513. 元「大泉市民の集い」40周年の集まり開催。 (2008/08/18掲載 )  

 8月9日(土)、東京・練馬区の大泉勤労福祉会館で元「大泉市民の集い」(正式には「ベトナム戦争反対・朝霞基地撤去を求める大泉市民の集い」 、1968年7月7日発足集会、1973年3月以降流れ解散)発足40周年を記念する集会が約60人の参加者を得て開催されました。
 集会は加藤久美子さんの司会で開会され、まず、すでに亡くなられた中心メンバー、大泉教会の横田勲牧師らへの哀悼の意が表されてから、この会の中心メンバーだった二人、和田春樹さんと清水知久さんとから「発題」の話がありました。
 和田さんは、ベトナム戦争が終結した時、ベトナム戦争はアメリカの敗北、ベトナム人民の勝利に終わり、自分たちの運動は成功した、と
思ったのだったが、はたしてそうだったろうか、と問題を提起 されました。和田さんは、この会の発足のきっかけとなった1968年5月、和田春樹・あき子夫妻連名によるビラ「大泉学園地区に住む市民のみなさんに訴える」の一部を引用し ました。それにはこうあります。「……この汚い戦争は、結局は終わるだろう。だが、そのときには、アメリカは人類の名で裁かれ、厳しく罰せられるに違いない。もしもアメリカが裁かれ、罰せられることなく、この戦争が終わるなら、世界のどこかに第2のベトナムがつくられることはまぬがれない。……」 戦争は終わった。だが事実は、アメリカは裁かれなかった。アメリカはその犯罪行為を謝罪もしなかった。それゆえ、第2、第3のベトナムはおこり、アフガン、イラクなどの戦争がもたらされ、ベトナムでは今も枯葉剤による深刻な被害が続き、アメリカは、それに責任をとらず、何らの謝罪もしていない、ベトナム戦争は終わっていないのだ、和田さんはそう問題を提起し ました。
 清水知久さんは、枯葉剤についての英文パンフレット
『Agent Orange: The Vietnamese Victims of American Chemical Warfare Exposed』(A5版51ページ、右の写真)を紹介し、それがアメリカに送られている報告をされました。このパンフレットについては、本ホームページの「News」欄No.453を をご覧ください。)
 そのあと、当時、朝霞基地の中にあった米軍野戦病院の米兵に向けて英語で行なわれた朝霞反戦放送(RCMG)の活動を映像と録音で記録したDVD『日本の中のベトナム』(「中原里見+α くそったれ社」制作、左の写真)が上映されて、当時の活動の映像が映し出され、生々しい反戦放送の録音がつぎつぎ紹介され ました。(このDVD、および同内容の書籍については、本ホームページの「News」欄No.507を ご覧ください。)
 休憩をはさんだあと、報道写真家、中村梧郎さんによるスライドを上映しつつの枯葉剤問題についての講演が行なわれ、ベトナムにおける深刻な枯葉剤被害の実情と、アメリカ、韓国、イタリア、さらに日本におけるダイオキシン被害の実態などがリアルに紹介され、参加者に衝撃と、深い感銘を与えました。枯葉剤問題、ダイオキシン被害の問題などについては、中村悟郎『母は枯葉剤を浴びた――ダイオキシンの傷あと』(岩波現代文庫 税込\1,050 右の写真)、中村悟郎『戦場の枯葉剤――ベトナム、アメリカ、韓国』(岩波書店、\3,150)などをぜひご覧ください。 また、最後にあるご案内の映画『花はどこへいった』も未見の方はぜひご覧くださいますよう。
 集会が終わった後、参加者のうちの希望者による「2次会」が、同会館内の「味三昧」で行なわれ、自己紹介の後、歓談となりました。広島その他、遠隔地からの参加者も含め、それぞれが当時の運動のかかわりとともに、今行なっているさまざまな社会的活動――チェルノブィリ被害の救援運動、9条の会へ参加しての活動等々――が報告されました。また、これまでにもあった、各地での同様な集会での参加者と同じように、40年前に参加したこの種の反戦運動が、今に至るまで、それぞれの人生を規定する大きな位置を占めているという発言や、この会の活動が、自分にとっての学校だったという発言が、続きました。
 この40周年記念の集まりの呼びかけ人は16人でしたが、うち、14人の年齢構成は以下の通りだそうです。
1933年生まれ――1人、1938年生まれ――2人、1942年生まれ――1人、1946年生まれ――1人、1949年生まれ――1人、1950年生まれ――2人、1951年生まれ――5人、1953年生まれ――1人。
 集会には、旧ベ平連やジャテックのメンバーなども参加しました。

(大泉市民の集いの『ニュース』は、『ハイエナ月報』まで含めた全号の復刻版が30周年の際に出版されています。希望者は、電話:03-3922-1219 和田春樹方にご連絡ください。)

映画『花はどこへいった』東京・下高井戸で再上映

 映画『花はどこへいった』(監督=坂田雅子)は、東京・岩波ホールで上映され、好評でしたが、9月上旬、東京・下高井戸シネマで以下のように再上映されます。
  9/13(土)〜 9/19(金) モーニングショー AM lO:20〜(終11:33)
  一般1600円/学生1300円/会員・シニア1000円 (毎週火曜日サービスデー 1000円)

下高井戸
シネマは、京王線・世田谷線「下高井戸」駅徒歩2分。京王線下りホーム沿い 電話:03-3328-1008 

 その他の上映情報や、映画の詳しい情報などは www.cine.co.jp/hana-doko/ を見てください。

本作の監督・坂田雅子さんが、フォトジャーナリストだった夫のグレッグ・デイビスを肝臓がんで亡くしたのは、彼が入院してわずか2週間後のことでした。彼の死は、米軍兵士として送られたベトナムの戦場で浴びた枯葉剤が原因ではないかと友人から示唆された彼女は、夫への追悼と枯葉剤への疑問から、ベトナムへ行くことを決意します。
そこで彼女が目にしたのは、戦後30余年を経た今もなお、ダイオキシンを含んだ枯葉剤が、がんや生まれながらの障害を起こさせ、大地を蝕みつづlナているという現実でした。映画は亡き夫の鎮魂にとどまることなく、受難を引き受けたベトナムの人々の家族愛と平和への思いを描き、戦争や枯葉剤被害の実態に静かに迫ります。

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