416 戦前の徴兵忌避の実態についての神田文人さんの論考掲載(06/03/09掲載)
これは、直接、ベ平連運動にも脱走兵援助にも関連した文献ではないのですが、戦前の徴兵忌避の実態についての論考で、ほとんど知られていません。筆者は、昨年夏に急逝された神田文人さん(横浜市立大学
名誉教授)です。神田さんの『昭和・平成現代史年表』(小学館)は年表のベストセラーにもなっています。
脱走兵援助運動との関係からも、戦前の徴兵忌避についてはもっと知られていいことだと思います。この文献は、戦前の全国と、千葉県での徴兵忌避の実態を細かい数字を挙げて報告しており、その中で神田さんは、全国的にも、千葉県内をとっても、海に面し、漁港のある地域に徴兵忌避者が特に多いという事実をあげ、「これは徴兵を遁れた者が
海上を船で脱出したことを示している証拠と思える」という興味深い指摘をしています。神田さんは、この徴兵忌避問題に強い関心を抱き、今後の中心的研究テーマとして本格的に取り組もうとして
いたのですが、残念ながら昨夏にガンで急逝されました。このテーマを引き継いで、調査、研究をされる若い研究者の方が出てくることを強く期待します。
文献は、2004年3月に出た『千葉県史研究』第12号に掲載された「徴兵忌避と千葉県」という論文で、脱走兵援助に関する文献 の中の「(4)戦前の兵役拒否・徴兵忌避などの文献」にPDFファイルとして掲載しました。掲載については、夫人の神田美枝さんの了承を得ています。