『日本大百科全書』 第21巻 小学館 1988年
べ平連 べへいれん 正式には「ベトナムに平和を!市民連合」という。一九六五年(昭和四〇)四月に発足した、ベトナム戦争反対の市民運動体(解散は七四年一月)。代表は作家の小田実。それまでの平和運動が既成政党によって系列化し、有効性を欠いていたときに、多くの知識人や無党派の市民を結集し、徹夜ティーチイン、『ニューヨーク・タイムズ』紙などへの反戦広告、日米共同デモ、反戦米脱走兵への援助、在日米軍基地内での反戦運動の組織など、ユニークな活動を展開し、その新鮮さと大衆性、一定のラジカルさによって影響力をもち、多くの若者層を結集した。組織は会員制をとらず、自発的な参加を求め、最盛時には全国で三〇〇以上のグループが生まれた。また六〇年代末には、労働者の反戦青年委員会や学生の「全共闘」、新左翼諸党派と、反戦の共同行動を組織し、都心で数万のデモを行ったりした。べ平連の運動と組織のあり方は、その後の市民運動・住民運動にも影響を与えた。→市民運動 →平和運動
〈吉川勇一〉
【参考書】ベトナムに平和を!市民連合編『資料・「べ平連」運動』上中下(一九七四・河出書房新社)1988