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5・18ACT読者会[緑の党の可能性]
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船波恵子●品川区議
今日は「緑の党の可能性」というテーマでの会合ですが、今までの話だと「特につくらなくても別の方法があるんじゃないか」ということですね。結論からいうと、私もそうなんです。なぜそう思うか。その点について今日はお話ししようと思います。
緑の党は必要か、そして参加すべきか
私が、この大会に参加したのは、世界のグリーンの人びとがどういう活動をしているのか知りたかった、ということがまずあります。そしてもうひとつ、「虹と緑」の人たちの間で「緑の党をつくろう」という機運があるけど、本当に日本に必要か、そして可能かということを自分なりに吟味できる材料があると思ったからです。
さて、日本で緑の党が必要か、そしてそれが現実的か、さらに私がそれに参加すべきか、ということですが、これらを考える前に、私の現在の立場についてお話する必要があります。
私は、現在「虹と緑」に属していますが、政党としては社民党の党員です。社会党時代からのシンパというわけではなく、2年前の選挙の数ヶ月前から参加して以来ですから、歴史は浅いですが、社民党として選挙をやり、区議をやっていることは間違いありません。その一方で、「虹と緑」では勉強会などを一緒にやらせていただいています。
だから、「虹と緑」が党になるとなると、私はどうするか考えなくちゃいけません。私はそういう立場から「緑の党が必要か、参加する必要があるか」と考えてきました。
ところで、今回は「緑の党」の世界大会でしたが、社民系の政党も国際的なネットワークがあって、その国際会議に私もちょっとだけ出席したことがあります。そこでは、「労働党」と称していても、一応「同じような方向」ということで、参加している国もあります。
そこで話されるようなことというのは、実は、今回のグローバル・グリーンズで出されている環境や人権や民主化といった内容なんですね。つまりそれほど違いはないんです。方向性としてはそう遠くないことをめざしている。
だから、私は、緑で集まる人々と社民主義で集まる人はそれほど遠くないんだ、と思いました。
でも、たとえばオーストラリアには、「労働党」がある一方で「緑の党」も別にある。ドイツやフランスでも「社民党」があり、「緑の党」がある。そういった国々では、似てはいるけど、別々に党が成り立っている。なぜなのか。どこで一線を画しているのか。そんなことをフランスの人たちに聞いてみました。すると反射的に返ってきた答えは、「原子力に関する政策が明らかに違うから」というものでした。
振り返って、日本についてみてみると、それほどうまくはいってないけど、社民党は「脱原発」とか「自然エネルギー利用」をめざしている。だから、確かに、世界各国での状況にもよって異なるんだろうけど、少なくとも、ドイツやフランスやオーストラリアにおける「緑」と「社民」二つの党の違いのようなものは、日本ではないように思います。
そういった状況を考えると、社民党で活動している私としては「虹と緑」の一部の人たちが思うほど、日本での「緑の党」に必要性を感じないし、一つの政党をつくるという大変さを思うと、やはり党にするというのは想像できないですね。
党を結成することの難しさ
では「党づくりの必要性・現実性」について、今度は、有権者の側から考えてみましょう。社民党でもなく、無所属で政治活動をしている人とか、特定の支持する政党がないという人たちにとって、「緑の党」というのは魅力的か? …私は疑問です。
なぜなら、第一に日本では「政党」に対する不信が強いからです。ごく一般の人たちにとっては、くっついたり、別れたり、名前を変えたりとかっていう(笑)、その辺の事情は分からないですよね。正直「あれは何?」って感じでしょう。だから、今回の大会で刺激されて「緑の党をつくろう」ということになって、多くの人に訴えたとしても、単純に「すばらしい」という話にはならないと思うんです。
それに、現在の日本では、各国の緑の党、緑の運動について、その存在すら知られていないのが現状です。だから、「日本でも同じようなものをつくる」といわれても「そりゃ何」っていわれそうな気がします。
もっと具体的な面でも考えてみましょう。
実際「虹と緑」で政党つくろうってことになったとき、皆でいろいろ考えを持ち寄って政策をつくらねばならないんですが、それがきちんとできるでしょうか? 確かに「環境」といった部分では合意できるかもしれないけど、それ以外はどうするか。
今回採択された憲章には、気候変動の問題や、WTOの問題、そのほか国連の機能などに関して、発展途上国から「こうして欲しい」というような要望がたくさん表明され、そういったことが盛り込まれました。日本で緑の党がつくられれば、当然この憲章に同意するということになるんだろうけど、実際それら貿易や経済などについて対応できるのか? 常に情報を得て、日本の人たちに伝え、また、WTOや国連に対するスタンスを打ち出せるのか?
そういった現実的な大変さを考えると、日本に他の国のような緑の党をつくっていくことより、別の形で取り組んでいけばいいと思います。
たとえば安全保障に関して、日本の9条を守りたいというスタンスをとるのであれば、欧州の緑の党はNATOの空爆が必要といっているわけですが、きちんと国際紛争の解決も武力を使わないでどうやってやっていけるかを考えなくちゃいけない。緑の党がやったことに対し、学び、考えていくことも必要です。
つまり、緑の党をつくることより現実的な問題を見て、学び、日本ではどうするかということについて力を注ぐべきだと思います。
ふななみ けいこ 1966年品川生まれ。イギリスの大学院卒業後、国際ボランティアとしてカンボジア選挙に携わる。NGO「市民フォーラム2001」、日本国際ボランティアセンターに勤務した後、フリーの翻訳業に転身。99年、統一地方選で初当選。今年の春、「国歌斉唱時に起立しない人は式典に招待しない」との教育委員会からの発言により、実際に入学式から排除され、現在この問題に積極的に取り組んでいる。
URL http://www.jca.apc.org/~funwave 。
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