響アセスメント」の概略についても報告でふれる予定ですが、それらが現実の行政システムの中で有効に機能するためには、法制度上のさまざまな課題があるでしょう。
このワークショップの報告者は、法律家と技術者です。しかし住基ネット問題を考える時、「行政・自治体」はきわめて重要なファクターです。
そこで、「住基ネット切断自治体」(東京・国立市)の市議会議員より、各報告について随時コメントを受けることにしました。