「在留特別許可取得一斉行動」(速報)No.26



バングラデシュのAさん家族・4人が在留特別許可を求めて出頭

2月28日、バングラデシュのAさん家族4人が法務大臣の在留特別許可を求めて東京入国管理局に出頭をしました。当日は、付き添いの田中裕之弁護士とAPFSの支援者20名が入国管理局門前に集まりました。いつものとおりオレンジ旗が北風に翻る中、Aさん家族は田中弁護士、APFSの吉成代表とともに建物に入りました。当日は簡単な取調べを受けた後に、在宅で調査をすすめるということで帰宅を認められました。Aさんは10年近くAPFSの会員としてさまざまな活動に参加していました。昨年4月に、長女が中学校に入学をしたことから、出頭のタイミングを見ていました。昨年9月以降、警察や入国管理局の摘発が強化される中で、職場にも入国管理局の警備官らが乱入してくることもあり、早期に出頭したいと準備を進めていました。当初は数家族での出頭を考えていましたが、これ以上延期できないと言うことで急遽出頭を決めたものです。

 APFSの集団出頭は、2,000年7月の第3次でひとまずお休みとし、今後は個別の出頭となります。ただし、今後も出頭行動は正規化に向けた唯一残された実力行動として位置付け、積極的に行っていく決意です。定住する非正規外国人の人権侵害は年々深刻なものとなっています。法務省は正規化プログラムを真剣に検討する時期に来ていると言えます。

ビルマ国籍のミンスイさん家族に不当判決

すでにお知らせをしてありますように、第1次出頭者のマウン・ミンスイさん家族に、東京地裁は 訴えを棄却するとの判決を2月15日言い渡しました。市村裁判長は、判決文の中で外国人の人権は在留制度の中で考慮されればよいと述べています。憲法や国際条約をまったく無視した判決に深い憤りを覚えます。また第1次、第2次出頭者に対して法務大臣が行った裁決を後退させる判決でもあり、絶対に許すことはできません。ミンスイさんは3月7日に控訴をしました。3月1日には社民党の植田至紀衆議院議員とともに法務省に対して、ミンスイさんを再度収容しないなどの事項について申し入れを行いました。


第3次出頭者のコロンビア人母子に在留特別許可不許可の裁決

第3次出頭者に対して、初めて法務大臣の裁決が出されました。ミンスイさん家族に対する不当判決の怒りも冷めない2月18日、入国管理局は突然Mさん母子を呼び出して不許可を伝えました。当然理由は告げられませんでした。第3次については全員が在特を取得できると信じていたため、当事者、支援者を含めて大きな衝撃を受けました。2月23日には当事者を交えて対策会議を行いました。分析の結果、この母子の生活環境に大きな変化があったことが不許可の理由ではないかとの結論に至りました。今不許可の裁決については、引き続き情報を収集し、分析し無頼バシーの侵害にならないように公表をしていきます。前述の法務省への申し入れの際も、今件について理由を明確にするように高山審判課長に迫りましたが、明確な回答はありませんでした。母子は、帰国することになりました。高校2年生の長男は、日本で建築関係の勉強を続けたい、とさびしそうに述べていました。


第3次出頭者のジャラりさん家族・5人に在留特別許可が認められる

3月7日午後1時、2000年7月に他の6家族とともに出頭したイラン国籍のジャラりさん家族・5人に在留特別許可が認められました。コロンビア人母子に対して裁決が不許可となったことから警戒をしていましたが、第3次出頭者としては初めて在留が認められました。ぜんじつ不安で一睡もできなかったというジャラリさん親子は、涙を流しながら肩を抱き合って喜んでいました。高校2年生になる長女は、APFSのボランティア活動に積極的に参加し、同じような境遇にある人たちの力になりたいと語っていました。また入国管理局正門前で出迎えた支援者らに対して、ジャラリさんは一斉行動を最後までみんなと闘い抜くと言う強い決意を述べていました。

3月11日にはペルー人家族・4人に裁決が出される予定です。APFSでは法務省−入国管理局に対する行動を一層強化する中で、残りの第3次出頭者全員に在留特別許可が認めさせていきたいと思います。長引く経済の低迷の中で、非正規滞在外国人の処遇に対する社会的関心は薄れつつあります。しかし、いまなお23万人もの非正規滞在外国人が非合法と言う存在であるために日々過酷な人権侵害を受けています。本来であれば20世紀までに、この問題は解決をしておかなければならない問題でした。移民導入議論が行われている中で、この問題を放置することは許されません。引き続きご支援をお願いします。なお、これまでの一斉出頭行動の中で、在留特別許可が認められたのは6家族・25人、不許可は6家族・22人となりました。不許可となった家族のうち、3家族・10人が法務大臣を相手として訴訟を起こしています。不許可となった家族のうち2家族・6名と労災治療を目的として在留特別許可を求めた1個人はすでに帰国しています。

また不許可となった家族で、父親のみが収容をされていましたが、昨2001年3月までに全員が東日本入国管理センターから仮放免が認められ自由に身となっています。


在特一斉行動の今後

1999年9月1日に開始された在留特別許可取得一斉行動も、今年で3年目を迎えます。法務省は、在留特別許可を認めるか、否かについて基準は存在しないと主張しつづけています。この間の一斉行動出頭者に対する法務大臣の裁決を考慮すると、一定の内部基準があることは明らかです。APFSとしては、法務省交渉を通して、在留特別許可の基準を明確にすること、審査の過程の透明性などを要求していきます。すでに昨年立ち上げられた政策プロジェクトにおいて、この間の経験を踏まえた提言も作成されています。
 また、ミンスイさん家族に対する不当判決にも見られるように在留特別許可に関する司法の対応は30年ほど遅れていると思われます。現在東京高裁に1件、地裁に2件が係争中です。一斉行動を支援する弁護団とともに、司法の判断に対する反論も準備していきたいと思います。

 当面はミンスイさんの収容阻止、第3次出頭者全員に在留特別許可を認めさせる闘いの強化が必要です。今後とも、ご支援、ご協力をお願い致します。

 

※ 在特一斉行動には多額の活動費がかかります。恐縮ですがカンパをお願いします

2002年3月8日

ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY(A.P.F.S.)
                            東京都板橋区大山東町26−9 
TEL 03-3964‐8739 


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