9月1日に21人の未登録移住労働者とその家族が在留特別許可を求めて出頭をしてから、ほぼ1ケ月が経過しました。この間、法務省−入国管理局は異例ともいえる速さで違反調査を終了してしまいました。10月12日までに全員の仮放免申請書を提出しなければ、収容もあり得ると述べています。しかし、違反調査は至ってのんびりかつ丁重に行われています。日本人配偶者を得た未登録外国人が在留特別許可を求めて出頭した場合に、最初の違反調査のために呼び出しがかかるまで少なくとも6ケ月以上かかること、数千件にものぼるケースを飛び越して退去強制の手続が進められているのを考えると法務省−入国管理局側の、この問題に対する決意が伺われます。
ところで、こちらもこの1ケ月のあいだ何もしなかったわけではありません。9月中旬から開始した団体署名には、多くの皆様のご協力でわずか10日間で110を超える団体から署名が寄せられました。また9月29日には参議院決算委員会で民主党の川橋幸子議員が陣内法務大臣に対して今回出頭した人たちに人道的な見地から在留特別許可を認めるようにとの質問をしました。陣内法務大臣の答弁は、個別のケースを慎重に審査をして決めたいと、述べたにとどまっていますが、短期間のうちに委員会の場でこの問題が取り上げられたことは大きな意味があります。今後の行動についてもスケジュールがびっしりと詰まっています。10月12日には社民党の法務委員会に所属する参議院議員と話し合いを予定しています。また13日には公明党の法務部会で当事者も参加して、今回の行動についての支持を訴える予定になっています。さらに18日か19日には法務省−入国管理局に対して弁護団の声明文と団体署名を提出の上、話し合いの場が持てることになっています。またイラン大使及びバングラデシュ大使と面会をし、自国民保護の観点から、外務省を通して何らかの提言をしてほしいとの要望を伝えることになっています。
一方、これまで日本における移住労働者の問題を専門に研究してきた学者、研究者たちも今回の行動に対して声明文と政策提言の作成に向けて会議を重ねています。現在、駒井洋筑波大学教授、渡戸一郎明星大学助教授、山脇啓造明治大学助教授、近藤敦九州産業大学助教授、そして茨城大学の稲葉奈々子先生らを中心として作業が進められています。最終的には、100名程度の学者、研究者の賛同を得て、法務省に提出する予定です。 また近々の行動としては「移住労働者と連帯する全国ネットワーク」をはじめとした全国の市民団体、労働組合に呼びかけて全国規模で実行委員会を結成し27万人署名運動(未登録外国人が約27万人滞在していることから、日本人一人ひとりが、これらの人たちに思いを寄せるという意味から考えられたものです。)を開始する予定でいます。この件については、14日に開かれる移住連ネットの事務局会議での決定を受けて行われます。法務省−入国管理局が、おそらく本年度内に何らかの結論を出すのではないかと危惧されていることから、上記の運動を速やかに進めるとともに、弁護団を中心として日弁連に対しても人権救済の申立を行うことも予定しています。また弁護団は在留特別許可が不許可となった事態を想定し、行政訴訟の準備に入ることになっています。
1999年10月9日
ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY (APFS)