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これでいいのか!? 北朝鮮報道 「北朝鮮報道のあり方」を考える記者会見
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魚住 昭(ジャーナリスト)
フリーのライターです。拉致問題に関する報道をいつも新聞やテレビで見ていますが、一読者として非常に狼狽しています。それから、報道のあり方に怒っているし、あまりの不気味さに絶句してしまう状況が多々あります。9・11テロの後にも少しありましたけれど、この強烈な状況を一言で言えば、「救う会」イデオロギーにすべてが覆い尽くされている。本来多様であるべき言論が一色に覆われている状況というのは、初めて経験しました。
この原因の一つとして考えられるのは、情報の飢餓状態。非常に情報が少なく、しかもその出所が限られている。その情報の多くはほとんどが又聞きで、「救う会」イデオロギーのバイアスがかかったかたちの情報が新聞やテレビを覆っている。と同時に、そこにメディアスクラム対策としてのかつてないほどの強い自主規制がかかっていて、またそれが二重三重に情報にある種のバイアスをかけてみんなに届けられている。
これはとても恐ろしいことで、私は新聞を読むのが仕事というところがありますが、読んでいて途中で新聞を引き破りたくなることが何度もあります。情報の飢餓状態のなかで、異質の情報、たとえば、キム・ヘギョンさんインタビューとか、『週刊金曜日』の記事に大変なバッシングが起きる。情報が少ないのに、ちょっと違った角度からくる情報には大変な拒否反応が起きる、というのは、マスコミの末期的な状況だと思います。私は『週刊金曜日』の支持者でも愛読者でもありませんけれども、北朝鮮の謀略にのっかってけしからんという批判には猛烈に反発します。現場に行って、当事者に話を聞いて書くのが記者です。そのこと自体を否定されたら、報道は成り立たないということは、皆さんよくご存じだと思います。
それから、今のメディアの状況を見てもう一つ考えたことは、メディア規制法なんか作らなくても、国家による情報統制が簡単にできるんだなと今度つくづく思いました。これは、今の有事法制の動きなんかと結びついて、恐らく日本を戦争への道に連れて行く行動だろうと思っています。作家の辺見庸さんが、3年ほど前から、日本はぬえのような全体主義に覆われている、とおっしゃいましたけれど、今はこの拉致問題を契機にそのぬえが、進化して巨大な魔物になって、僕らを破滅の淵に連れていっているのではないか。それに対して、とても怖い。北朝鮮に対して専門的な知識はありませんけれど、ただそのことが言いたくて、記者会見場に来させていただきました。
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