CPR NEWS LETTER No.27 2001年3月3日発行
オレンジ色の帯のタイトルは、クリックすると、より詳細な記事を読むことができます。
11月30日の名古屋拘置所、福岡拘置所における死刑執行に抗議する!
2000年11月30日の死刑執行に抗議する
法務省(保岡興治大臣、当時)は2000年11月30日、名古屋拘置所のFさん、Mさん、福岡拘置所のOさんの3名の死刑を執行しました。
Mさんは94年に上告を取り下げ、控訴審の死刑判決が確定していました。9月に法務省が刑罰全体を見直すことを決め、10月に与党内で終身刑に関するプロジェクト・チームが発足したこの時期に死刑を執行したことは、死刑制度を存続することを自己目的化したものです。
CPRは、執行に強く抗議するとともに、国連規約人権委員会の勧告に基づき、速やかに死刑廃止・死刑執行停止と死刑確定者処遇の抜本的改善を行うよう求めます。
5月26日に2001年総会・記念セミナー開催
来る5月26日(土)、福島至さんをお迎えして2001年総会・記念セミナーを開催
岡山刑務所に勾留されていた男性(40)が、2001年1月20日午前8時すぎ、自室でうつぶせで倒れているのを巡回中の刑務官が気づき、救急車で岡山市内の病院に運んだが、間もなく死亡しました。解剖の結果、死因は「急性心不全」とされました。男性は、同7時50分の点呼の際には異常はみられず、勾留中に体調不良を訴えたこともなかったということです。死亡の事実は1月24日になって判明しました。
日本の刑務所・拘置所で1999年1年間に死亡した被拘禁者数は154名(1999年矯正統計年報)。刑事施設で被拘禁者が死亡した場合、徹底的な原因究明は不可欠です。死因等の調査が内部で秘密裏になされる日本と違い、イングランド・ウェールズでは事実究明が陪審制による検死法廷において行われます。さらに手続全体を監視するNGOなども存在し、手続の透明化に大きな役割を果たしています。
ブリストル大学(イギリス)客員教授として検死手続を含む刑事政策のあり方を研究してきた龍谷大学の福島至さんをお招きして、来る5月26日(予定。場所未定)、2001年総会・記念セミナーを開催します。ぜひ多くのみなさんのご参加をお願いします。
2000年9月27日「刑務所研究のための国際センター」(ICPS)主催のインターナショナル・ラウンドテーブル・オン・リストラティブ・プリズンがロンドンで開催された。会議にICPS理事として出席した海渡雄一さんから報告します。
2000年6月、日弁連拘禁二法案対策本部と法務省矯正局は「受刑者処遇に関する勉強会」を設置し、以降、刑務作業などのテーマについて研究してきました。2000年11月には、共同してイギリス及びドイツの刑事施設と社会復帰施設を視察しました(日弁連のみオーストリアも追加)。
拘禁二法案対策本部事務局長代行の加毛修さんより報告をいただきました。
2000年8月30日、日弁連拘禁二法案対策本部でヨーロッパ拷問等防止委員会(CPT)の受刑者の保健問題の専門家(エキスパート)として働いているティム・ハーディング氏(ジュネーブ大学)を迎えて、拷問防止の仕組みに関して勉強会が行われました。
参加したCPR事務局の三谷革司さんが報告します。
2000年8月27〜31日、ケープタウンで開催された国際矯正監獄協会(ICPA)の会議に日弁連代表として東京弁護士会の井口克彦さんが出席した。
井口さんから報告していただきました。
94年10月、京都刑務所で、薬物中毒の後遺症による強迫症状のため、手洗いや洗濯を行う受刑者・Kさんに対して、「水の不正使用」を理由とする懲罰が繰り返されました。95年1月、懲罰処分取消と国賠請求及び執行停止を申立て(詳細は、「監獄と人権」及びニュース第3号参照)、98年5月、一審・京都地裁は原告敗訴判決を下しましたが、2000年6月15日、大阪高裁は、国に対して、10万円の支払いを命じました。
代理人の永嶋靖久さんに報告していただきました。
東京拘置所の死刑確定者・益永利明さんが、97年8月、教誨のお礼等を内容とする、教誨師あて信書の発信不許可、原告実父が差し入れた養親族である姪が写った写真の閲読不許可、原告実父の依頼を受けた原告の養兄が、実父の委任状を兼ねた「送り状」(差入願)と共に郵送した数学教科書の差入れ不許可の各処分を違法として国を相手に慰謝料の支払いを求めた訴訟で、2000年10月26日、東京地裁は一部勝訴判決を下しました。
益永美幸さんに報告していただきました。
1990年、徳島刑務所に服役していた受刑者(Kさん)が、訴訟の打ち合わせのため、1990年11月から92年2月にかけて、弁護士との接見を求めましたが、刑務所側は接見時間を30分以内と制限したり、接見に刑務官を立ち会わせたりして接見を妨害しました。Kさんと弁護士3名はこうした接見妨害に対して国に損害賠償を求め提訴しました。
2000年9月7日、最高裁第1小法廷(大出峻郎裁判長)は、「他の受刑者と処遇の公平を図り、接見時の不測の事故を防止するために必要だった」「接見制限は所長の裁量の範囲内で、違法ではない」と述べ、制限は違法とした二審・高松高裁判決を破棄、Kさん側の訴えを全面的に棄却しました。
原告の一人でもある弁護士の金子武嗣さんに報告していただきました。
- 被告の名1字ちがいで送金受け取りを拒否
- 東京拘置所・永田さんの医療訴訟控訴を棄却
- 東京拘置所看守が所内で後輩に暴行
- 「矯正保護審議会」が監獄法の改正を提言
- 三重刑務所・看守部長の暴行事件で有罪判決
- 東京拘置所・不当懲罰訴訟で判決
- 名古屋刑・名簿流出事件で新通達
- 過剰収容・高齢受刑者の増加が深刻化
- 被害者に作業賞与金を送金、63件