最高検通達を撤回させよう!

「悪質事件」の無期懲役囚、検察が仮釈放を「制限」


 無期懲役刑が確定した事件のうち、検察庁が、「動機や結果が死刑事件に準ずるくらい悪質」などと判断したものを「マル特無期事件」と位置づけ、ほかの「無期囚」より長期間服役させる手続きを設けていることがわかった。最高検が98年6月、次長検事名で全国の地検、高検に通達を出し、同7月から実施された。「適正な刑執行のための権限行使」とし、収容期間の程度には触れていないが、「やり方次第では事実上の終身刑になる」との声も出ている。
 無期懲役受刑者にも仮釈放の制度があり、仮釈放を認めるかどうかは、刑務所の申請を受け、または職権で地方更生保護委員会が判断する。必要に応じて裁判官や検察官、精神医学などの専門家らに意見を求めるが、検察側の意向が大きく影響し、収容期間も長期化しそうだ。
 関係者によると、「マル特」に指定されるのは、動機・結果の悪質性のほか「前科・前歴、動機などから、同様の重大事件を再び起こす可能性が特に高い」などと判断した事件。すでに指定されている服役囚もおり、一連のオウム真理教事件の被告も指定候補になっている。
 具体的には、地検や高検は最高検と協議。指定事件に決まると判決確定直後にまず、刑務所側に「安易に仮釈放を認めるべきではなく、仮釈放申請時は特に慎重に検討してほしい」「(将来)申請する際は、事前に必ず検察官の意見を求めてほしい」と文書で伝え、関連資料を保管する。
 その後、刑務所や同委員会から仮釈放について意見照会があった際に、こうした経緯や保管資料などを踏まえて地検が意見書を作成する。
 これまでは、意見を聴かれても、事件の捜査や公判を担当した検事が異動などで地検におらず、「お任せする、というケースが少なくなかった」(検察関係者)という。通達は、こうした状況を改めることで仮釈放の時期を適正なものにする、としている。
 「死刑と無期懲役の差が大きすぎる」との指摘に加え、当時、検察内部で「無期懲役刑が実質的に軽くなりすぎている」などの議論があったといい、通達は「終身か、それに近い期間、服役させるべき受刑者がいると考えられる」と明記したうえで、手続きを指示している。
 法務省によると、2000年の1年間に仮釈放された無期懲役受刑者の平均服役期間は21年2カ月。77年から88年までは約15〜16年だったが、89年には18年10カ月となり、95年以降は20〜21年で推移している。また、00年夏時点で、無期懲役刑確定者のうち40年以上になる受刑者は17人。うち2人は50年を超えていた。(14:50)

 私たち監獄人権センターは、この検察庁の暴挙を撤回させるべく、働きかけを行っていきます。

最高検察庁通達

この件を伝える朝日新聞の紙面