イラン国籍Bさん, ビルマ国籍Mさんに仮放免認められる


 
APFSではイラン国籍Bさんの持病の悪化、ビルマ国籍Mさんの妻の病気などのため、2名の仮放免の申請をしていましたが、2001年2月9日、Bさんの仮放免、さらに3月6日にはMさんの仮放免が認められました。

 Mさんは、1999年9月1日に第一グループとして、Bさんは1999年12月27日に第二グループとして東京入国管理局に在留特別許可を求め出頭しましたが認められず、共に妻子は仮放免されたものの、自身はその場で収容されてしまいました。収容所での生活は過酷を極め、Bさんは以前からの持病であった腰痛が悪化し、ここ2ヶ月間は車椅子での生活を余儀なくされていました。昨年9月にも仮放免を申請しましたが、センター所長は3ヵ月も待たせた挙句に、Bさん、Mさんを含む3名に対して仮放免を認めない、との決定を出しました。この間、APFSでは度重なるセンターとの交渉や、所長に対する面会要求などを行ってきましたが、センター所長はまったく顔を見せることもなく、非人道的な決定を次々と下してきました。さらに、家族のうち、父親だけに仮放免を認めないことによって、在留特別許可を求める家族達が、早期に帰国するように意図しているとも考えられます。

 通常であれば10ヵ月から1年あまりで仮放免が認められることが多いのですが、Mさんの場合は、収容期間は1年を超えていました。

 尚、今回の仮放免申請にあたっては、1月23日に、川橋幸子参議院議員、上田至紀衆議院議員、福山哲郎参議院議員、北川れん子衆議院議員、金田誠一衆議院議員らが直接センター所長に対して連絡をいれてくださいました。今後も、国会議員、自治体議員や学者、支援団体の皆様と連携をして、在留特別許可一斉行動を社会的な問題として提起し、政治の場でも議論をしていただきたいと考えています。


イラン国籍Aさん、仮放免認められる


 1999年12月27日に法務大臣の在留特別許可を求めて妻子とともに出頭したものの、昨年6月30日に不許可の裁決が出され、以降東日本入国管理センターに収容されていたイラン国籍Aさんに、2001年4月23日、ようやく仮放免が認められました。

 APFSでは、3月30日にセンター長に対して仮放免を申請するとともに、仮放免を求める団体署名の要請、約30名の会員による東日本入国センター所長に対する申し入れ行動、センター前でのすわりこみ、そして北川れん子衆議院議員の同席のもとで、法務省交渉など、10日に及ぶ連続行動を実施いたしました。また今回の行動で、入国管理局が全件収容の名のもとに行っている収容制度や、主任審査官や収容場の所長の恣意的な判断で行われている仮放免の問題点なども指摘し、法務省入管局の政策全般に対する批判も行ってきました。

 23日に収容をとかれたAさんは、妻が入院している病院へと向かいました。そして夜は、恐らく子ども達と久しぶりの食事を取ったことでしょう。これからは、Aさんは裁判の場にも姿を見せることが出来、法務大臣の裁決の取消訴訟を、しっかりとその目で見ることが出来るようになります。そして、これまでどれほど、日本経済の最低辺を支えてきた事実を訴えることができます。


法務大臣の裁決の取消を求める一斉出頭者の裁判が結審

 1999年9月1日に日本に生活基盤が形成されたことを理由として在留特別許可を求めて東京入国管理局に出頭をしたビルマ国籍のMさん家族と同年12月28日に同じ理由で出頭したイラン国籍のBさん家族が、法務大臣の裁決の取消を求めていた訴訟が、東京地方裁判所で審理されていましたが、いよいよ12月13日で結審となります。来年早々には判決が出される予定で、在留特別許可一斉出頭裁判も大きな山場を迎えたといえます。

 Mさん家族やBさん家族の弁護団は、裁判の場で法務大臣が両家族に対して在留特別許可を認めず、退去強制令書を発布したのは、憲法第22条「居住の自由」の侵害につながること、子どもの権利条約3条1項の「子どもの最善の利益」を侵害するものであることなどを主張してきました。また、第一次、第二次出頭者たちに対する不許可の裁決にあたって出入国管理及び難民認定法施行規則43条に定められている裁決書が作成されていないことも裁判の中で明らかになっています。弁護団は、これに対して手続上の重大なミスであり、法務大臣の決定は違法であると主張しています。

 1999年9月1日に開始された在留特別許可取得一斉出頭行動は、2000年7月に7家族、1個人・26名が第3陣として出頭をしています。これまで第一次、二次出頭者に裁決が出されており、5家族・20名に対して在留特別許可が認められ、4家族、2個人・20名は不許可となりました。現在3家族10名が法務大臣の裁決の取消を求めて訴えを起こしています。在留特別許可が認められなかった家族の父親は裁決直後に収容されましたが、本年3月までに全員仮放免が認められています。

 一斉行動に対しては、非正規滞在外国人の処遇を放置しつづける法務省―入国管理局に対する鋭い批判となりました。非正規滞在外国人の多くは、日本経済の最低辺を支えてきました。これらの人たちの定住化がすすむなかで、子どもたちも成長し小・中学校へと通学するようになりました。非正規滞在外国人の人権侵害が、非合法な在留を理由として行われており、それを解決する方法はアムネスティを含む合法化しかありません。しかし法務省―入国管理局は一貫してアムネスティを拒絶してきました。一斉行動により、法務省は一定の要件に達した非正規滞在外国人に対しては在留特別許可の運用で「救済」していくことを明らかにしています。在留特別許可の基準が明確でないこと、法務大臣の裁量権があまりにも大きいなど問題はあるものの、一斉行動は非正規滞在外国人に対する処遇を変えていく大きな力となりました。

 3家族・10名の裁判と第三次出頭者に対する裁決の行方は、今後の非正規滞在外国人の処遇に対しても大きな影響を与えます。結審を迎える12月13日の裁判に多くの皆様が傍聴されるようお願いを致します。

日 時 12月13日(木)  午後1時30分 東京地裁606号法廷

 >>> 弁護団による最終意見陳述(法廷にて - 12月13日)



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